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2025年11月13日 (木)

カエルタイムズ第4号[自然・総合](2005年10月25日発行)岩澤久彰先生のコラム A murmur of kaeru「冬眠前のカエルの呟き」

<100年カエル館と岩澤久彰先生>

大学で長く教鞭をとられた故岩澤久彰先生は、発生学がご専門でカエルの研究者でした。名誉教授になられてからは日本両生類研究会を創設されカエルに関わる後進を育てることにも尽力されました。100年カエル館と先生の出会いは、先生もカエルグッズの蒐集を趣味にされていたことで喜多方の骨董店に立ち寄られることがあり、父と共通のご友人がいらっしゃったことからわが家を訪ねてくださったことがあります。100年カエル館を創設する前のことです。

100年カエル館の創設やカエルタイムズの刊行は岩澤先生の激励があって実現したと言っても過言ではありません。当初カエルタイムズは100号をめざして刊行を始めました。先生も100号までがんばりたいと執筆を受けてくださいました。その手書きの原稿はファックスで届き、図版は郵送していただきました。ここではカエルタイムズ4号(蛙新聞壱百分之四號)に掲載した先生のコラム「冬眠前のカエルの呟き」を紹介します。

コラム A murmur of kaeru「冬眠前のカエルの呟き」新潟大学名誉教授 岩澤久彰

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秋も深まってきた。山野のカエルは夏の間、老いも若きも、起きては喰い、喰っては寝ての毎日を繰り返してきたが、同じ変温動物のヘビやトカゲのような鱗(うろこ)さえない丸裸の素肌に夜風の寒さを感じる頃になると、冬の厳しい寒さを経験したことのある1歳以上のカエルは前年の辛い経験を思い出すだろうが、この春に生まれた若ガエルは、何となく様変わりしてきた周囲の光景に気づき、戸惑っていることだろう。夜霧にぬれて体が冷えると、カエルは変温動物だから体温が下がり、体の諸々の働きが鈍ってくる。この秋口の冷気は0歳の若ガエルには強いストレスになっている筈(はず)である。カエルはとてもストレスに弱い。

私はカエルの言葉が判らないので、明言はできないが、ひと冬の経験を持つ1歳のカエルと初めての冬を迎える0歳のカエルを自然に近い状態で飼育してみれば、冬の入りに対する両者の振る舞いの違いが何となく判る筈である。自然に近い状態の飼育室で大切に飼育されてきた、2、3回の冬眠経験のある中年のカエルなどは、冬の到来を小学生の冬休み入りぐらいにしか思っていない点が感じられる。私はここ2、3年の思案で、発育のよいカエルにとって、冬眠は大したイベントではないようだと考えるようになった。

カエルは人間よりうんと短命だから、少し前のことも知らないだろうが、カエルの寿命にも関わることで、昨今、大きく変わったことといえば、地球の温暖化である。

私はカエルの多い越後の田舎町で生まれ育ったが、小・中学校の頃の冬の雪はとても大変で、気の小さい私は、文化の日を過ぎた頃から、もう冬の通学のことを心配していた。ところが今は、冬になっても雪らしい雪は積もらない。冬近くになって気になるのは、年賀状書きのことくらいである。

この温暖化のお陰で、近年は雪国でも冬眠中に凍死するカエルは稀ではなかろうか。凍死するのは、たぶん、充分な餌を捕れず、栄養不足で冬を迎えたか、病気の個体くらいのものであろう。

いくらひもじいといっても、秋枯れの地面には、もはや餌になる小動物は多くはない。変温動物のヘビは既に寒さで動きが鈍い。餌探しの時に気をつけるべきは、今が書き入れ時の元気一杯なモズである。モズに捕まると枯木の小枝に刺されて俳句のネタになるのが落ちつくところだ。

眼にふれて 日ごとからびぬ 鵙(もず)のにえ (杜夫)

新潟地方気象台の長期予報によれば、北陸地方の今冬は暖冬小雪の可能性が強いという。予報があたってもらいたいものである。

前述のように、私はカエルの言葉が判らず、その上老齢のためカエルの呟きがまったく聴きとれない。それで題名に外れた文面になってしまった。お許し下さい。(写真はアズマヒキガエル)

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