カエルに会える水族館

カエルに会える水族館■札幌市円山動物園のカエルたち(北海道)

 日本について「南北に長い国土をもち、……」と表現することがありますが、日本のカエルの分布を見ても北から南までの距離やそれに伴う気候の変化がみごとに表れている気がします。

 特に南の沖縄県には20種ほどのカエルが生息しているのに、北の北海道には在来種がエゾアカガエルとアマガエルの2種(他に移入種が数種)ということに、カエルは本来熱帯性の生きものなのだなと思う一方、それでも北に生きるカエルたちがいることに興味惹かれます。

 さらに北海道では年間でカエルに出合う期間は短いと思いますが、カエル好きな人やカエルに関する活動をしている人が多くさまざまな情報発信をしています。

 そこで今回は、北海道のカエルたちについて、札幌市円山動物園の片岡雅人さんに取材させていただきました。

■札幌市円山動物園で出会えるカエルたち

同園で常設展示しているカエルの種類は、北海道の在来種のエゾアカガエルとアマガエル、そして、外国産のコケガエル、マダラヤドクガエル、キンイロアデガエル、キオビヤドクガエル、アイゾメヤドクガエル、コバルトヤドクガエル、モウドクフキヤガエル。

エゾアカガエル・アマガエルは北海道の爬虫類・両生類ゾーンにて混合展示されています。ケージ内は季節性を持たせるため、季節変化に合わせた温度管理を徹底。そのためそれぞれの季節に合わせた姿を見ることができ、春には卵を産んでいることもあるそうです。

「エゾアカガエルは赤茶色の体で5㎝程度の大きさです。他のカエルに比べ繁殖期の時期が早い(4~5月)ので、池などで卵を見つけると北海道の春の訪れを感じます」と片岡さん。

コケガエルやヤドクガエル類などの外国産のカエルは、横1列で展示しているので種ごとの違いなどを見比べることができます。センターラボという場所ではヤドクガエル類を展示。「普段あまり見ることのない色鮮やかなヤドクガエル類は、とてもきれいだという感想が来園者から聞こえてきます」。

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アイゾメヤドクガエル(コバルトヤドクガエル)(柴田まさる画・100年カエル館蔵)体長 35㎝ 分布 スリナム 環境 地上

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キオビヤドクガエル(柴田まさる画・100年カエル館蔵)体長 23㎝ 分布 ベネズエラ、コロンビア、ガイアナ 環境 地上

■北海道の外来種について

 北海道では在来種の2種に加え、近年、国内外来種としてトノサマガエル、アズマヒキガエル、トウキョウダルマガエル、ツチガエルの生息が確認されるようになりました。このことに関しては同園でも注意深く観察しています。

 コロナの感染拡大が起こる前までは、北海道に生息する外来種について普及啓発するイベント「北海道の外来種展」を開催してきました。外来種の動物や植物などを展示し、その中で北海道に生息する在来のカエルと国内外来種となっているカエルが展示されました。その時展示したアズマヒキガエルは今も爬虫類・両生類館で飼育・観察しているそうです。

 北海道のカエルについて知ることは、日本のカエルのこれまでの歴史やこれからの動向を考える上でとても重要なのではないかと感じました。今後も折に触れ円山動物園さんのカエルに関する展示イベントや北海道のカエルの情報を紹介させていただければと思います。

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札幌市円山動物園は虫類両生類館

【札幌市円山動物園】 〒064-0959 札幌市中央区宮ヶ丘3番地1 TEL.011-621-1426

https://www.city.sapporo.jp/zoo/

 

<関連サイト>

「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com

「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u

「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru

※現在、「コトバデフリカエル」では「カエル白書」Vol.3を配信中です。

http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/froggy_museum/

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カエルに会える水族館■アクアマリンいなわしろカワセミ水族館のカエルたち(福島県)

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カジカガエル(アクアマリンいなわしろカワセミ水族館)

