絵本・童話

『アイ ラブ トラアヒルーちっちゃな愛の相談所』(きんのくわがた社)/トラアヒルに恋をした箱ガエルのギュンターくん

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Ich liebe eine Tigerrente ©1999 by Mosaik Verlag, Munchen within the Verlagsgruppe Bertelsmann GmbH『アイ ラブ トラアヒル』(絵と文 ヤノッシュ 訳 大石一美)

ドイツの絵本作家で小説家のヤノッシュ(Janosch Gesllschafte e.V./1931ー)の絵本の中で、カエルのギュンターを主人公にした作品『アイラブ トラアヒル』(絵と文 ヤノッシュ 訳 大石一美 きんのくわがた社刊)。ギュンターはドイツ語でカステン・フロッシュ、「箱ガエル」という設定で登場し、移動も可能な箱を住まいとしています。

そんなギュンターが、ヤノッシュの絵本の中ではメインキャラクターの「とら君」の持ち物だった木製のおもちゃのアヒル、トラアヒルに一目惚れして連れて帰ることから物語が展開する。ギュンターは住まいの箱でトラアヒルとの理想的な愛の暮らしを築くために知恵をしぼり、自分がどれだけトラアヒルを愛しているか語りかけます。なのに残念ながらただの木の車のついたおもちゃであるアヒルは何も反応してくれない。ただヒモを引っ張ればついてくるだけである。あまりの無反応にもしかしたら「とら君」に未練があるのではないかと疑うことも。

その愛は妄想を生み、トラアヒルに語りかける話は政治、経済、環境、宇宙と飛躍していき、思考というより感情に訴える絵本の哲学書になっている。カエルといえば日本語では「考える」の語呂合わせにも使われ、考えるポーズのカエルの置物も多いですが、あくまでもポーズ。ほんとうは無の境地、何も考えてないと思わせる。一方、西洋哲学が土台だからでしょうか、ギュンターはどこまでもどこまでも考え続けます。そんなギュンターくんの話につき合ってみるのも楽しい一冊です。

◎ヤノッシュ

1931年、ドイツ領ヒンデンブルク(現在はポーランドのサブジェ)生まれ。本名はホルスト・エッカート。絵本と小説を320作品以上を発表している。現在は妻と共にカナリア諸島に在住。

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児童文学『マガーク少年探偵団⑧ まぼろしのカエル』(あかね文庫)/シュシナクアアアルアラアアルアラアアルナアアルアグラアアルク!」と鳴くカエルとは?

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『マガーク少年探偵団⑧ まぼろしのカエル』(ヒルディック作 蕗沢忠枝訳 山口太一絵)

イギリスの作家エドマンド・ウォレス・ヒルディック(E.W.Hildick 1925-2001)による児童文学シリーズ『マガーク少年探偵団』は、1974年に始まり1996年まで24作発表されました。“マガーク・ミステリー”と呼ばれた人気シリーズです。日本語版はあかね書房から翻訳 蕗沢忠枝、作画 山口太一によって刊行されています。

その中の一作に『まぼろしのカエル(原題The Case of the Phantom Frog』1979年発表)があります。

作中の「マガーク少年探偵団」は、10歳のジャック・マガークが創設して団長を務める探偵団。推理小説的にはマガークがシャーロック・ホームズだとしたらワトソン的役割を務める記録係のジョーイ、嗅覚がよく「鼻のウィリー」とあだ名されるウィリー、木登り上手なおてんば少女ワンダが創設メンバーで、後から科学知識が豊富なブレインズ、日本人少女のマリ・ヨシムラが加入します。

そしてこの『まぼろしのカエル』でマガーク少年探偵団は、幼い甥っ子を一時あずかっているという彫刻家のクランツ夫人から最初はその男の子ベラの子守りを頼まれるが、探偵団としてのプライドが許さず断る。しかし、夫人の依頼の裏にはその子が家に泊まるようになってから夜になると怖ろしい鳴き声が聴こえ、それは夫人が大嫌いなカエル、しかも“ものすごいカエル”ではないかと不安に思っていたところ、ベラはそんな声を聞いていないという。その真相を調べてほしいと依頼された、探偵団としては引き受けがいのある事件だった。

