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2025年11月16日 (日)

カエルタイムズ第4号[自然・総合](2005年10月25日発行)自然写真家前田憲男氏の「晩秋のカエルたち」

<100年カエル館と前田憲男さん>

100年カエル館は2024年に前田憲男氏の日本のカエルの写真と故柴田まさる氏の日本のカエルを基にしてキャラクター的に描いたスケッチ画を併設展示した「カエルアートマン展」を開催しました。日本の全種類のカエルを撮影されている前田さんには、カエルタイムズにもフォト・エッセイを書いていただきました。日本全国、カエルが棲息しているところに出向いて撮影するフットワークは、まるで日本列島各地のカエルたちとのネットワークがあるかのようで、それぞれのカエルと自然環境の関係まで映し出されています。カエルタイムズを編集していたときには、当時東京・池袋にあった弊社事務所まで「近くまで来たから」と軽快なフットワークで写真を届けてくださいました。

フォト・エッセイ「晩秋のカエルたち」自然写真家 前田憲男

広島県のダルマガエル救出作戦

本州の稲刈りが終わった、初秋の水田にはまだ暖かみを残した陽光が輝き、トンボたちが過ぎ行く何かを探すがごとく飛び交っている。わずかに伸びた雑草の中に足を運ぶと、思いも及ばぬほどの虫たちが飛び出してくる。わずかな地域にこんなにも多くの生命が生存していたのか息がつまる思いがする。田んぼに積み残された藁(わら)クズを踏むとカエルが飛び出してきた。厳しい冬にそなえ体力を貯えるための絶好のレストランに足を踏み入れたようだ。

一昨年の秋、広島県でダルマガエルの生息していた水田が商業地区開発により埋め立てられることになった。少数の識者と子供たちによる救出作戦が思い出される。藁クズや雑草をかき分け、冬眠の準備に入ったカエルを手にマメをつくりながらスコップで掘り起こし探す。体力のいる作業だが、救出できたカエルはわずかだった。救出したカエルたちの移転先をどこにするかも大きな問題だった。以前、同県で移転事業を行ったとき、近くだが少し環境が異なる場所に移転を試みたが定着できなかったからだ。

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ダルマガエル(上)トウキョウダルマガエル(下)

紅葉の天城山中のモリアオガエル

週末の伊豆箱根に向かう道路では、大変な車の渋滞に巻き込まれた。快適な季節に自然の大気を求め、紅葉狩りや温泉に向かうためコンクリートジャングルの首都圏から逃れてきた人たち。さずがに天城山中に入ると車も少なくなり、目的地の池に続く林道に入ると対向車は見られなくなった。池に至る登山道は、実をつけた雑草や秋花におおわれていた。小さな沢を渡り最後の登り坂を越すと池に至る森林に踏み込む。足元からは春先と異なり、早くも散りはじめた落ち葉を踏む柔らかな感触が伝わってくる。

樹林に届くかすかな光に照らされたツチアケビの赤い実が浮き上がる。池の近くにはホトトギスが秋光を受け紫色の可憐な花びらを広げている。9月初めにはあれほどいたモリアオガエルの子ガエルの姿は見られないが、まだ時折鳴き声が聞こえてくる。落ち葉や朽ち木をそっとめくってみると、太った子ガエルがうずくまっていた。厳しい生存競争に残ったわずかな子ガエルたちにはさらに過酷な冬が待っている。近くのコケの下には成体もひそんでいた。

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モリアオガエル

繁殖期を迎える沖縄の秋のカエルたち

北欧では上空に冷たい寒気が強くなり、日本列島に寒波が押し出す気配が強まってきた。沖縄北部の山岳部、山の沢を目指し森林の林床を小鳥のような鳴き声で鳴き交わしながら移動するカエルがいた。日本列島に到達する寒波にタイミングを合わせるかのように産卵するリュウキュウアカガエルたちである。沖縄の山間部ではこのカエルを筆頭に、ハナサキガエル、イシカワガエルがこれからの寒い時期に繁殖期を迎える。カエルたちの活動が活発になると、寒さにも関わらずヒメハブやハブの活動も活発になり生残りを賭けた生存競争がここでも繰り広げられる。

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リュウキュウアカガエル

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