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童話『にっこりいけのヒキガエル』(金の星社)/豊かな自然観察から生まれた物語

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『にっこりいけのヒキガエル』ソーントン・バージェス作 田谷多枝子訳 赤星亮衛絵

この童話は1972年に、田谷多枝子/訳、赤星亮衛/絵 で出版されたアメリカ人作家ソーントン・バージェス(1874-1965)原作の童話です。

ヒキガエルが中心になって物語が展開する童話といえば、『たのしい川べ(原題『THE WIND IN THE WILLOWS』)を書いたイギリス人作家のケネス・グレアム(1859ー1932)の方が日本ではよく知られているかもしれません。

二人はほぼ同時代を生きて、どちらもヒキガエルが登場する作品を出版しています。グレアムの場合は、日本語で「ヒキガエル氏」、バージェスは「ヒキガエルのじいさま」を登場させているのですが、どちらのヒキガエルもいばりんぼうでわがままな性格なので、同じ水辺に棲息する生きもののなかまたちを困らせることで物語は展開していきます。

また、両作品とも、それぞれの作者が父親として幼い息子のためにグレアムは語って聞かせ、バージェスは手紙に書いて伝えることから楽しいヒキガエルの物語が生まれています。

大きな違いがあるとしたら、バージェスの書いた『にっこりいけのヒキガエル』の方が、幼い頃から好きだった自然観察をもとにヒキガエルの生態がよりリアルに描かれているのではないかと感じられます。

たとえば、普段はさえないヒキガエルのじいさまが、春になるとにっこりいけですてきなコーラスを聞かせ繁殖活動をしてたくさんのオタマジャクシ、そしてチビガエルを誕生させていること、動きがにぶく見えるヒキガエルのじいさまが虫を食べるときは他の動物とちがって口の中の先の方についている舌を使って、舌先のねばっこい部分に虫を付着させてのどの奥まですばやく運ぶスゴワザを見せること、その他、衣替え(脱皮)をすることもあれば、うしろ足で土を掘ってその場からあっという間に姿を消してしまうこともあることなど、「ピーターうさぎ」や「スカンクのジミー」といった異なる種の動物の視点から興味津々(きょうみしんしん)に語られています。

カエル(かえるのジェレミー・フィッシャー)やヒキガエル(ジャクソンさん)を物語に登場させた作家には、「ピーターラビット」シリーズで知られるイギリスのビアトリクス・ポター(1866ー1943)もいます。19世紀後半から20世紀にかけて、欧米社会から人間界と自然界をつなぐようなすばらしい物語が生まれ、そこではカエルがとても大切なことを伝える役割を果たしています。

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