名付けて「まぼろしのカエル事件」。マガーク少年探偵団の捜査が始まった。

7歳の少年ベラとマガークたちの頭脳戦、心理戦に読み応えがあり、ハンガリー出身のベラは「吸血鬼」や「オオカミ男」ならぬ「カエル人間」なのかと思う場面も。ネタを明かせば最後はペットとして飼っていた「キューバ・ツリー・フロッグ(Cuban Tree Frog/学名Osteopilus septentrionalis) へのベラの愛情があったのでした。

本種は国立環境研究所の侵入生物データベースによれば、元々はキューバ、ケイマン諸島、バハマ諸島などに分布していたアマガエル科のカエルだが、ある時期に米国フロリダにヤシ類の輸送に伴って持ち込まれたという。アマガエルとしては大きく、オスは最大で9㎝、メスは14㎝にもなる。鳴き声が大きく、口に入るものは昆虫からトカゲ類、他のカエル類、鳥類のヒナなど何でも食べる。

目はクリッとしてかわいいが、クランツ夫人から“ものすごいカエル”ではないかと怖れられただけはある。本作の中でこのカエルは、「シュシナクアアアルアラアアルアラアアルナアアルアグラアアルク!」と鳴いています。「るてえる びる もれとりり がいく。……」と詩集『ごびらっふの独白』を蛙語で書いた草野心平なら理解できたかもしれないと思いました。

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童話『にっこりいけのヒキガエル』(金の星社)/豊かな自然観察から生まれた物語

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『にっこりいけのヒキガエル』ソーントン・バージェス作 田谷多枝子訳 赤星亮衛絵

この童話は1972年に、田谷多枝子/訳、赤星亮衛/絵 で出版されたアメリカ人作家ソーントン・バージェス(1874-1965)原作の童話です。

ヒキガエルが中心になって物語が展開する童話といえば、『たのしい川べ(原題『THE WIND IN THE WILLOWS』)を書いたイギリス人作家のケネス・グレアム(1859ー1932)の方が日本ではよく知られているかもしれません。

二人はほぼ同時代を生きて、どちらもヒキガエルが登場する作品を出版しています。グレアムの場合は、日本語で「ヒキガエル氏」、バージェスは「ヒキガエルのじいさま」を登場させているのですが、どちらのヒキガエルもいばりんぼうでわがままな性格なので、同じ水辺に棲息する生きもののなかまたちを困らせることで物語は展開していきます。

また、両作品とも、それぞれの作者が父親として幼い息子のためにグレアムは語って聞かせ、バージェスは手紙に書いて伝えることから楽しいヒキガエルの物語が生まれています。

大きな違いがあるとしたら、バージェスの書いた『にっこりいけのヒキガエル』の方が、幼い頃から好きだった自然観察をもとにヒキガエルの生態がよりリアルに描かれているのではないかと感じられます。

たとえば、普段はさえないヒキガエルのじいさまが、春になるとにっこりいけですてきなコーラスを聞かせ繁殖活動をしてたくさんのオタマジャクシ、そしてチビガエルを誕生させていること、動きがにぶく見えるヒキガエルのじいさまが虫を食べるときは他の動物とちがって口の中の先の方についている舌を使って、舌先のねばっこい部分に虫を付着させてのどの奥まですばやく運ぶスゴワザを見せること、その他、衣替え(脱皮)をすることもあれば、うしろ足で土を掘ってその場からあっという間に姿を消してしまうこともあることなど、「ピーターうさぎ」や「スカンクのジミー」といった異なる種の動物の視点から興味津々(きょうみしんしん)に語られています。

カエル(かえるのジェレミー・フィッシャー)やヒキガエル(ジャクソンさん)を物語に登場させた作家には、「ピーターラビット」シリーズで知られるイギリスのビアトリクス・ポター(1866ー1943)もいます。19世紀後半から20世紀にかけて、欧米社会から人間界と自然界をつなぐようなすばらしい物語が生まれ、そこではカエルがとても大切なことを伝える役割を果たしています。

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絵本『あだなはかっぱかっぱっぱ』(アリス館)/カエルグッズに「葉乗り蛙」が多い理由

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絵本作家のこやま峰子、画家の渡辺あきおによる絵本『あだなはかっぱかっぱっぱ』(アリス館1988年発行)の中で、「かっぱ」というあだ名をつけられたのは誰でしょう?