■福島県にある2つの水族館

 福島県会津地方の猪苗代町にある「アクアマリンいなわしろカワセミ水族館」(以下カワセミ水族館)。

福島県には公益財団法人ふくしま海洋科学館が運営する水族館が2つあります。ひとつは平成12年に太平洋側のいわき市小名浜に開館した「アクアマリンふくしま」で、地上4階、延べ床面積15,233㎡の大きな水族館です。「海を通して『人と地球の未来』を考える」を理念に掲げ、「環境水族館宣言」をしています。

そして、もうひとつがこの「カワセミ水族館」で猪苗代湖の近くにあり、湖沼や川など淡水の生きものを中心に飼育、展示している水族館です。

 

■カワセミ水族館で出会えるカエルたち

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20㎝キューブ水槽のカエル・イモリ展示

同公益財団カワセミ水族館チームのチームリーダー、平澤桂氏に同館のカエルの生体展示について伺いました。「県内在来種11種類を20㎝キューブ水槽で『おもしろ箱水族館~生物多様性の世界~』として展示しています」。福島県に生息しているカエルは、在来種の二ホンアマガエル、モリアオガエル、シュレーゲルアオガエル、二ホンアカガエル、ヤマアカガエル、タゴガエル、ツチガエル、カジカガエル、アズマヒキガエル、トウキョウダルマガエル、トノサマガエルの11種と、外来種のウシガエルで12種類。「ウシガエルは『外来種の脅威コーナー』の90㎝水槽で展示しています」。来館者はすべてのカエルの展示を見て「福島県内にこんなにたくさんの種類のカエルがいるのかと驚く声も聞かれます」と平澤さん。

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モリアオガエル(アクアマリンいなわしろカワセミ水族館)

同館が開館したのは2015年。その年の秋には「かえるふくしま」をテーマに、福島県在住の新聞記者で自然カメラマンの矢内靖史さんの写真展を開催しました。「福島県は東日本大震災、そして原発事故により県内の自然環境が大きく変わりました。カエルたちの目に震災後の福島がどう映っているのかを考えながら撮影された矢内さんの写真は、多くの来館者の心を捉えました」。

 

■「会津は両生類の宝庫」と研究者

 「アクアマリンふくしま」は「新潟市水族館マリンピア日本海」と友好提携をしていますが、会津は歴史的に新潟県とのつながりが深くその地理的な環境条件を考えても、カエルなど両生類は太平洋側からの水系と日本海側の水系両方の影響を受けているかもしれないと研究者の方々の間では関心をもたれていたようです。

 2018年に100年カエル館は日本両生類研究会との共催で、同会創設20周年記念の自然史フォーラムをカワセミ水族館からも近い喜多方市で開催しましたが、そのフォーラムでは、生物学博士の吉川夏彦氏に「福島県の両生類 東西の勢力がせめぎ合う場所・会津」という演題で講演をしていただきました。吉川氏は「2017年版ふくしまレッドリスト」の調査員として会津の両生類を調査した経験から、サンショウウオやカエルの分布を通して会津という土地の興味深い特徴を解説してくださいました。「会津は両生類の宝庫」とも。

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左はアズマヒキガエル、右はトノサマガエル(アクアマリンいなわしろカワセミ水族館)

■カワセミ水族館を楽しもう

 そんな会津のカエルなど両生類に出会ってみたいときには、最初にここカワセミ水族館を訪ねてみてはいかがでしょう。また、会津を含め福島県のカエルについてのご質問は同館HPのお問い合わせフォームでご対応いただけます。

 また同館では、県内に生息する12種類のカエルの缶バッチセットも販売していて人気です。福島県のカエルたちとの出会いの記念に、コレクションアイテムにいかがでしょうか。

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 【アクアマリンいなわしろカワセミ水族館】〒9693283 福島県耶麻郡猪苗代町長田東中丸34474  TEL.0242-72-1135

https://www.aquamarine.or.jp/kawasemi/

 

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<関連サイト>

http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/froggy_museum/

「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com

「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u

「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru

※現在、「コトバデフリカエル」では「カエル白書」Vol.3を配信中です。

 

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