「たのしい川べ」に住むヒキガエル氏のお屋敷を夢見て/かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル89
かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル89
<「たのしい川べ」に住むヒキガエル氏のお屋敷を夢見て>
100年カエル館
高山ビッキ
今年もしだれ桜で賑わった喜多方の4月。「喜多方さくらまつり」では、「桜ウォーク」が開催された日、100年カエル館のわきを大勢の参加者の皆さんが通って行かれました。
同じ頃、本館からゆっくり歩いて100秒ほどの所にある濁川河川公園(にごりがわかせんこうえん)の土手沿いの桜並木も見頃を迎えていました。
生家が田付川を望む土手沿いにあったので、川べは子どもの頃から身近な遊び場でした。建設会社を経営していた祖父が施工したと聞いていた昭和4年に完成した樒橋(しきみばし)(現在は新しい橋に架け替えられている)を起点に、そこからもうひとつ先にある橋までの周囲1キロにも満たない川べがすべての世界。
河原の石に絵を描いたり、夏休みに川べりの木の根元にカブトムシを捕獲するためにスイカを仕掛けたり(実際には捕獲に失敗し可哀想に思った近くの“おじさん”が自分のカブトムシを分けてくださった)、川風に吹かれながらお弁当持ち(ピクニックのこと)、友達と幼稚園を抜け出して川べに行き草地だと思った場所がぬかるみで足がずぶぬれになって……と、楽しいことも悲しいことも川べが教えてくれた気がします。
イギリスの童話作家ケネス・グレアム(1859―1932)が20世紀初頭に書いた『たのしい川べ』の世界では、テムズ川の支流の川べで、モグラくんや川ネズミくんやアナグマさん、そしてヒキガエル氏が、喜怒哀楽のさまざまな感情を抱いて暮らしています。ヒキガエル氏はトリックスター的な存在で、冒険好き。何かに夢中になって危険な目に遭うこともあるのですが、川べの友達に助けられながら切り抜けます。このヒキガエル氏をモデルにして影絵作家の藤城清治氏が生み出したキャラクターが、昭和40年代の子どもたちの人気者ケロヨンでした。
100年カエル館には「ヒキガエル氏」の人形も、「ケロヨン」のお弁当箱も展示しています。最近、喜多方の「たのしい川べ」の近くにも、童話に登場するようなヒキガエル氏のお屋敷があればもっと楽しいのではないか。そんなヒキガエル氏の夢とも100年カエル館を運営する私たちの夢ともつかない夢を抱いています。
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