この絵本では照りつける太陽の下でぐったりしている「はっぱ」が登場します。はっぱは、池ですいすい泳ぐトノサマガエルがうらやましくなり、自分も泳いでみたくて池に飛び込みます。でも泳ぎ方を知らなかったので溺れそうになり、トノサマガエルに助けられます。その後はトノサマガエルの指導のもとに水練をして、「かっぱ」とあだ名されるほどに。

ストーリーはとてもシンプルですが、「はっぱ」が「かっぱ」になるまでにカエルがとても大事な役割を果たしています。カエルグッズを集めていると、「葉っぱに乗ったカエル」はカエルグッズのひとつのカテゴリ―になっていることに気づきます。この一冊には葉っぱとカエルの関係がやさしい色調の絵と、こどもさんのためにわかりやすい文章で表現されていて、カエルグッズに葉乗りガエルが多い理由がわかったような気がしました。カエルとはっぱはお友達なんですね。

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絵本『さばくのカエル』(松井孝爾 文・絵 新日本出版社)/オーストラリアの砂漠に棲むカエルたち

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生物学者、松井孝爾(まついたかじ/1925—2014)氏が1993年に出版した絵本『さばくのカエル』(新日本出版社)。松井氏は1970年代より『カエルの世界』(平凡社カラー新書)、『あまがえるのてんきよほう』(新日本出版社)、『カエルの不思議発見「四六のガマ」の科学』(講談社)などのカエルに関する本を出版し、カエルのイラストも描きました。

本書『さばくのカエル』(新日本動物植物えほんⅡー⑨)も文と絵のどちらも松井氏によるもの。オーストラリアに分布しているカエルについて紹介している科学絵本で、特に表紙にも描いているミズタメガエルのユニークな生態を絵本の中でわかりやすく説明しています。

普段は砂漠の赤い土の下でじっとしているミズタメガエルは1年に数回あるかないかの雨の日に地上に現れて、繁殖活動、捕食、そして貯水まで一気に行います。ミズタメガエルはその名前の由来でもある、たくさんの水を貯めることができるからだのしくみをもっています。体に貯めたその水をアボリジニーの人々がのどの渇きをうるおす飲み水にしていた話も知られています。人間に水を分け与えても、土の中でほんの少しの地下水を貯め、いよいよ水が不足して体が乾きそうになると自分の体から分泌するねばねばしたもので体を包んで乾燥を防ぎます。

その他、ミズタメガエル同様普段は地面に掘った土の中で生活し、雨が降った後にできた水たまりで短い時間にオタマジャクシからカエルになるカトリックガエルも紹介されています。カトリックガエル(学名Notaden bennettii 英名Catholic frog)は、オーストラリアガエル科カトリックガエル属のカエルで、警告色である背中の十字架模様が特徴です。

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絵本『ふるいけおんがくかい』(奥山多恵子 作 福音館書店こどものとも531号)/カエルとてるてるぼうずがタッグを組むと

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盛夏、各地の水辺ではカエルたちが音楽会を開いているかのように鳴いている頃。ただ最近の激しい気象現象が水田にも大きな影響を及ぼしているなか、そこに暮らすカエルたちがどうしているかも気になります。

絵本作家、奥山多恵子さんの絵本『ふるいけおんがくかい』(福音館書店 2000年刊行)には「てるてるぼうず」が登場します。「あした天気にしておくれ」の願いを叶えられなかったために捨てられたたくさんのてるてるぼうずが川を流れてきて、カエルの「ちかつん」と「ぐずびん」に助けられます。そして2匹のカエルたちはその夜、ふるいけで開催される音楽会にてるてるぼうずたちを招待します。

