カエルタイムズ第4号[文化](2005年10月25日発行)落語のカエル かはづの「錦名竹」(青木 隆)
<落語のカエル>
江戸庶民の暮らしが話芸で伝わる落語。そこには「蛙」が登場することもあります。カエルタイムズでは文筆家で落語への造詣が深い青木隆氏に「落語のカエル」を連載していただきました。
かはづの「錦名竹」 青木 隆
店に来た男は、仲買人・弥一の道具七品に関することづてを小僧の定吉に伝える。だが、男は上方訛りで早口に道具の名前を連呼するため、定吉にはチンプンカンプン。七品とは、名刀鍛冶・則光が打った脇差、隠元禅師が京都に建てた寺庭に生えている錦名竹(きんめいちく)使用の自在鉤(じざいかぎ)、竹を寸胴切りにした花活け、織部がつくった香合(香を入れる器)、京都の楽焼である温古(のんこ)の茶碗、風羅坊(ふうらぼう)正筆の掛け物、張り交ぜの小屏風・・・定吉でなくても、現代のわれわれにも理解しがたい。
そのなかに「風羅坊」とあるのは、松尾芭蕉のこと。もともとは、人の心に気まぐれな行動を起こさせる「そぞろ神」の意味で、それに誘われ奥の細道に旅立った芭蕉を、人々は「風羅坊」と呼んだ。ことづてを話す男は「古池や蛙飛び込む水の音と申しまする風羅坊正筆の掛け物」と説明する。正筆とは、芭蕉が直々に書いたという意である。
男は、数回にわたりことづてを伝えたあと「ほな、わては急ぎますよって・・・・」と帰ってしまう。そこへ、定吉の主人が店に帰ってきた。
「いま、だれかが店から出ていったようだが」
「仲買人の弥一さんのことづてです」
「おお、弥一がどうしたって?」
「古池に飛び込んだそうです」
「なに!。弥一には道具を買えと指示しておいたのだが、ちゃんと買ったのか?」
「いえ、買わず(蛙)でございます」
というのがオチ。錦名竹は口慣らしのための前座噺だが、「居酒屋」などで知られた三代目・三遊亭金馬など、名人たちもよく高座にかけていた。
タイトル画は100年カエル館所蔵の郷土玩具のカエルをイラスト化した“カエルの風羅坊”。(写真:100年カエル館発行『蛙辞林』より。)
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