カエルタイムズ第4号[自然・総合](2005年10月25日発行)「東京のカエル」(浅井ミノル)
<100年カエル館と浅井ミノルさん>
2005年当時、井の頭自然文化園水生物館館長をされていた浅井ミノル氏にカエルタイムズにご寄稿いただきました。ここでは第4号の自然・総合面に書いていただいた「東京のカエル」を紹介いたします。カエルの生息地の減少は当時すでに言われていましたが、特に東京をはじめ都市部においては身近にカエルを見かけることがなくなったことについて書かれています。
あれから20年経ってカエルを取り巻く状況はあまり変わっていないようにも見えますが、カエルについて関心をもつ人や研究する人は確実に増えていると思います。都市部におけるヒキガエルの生態についても調査報告を読むことがあります。高層階のベランダのプランターなどに姿を見せるいわばアーバンフロッグは、新しい自然を歩み出しているのでしょうか。
特別寄稿「東京のカエル」浅井ミノル(井の頭自然文化園 水生物館館長)
23区内にすむヒキガエル
いま東京都の23区内で見ることが出来るカエルの筆頭はアズマヒキガエル(以下ヒキガエル)でしょう。ほかのカエルの仲間がほとんど姿を消してしまった都心の近くにもまだすんでいるようです。東京都環境局がまとめた「東京都の保護上重要な野生生物種」(いわゆるレッドデータブックの東京版 1998年刊)によれば都内区部のヒキガエルの現状は「希少種」に相当するランクとされています。
私が見ている限りですが、23区内のヒキガエルの将来は決して明るくはありません。彼らがすむのに適した、庭のある昔の家はどんどん取り壊され、コンクリートで地表が固められたマンションに変わっています。一般の家屋も昔のような生垣や竹垣から、小動物が自由に通り抜けることができないブロック塀に変わっています。初春や秋には道路で自動車にひきつぶされたヒキガエルの姿を見かけ、心が痛みます。
カエルにとっての都会生活のきびしさ
ヒキガエルは通常は池などの水場がなくても生きていけますが、産卵とオタマジャクシの成長には水のある場所が必要です。都内には安定して水をたたえ、オタマジャクシを捕食する魚がやって来ない、浅い池が少なくなっています。最近都内の小学校では“ビオトープづくり”として学校に池をつくるところがありますが、私たちのビオトープ経験からいうと、ヒキガエルは産卵はできるのですがオタマジャクシになってからなかなか育ちません。一方で都会のビオトープ池にはトンボはたくさん飛んできて産卵しヤゴが育ち、いつの間にかアメリカザリガニがすみ着きます。オタマジャクシの捕食者が多すぎるのでしょうか。
そしてもうひとつの障害、つい最近も電話で相談を受けました。「うちの庭にもう何年もカエルがすみ着いて、気持ち悪くて困っているんだけど何とかなりませんか?」・・・カエルがすめる自然のあるすばらしい庭ではないですか、とお話しても理解してもらえそうもありません。都会の高層ビル化の動きはなかなか覆すのは難しいのでしょうが、人のカエルへの理解が少しでも高まってほしい、と思うのです。
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