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2024年11月

2024年11月23日 (土)

“その年の冬”が来ると思い出すカエルのこと/かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル95

かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル95

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<❞その年の冬❝が来ると思い出すカエルのこと>

100年カエル館

高山ビッキ 

 

 紅葉で山が賑わう頃になると、カエルの多くは冬眠場所を決めなければならないでしょう。変温動物のカエルは寒さで動きは鈍くなり、うっかりすると天敵の鳥に狙われます。

 「鵙の速贄(もずのはやにえ)」といった、カエルに親しみを抱く者には辛く思える光景もこの季節の風物です。

 これを短編小説の中に印象的に表現した昭和の作家に立原正秋(19261980)がいます。

 100年カエル館を運営する弊社は、広告やPR誌の編集の仕事を通して数多くの作家の方々と出会いました。その中で弊社が京都と長くかかわる道開きとなった存在が立原正秋、その小説やエッセイです。

 弊社は1980年代に週刊誌上で連載広告「立原文学の香気」を企画しました。

 作家はすでにこの世を去っていましたが、読売新聞社の記者で作家絶筆となった新聞小説『その年の冬』の担当を務められた故中田浩二氏が執筆に当たりました。

 その後中田さんと弊社は京都の老舗企業をはじめ、40年さまざま仕事で時間を共有しました。

 中田さんは日本橋生まれのチャキチャキの江戸っ子。その切れ味のいい物言いや文章が今も思い出されます。

 戦中戦後の昭和を生きた作家を死の直前まで支え見つめ続けた中田さんに、私たちは時に厳しく指導していただきました。

 定年後は文筆活動の傍ら家庭菜園で野菜作りに励まれていました。いただいた白菜は清らかに甘く美味しかった。

 中田さんの絶筆ともいえるエッセイがあります。そのタイトルは「蛙(かわず)蝉(せみ)の真実」。松尾芭蕉の句の「古池や~」の「蛙」と、「閑けさや~」の「蝉」。後者の「岩にしみ入る蝉の声」と一句詠んだ場所が山形県山寺の立石寺(りっしゃくじ)とされています。近くに大きな蟇岩(ひきいわ)があるので、私たちにとってはどちらもカエルの句、中田さんからの贈物だと思っています。

 生前、演劇研究家でカエルのコレクターとしても知られた故河竹登志夫さんとも親交があった中田さん。「あのカエルたちはどこに行ったのかな」とおっしゃっていたことがあります。

 「中田さん、100年カエル館に展示してありますよ」。

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「100年カエル館」 https://kaeru-kan.com

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