カエルの世界が描かれた絵本では音楽会のシーンがよく見られます。カエルグッズを集めていても楽器を演奏したり歌を歌ったりしているカエルと出会うことは多く、カエルの表現に「音楽」は欠かせないものになっています。絵本の中で“参加する”音楽会も、どんなライブを聞かせてくれるのか楽しみになります。

この絵本でカエルたちは音楽会の主催者のようで、演奏するのは昆虫や爬虫類等々。かまきりさんやバッタさんの弦楽合奏、蟹(かに)さんのマリンバ演奏、かめばあさんのオーボエ演奏など、決して上手な演奏ではなさそうですが貴重なステージに違いありません。

ところで、晴れてほしいときに願いをかけるのが「てるてるぼうず」。ひと雨ほしいときに鳴いてほしいのがアマガエル。人間の力ではどうにもならない気候変化ですが、身近にいるカエルたちを観察して自然の動きに敏感になりたいものです。

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絵本『がまくん かろくん』(馬場のぼる作 こぐま社刊)

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20世紀後半に活躍した漫画家で絵本作家の馬場のぼる(1927ー2001)の絵本に「がまくん かろくん」(2000年 こぐま社)があります。がまくんは名前や茶色の体色からヒキガエルの仲間ではないかと想像できます。かろくんは緑色なのでモリアオガエルなどのアオガエル類や二ホンアマガエルなどのアマガエル類でしょうか。

かろくんはがまくんが「カエルなのに泳げない」ことに同情して、泳げるようになるまであれこれアイデアを出してつき合います。作者本人のことばによれば、これは「泳げないがまくんと、それをだまってはみておれないかろくんの熱き友情物語」。馬場さんが亡くなる前年に出版した絵本ですが、人間世界においても「がまくんとかろくんたちのような間柄になれたらなあ。」という願いを込めて創作したストーリーだそうです。

同じカエル類でも天敵から逃げるときにジャンプしたり、水の中に飛び込んでスイスイ泳いでいくカエルに比べ、ヒキガエルの場合、ノソノソ地面をはって歩く姿が印象的で泳ぎは上手でないかもしれません。そんな自然界のカエルの事情も感じながら、個人的には子どもの頃初めて泳ぐことができたり、自転車に乗れるようになったりしたことを思い出しました。

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現在、山形美術館で「まるごと馬場のぼる展」が5月25日まで開催されています。『11ぴきのねこ』シリーズで知られる絵本作家、馬場のぼる。その代表的な漫画や原画、50年間描きためた秘蔵のスケッチブック、絵画や立体作品など、その創作世界をまるごと楽しめる展覧会です。

『がまくん かろくん』の原画は展示されていませんが、松岡享子作・馬場のぼる絵による「かえる」ならではのことばあそび絵本『かえるがみえる』(1975年 こぐま社)の色校用リトグラフが4点展示されています。

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まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだニャゴ!

会場:山形美術館

会期:4月11日(金)~5月25日(日)月曜休館

www.yamagata-art-museum.or.jp

 

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絵本の中でぼうきれを抱えているカエルを発見。

_ 『2ひきのカエル そのぼうきれ、どうすんだ?』(クリス・ウォーメル作・絵/はたこうしろう訳 徳間書店発行)写真協力 徳間書店児童書編集部

最近、里山の水辺のみならず、街でもカエルに遭遇することがあります。書店ではカエルの絵本に出合うこともあります。最近見つけたのがこの絵本『2ひきのカエル そのぼうきれ、どうすんだ?』(原題『TWO FROGS』)です。イギリス人作家が描いている2匹のカエルは、その姿形からするとたぶんヨーロッパトノサマガエルではないでしょうか。そのうちの1匹はなぜか棒切れを持っています。どうも池の真ん中で犬に襲われるのを恐れて備えているようです。さあ、本当に犬はやってくるのでしょうか。その棒切れは役に立つのでしょうか。前回のこのブログでは、なぜカエルグッズに木片につかまっているポーズのカエルが意外に多いのか、イソップ寓話の「王様を欲しがる蛙」を引き合いに想像してみました。この絵本のカエルにも、イソップ寓話の流れを汲んだカエル文化が生きているような気がしました。

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5月、水辺からカエルたちの鳴き声が聞こえてきます。

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『あまがえるのあおちゃん』(高家博成・仲川道子作 童心社刊)

