建築・デザイン

太古の記憶もよみがえるカエルのデザイン「ゴドガンテーブル」

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  写真はオランダのデザイナーチームによる木製のテーブル「ゴドガンテーブル」。サイズは260×90×75cm。トップから片側のサイドにかけておびただしい数のカエルやオタマジャクシが彫り込まれている。日本でもギャラリー「ル・ベイン」(東京・港区)で展示されたことがある。

 残念ながら実物を見ていないのだが、写真を見ただけでもすごいと思い画像をお借りした。一瞬目をそらしたくなる受け入れ難さと不思議な快感が同時に湧き起こり、現代人の脳の中に残っている太古の記憶がよみがえるようなデザインだと思った。私たちが10月に行ったカエル文化シンポジウムではカエルの絵柄が施された縄文土器についても語られたが、人間の食生活まわりとカエルが違和感なく結びつくことに、紀元前の昔につくられた縄文土器とこの現代のデザインはおしえてくれる。

デザインはVan Eijk & Van der Lubbe によるもの。カエルの彫刻はインドネシアのウッドカービングの職人たちが担当している。「ゴドガン」というのはたぶん「カエル」という意味だろう。以前、バリ島のガイドブックを編集したときに、「コトッ」とか「ゴドッ」とかいう響きはカエルを差し、カエルはバリの神様なので「まこと」という名前の日本人は大切にされると聞いたことがある。

 来年初めに発行するカエルタイムズ13号では、このゴドガンテーブルの制作風景の写真や制作秘話などを掲載しますので乞うご期待。

作品名:Godogan 

デザイン:Van Eijk & Van der Lybb                                            

 

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ヴァナキュラー建築とカリフォルニアのオオヒキガエル

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  目黒のアンティークショップで見つけた一冊の写真集。表紙にはカエルの形の建築物がドーンと映っている。よく見るとそれは「TOED INN」という名前のドライブインで、1930年代にアメリカのサンタモニカに本当に建てられたもののようだ。TOEDとなっているが、TOAD(ヒキガエル)のことだろう。

 写真集のタイトルは「カリフォルニア クレージー/ロードサイド ヴァナキュラー アーキテクチャー」。掲載されている建物はカエルのほかに、イヌや恐竜、ブタ、フクロウなどの動物、アイスクリームやドーナツ、ホッとドックなどそのお店が販売しているものをそのままデザインしたような建築、さらに乗り物や食器や楽器などの形態のものもある。

 20世紀初頭のカリフォルニアのロードサイドにはまさにハリウッド映画さながらの建造物がドライバーの目に飛び込んでいたのかと思うと壮観である。(現在どうなっているかを比較して語れないのは残念だが・・・。)

 そしてサブタイトルに使われている「ヴァナキュラー」という言葉は、建築用語で「土着的な、風土に根ざした」という意味がある。他の土地だったら奇妙に受け取られかねない建築群が、20世紀初頭のカリフォルニアでは風土に根ざしたものだったということか。ヴァナキュラーは、文化論としては80年代にポストモダンが語られたときに注目された言葉だが、ここへ来て再び議論されている。

 深くを論じる知識はないが、そんなヴァナキュラー建築の歴史にカエルの建物があることは誇らしいことだ。このような大胆なデザインの建物がたくさん作られた理由は、オーナーたちが建物自体に宣伝効果を期待したからのようだ。その最盛期はTOED INNもつくられた1925~1934年だったそうだ。

 この写真集は1970年頃に出版されているが、数ある掲載写真のなかでも「カエル」が表紙に使われていて、それが21世紀の今骨董店から発掘されることはヴァナキュラー論においても意味があることだと思いたい。

100年カエル館・カエ~ル大学へはこちらからhttp://kaeru-kan.com/kayale-u/

<関連サイト>

「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru

「キモノ・二・キガエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kimonokigaeru

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