カエルタイムズ第2号[文化](2005年6月25日発行)ミュージアムに住むカエル2 「蝦蟇仙人に会いたい、蝦蟇仙人になりたい」 (後半)高山ビッキ
ミュージアムに住むカエル2「蝦蟇仙人に会いたい、蝦蟇仙人になりたい」(後半)
[蕭白の蝦蟇仙人に会いたかったけれど、…]
インディアナポリス美術館名品展にも作品が何点か展示されていた絵師に、曾我蕭白(そがしょうはく/1730ー1781)がいます。2005年4月12日から5月15日まで、京都国立博物館ではその絵師の作品が目いっぱい堪能できる特別展覧会「曾我蕭白~無頼という愉悦」が開催されました。蕭白の作品の中にも蝦蟇仙人が“いる”というのに、その時は京都まで足を延ばせず会いにいけませんでした。取り寄せた図録を見ただけでしたが、奇想天外な絵の数々に江戸期の日本美術の層の厚さを知るきっかけになりました。
もともとちょっと変わった画題である「蝦蟇仙人」ですが、この絵師の手になると「群仙図屏風」に代表されるように絵の構成から仙人の表情まで、独特の異様さがこれでもかといわんばかりに強調されています。絵の実物は見たかったけれど、こんな蝦蟇仙人が本当にいたらちょっと後ずさりしてしまいそうな…。
蕭白は同時代の絵師伊藤若冲(いとうじゃくちゅう/1716ー1800)と比較して語られることがあります。共に江戸後期の画人としては、現実の再現にこだわらず自らの内面世界を表現することに絵師の本領を発揮しました。この二人が昨今特に注目されるのは、現代人の最大の関心ごとである精神世界を200年前すでに江戸期の卓抜した技術をもってリアリティ豊かに表現しているからでしょうか。その二人の作品にカエルが重要な役割をもって登場していることが、カエル好きはなぜかうれしいのです。
ただし、二人のカエル表現はそれぞれの内面性の表出であるだけに、与える印象はまったくちがっています。それは音楽にたとえれば、「池辺群虫図」などに見られる若冲のカエルの絵が、静かだがやや難解な環境音楽だとしたら、蕭白のカエルの絵は、人によってはまったく受け付けないが人によってはのめり込まずにはいられない、ヘビメタやパンクの世界といったところでしょうか。
蝦蟇仙人になることができれば、伝説どおりに金貨をくわえた三足の蛙を釣り上げてお金持ちになれるのでしょうか。そうはならなくても、日本そして世界のさまざまなミュージアムに住む蝦蟇仙人には会いに行きたい。
<後日談として>
カエルタイムズを発行しているときに蝦蟇仙人について考えた後、100年カエル館は2011年と2016年と2019年に福島県立博物館で100年カエル館コレクション展を共催させていただきました。偶然のことですが、その展示とは別に、11年のときは谷文晁の「八仙人図」、16年のときは05年には対面がかなわなかった曾我蕭白の「群仙図屏風」が同館の別の展示室に展示されていました。また、19年のときは同館の企画展「どうぶつの考古学」が別の展示室で開催され、カエルが施された縄文土器やカエル型の角製品を観ることができました。
100年カエル館は、2026年5月25日(月)に『ガマ仙人の家』(高山ビッキ著 100年カエル館刊)を発売開始いたします。ご購入はカエルグッズのお店Cave(ケイヴ)東京・吉祥寺 TEL.0422-20-4321 https://www.cave-frog.com へ。
※発売を記念してご購入いただいた方に100年カエル館の100年のあゆみ「100年カエル館モノ語り」をプレゼントいたします。100年カエル館のこれまでの歩みを掲載した冊子とそこから生まれたフィクションの『ガマ仙人の家』を併せてお読みいただけます。
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「100年カエル館」 https://kaeru-kan.com
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