  毎年めぐって来る季節なのに、今年もあらためて5月って気持ちがいいなあと思います。カエルの鳴き声も聞こえました。100年カエル館の庭ではアマガエルが クェックェックェッと、水が入った近くの田んぼではトノサマガエルがグゲゲゲゲと、アクアマリンいなわしろカワセミ水族館を訪れると敷地内の池ではシュレーゲルアオガエルが甲高い声でキリリリ、キリリリと……。鳴き方でも自分の個性を発揮するカエルってすごいなあなどと思いながら通り過ぎました。

 この時季、書店に行けば、"カエルさん"が描かれた絵本に出合うことも多く、最近見つけた1冊が『あまがえるのあおちゃん』。表紙カバーに描かれたあおちゃんは、正面を向き、広げた自分の手足の指を確認するように見ています。「かわいいいきもののえほん」として、小さなお子さん向けに親しみやすく描かれていますが、「手(前あし)は指が4本、足(後あし)の指は5本あって、目から鼻にかけて黒茶色のラインが目立っている」二ホンアマガエルの特徴をしっかり伝えています。

 作者のお一人、仲川道子(なかがわみちこ)さんは絵本『10ぴきのカエルシリーズ』(PHP研究所刊)でも知られます。そしてもうお一人、高家博成(たかいえひろしげ)さんは、元多摩動物公園飼育課昆虫飼育係長を務めた経歴をもつ農学博士で、お二人で「かわいいむしのえほん」シリーズ(童心社刊)を出版されています。

 『あまがえるのあおちゃん』では、本を開くと最初に目にする表紙カバーのソデの部分で、あおちゃんはたまごからかえるになり、中面で元気に跳びまわります。アマガエルの場合、周囲の色の影響を受けて大きく色変わりすることがありますが、そのことをあおちゃんの成長の物語の中で知ることができます。

 アマガエルは庭など身近な自然の中で出合う機会が多く、野外で自然観察しやすいカエルだと思いますが、子どもたちにとってそんなアマガエルがさらに身近に感じられるうような絵本です。

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絵本『ガマ田先生にまかせなさい』■冬眠するカエルたちへのガマ田先生からのアドバイス

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富安 陽子・作 小笠原まき・絵(学研1997年初版)

 11月に入り、日本ではカエルたちの多くが冬眠の準備を始めている頃かもしれません。「みどり沼」のほとりで開業医を務めるガマ田ガマの介先生も冬のにおいのする頃になると、ねむたくなって「ガマ田医院」の看板をおろし、「冬みん中」と書いた札をぶら下げるそうです。

  絵本『ガマ田先生にまかせなさい』の中でのこと。この先生、「このガマ田ガマの介になおせん病気はない」が口ぐせだけあって、自他ともに認める名医のようです。でも、医者の不養生でしょうか、料理上手なガマ奥さんがつくるおいしい食事を食べ過ぎて、いささかオーバーウエイト気味。特に奥さんの得意料理、バッタ・ステーキのヘビイチゴソースとテントウムシのグラタンには目がないガマ田先生です。

 確かに、医者としての治療の腕は評判通りなので、体調の悪くなったいろいろな生きものたちが頼ってきます。卵を食べただけで発症したイタチのピィピィ病も、コウモリ宮殿に住むコウモリ大王の重症の虫歯も治療しました。恐ろしい青大将が原因で患っているヒヨドリのないしょ病は、ガマ田先生が青大将と果敢な心理戦を繰り広げることで解決したのですが、そのリベンジに患者としてやってきた青大将に今度はガマ田先生自身が丸呑みにされ、あわや・・・。でも、大丈夫。医者らしい好奇心を発揮して、みごとに撃退しました。

 カエルたちは、秋頃から寒くなって動きが鈍くなり、最低気温が5度を下回る頃になると冬眠します。でも冬眠の場所選びや準備に失敗すると、翌春を迎えられないこともあります。「冬みんまでの間に、うんとえいようをとらんといかんからね。」とは、冬眠する生きものたちへのガマ田先生の医者としてのアドバイスに聞こえました。

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