絵本・童話

「がまくんとかえるくん」の“一人バイリン唱”のすすめ

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 長いこと企業のPR誌の編集、最近ではウェブの中身の制作の仕事をさせていただいているが、企業の担当者の方からカエルについて聞かれることがある。

 「カエルが失くしたボタンを見つけに行く童話って知ってる?」とM氏。すぐに思い浮かばなかったのだが、「あっそうか、そんなことをするのは『がまくんとかえるくん』に違いない」と気づいた。

 M氏の中学生の息子さんが英語スピーチコンテストで朗読することになったのがそのストーリー。息子さんは通っている中学校の一年生の代表3人に選ばれた。他の2人は女子生徒で幼い頃からバイリンガルの環境で育っていて、日本語環境で育った息子さんはお父さんによれば「声が大きいことが評価された」という。

 息子さんが『がまくんとかえるくん』を奨られた理由は、そのお話がシンプルで情感を込めやすいからだそうだ。

 本当にその通りで、その後私がハマってしまったのが『がまくんとかえるくん』の、名づけて“一人バイリン唱”(「カエルの歌」の輪唱は2人でやりますが・・・)。『がまくんとかえるくん』の日本語版と英語版を用意し、同じお話を文章の切れ目ごとに日本語と英語で朗読する。この童話は、確かにシンプルで、似たようなフレーズが少しずつ変化していってお話が進む。その流れのなかで、寂しかったり、悲しかったりしたがまくんとかえるくんの気持ちが、うれしくなったり、ほのぼのとしたり、というふうに変わっていく。改めて「アーノルド・ローベル、いい童話をつくってくれたなあ」と感謝したくなった。

 そして童話というものが声を出して読むことで、さらにその味わいが伝わることも改めて知った。100年カエル館には寄贈していただいた本も含めてカエルをテーマにした絵本や童話も所蔵しているので、カエルになりきって朗読を楽しみたい。

 大人の皆さんも『がまくんとかえるくん』の“一人バイリン唱”をやってみてはいかがでしょう。まず日本語で情感を込めて読んだ文章を同じ情感のまま英語で繰り返す。マネゴトではない自分の思いのこもった英語が身につきそうな気がします。

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「かえるくんとがまくん」の作者の未発表作を発見

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「がまくんとかえるくん」シリーズで知られるアメリカの童話作家、アーノルド・ローベル(1933~1987)の未発表作品が発見され、その翻訳本が出版された。

 そのタイトル「カエルも ヒキガエルも うたえる」からも想像されるように、「がまくんとかえるくん」の原点と考えられる作品だ。ローベルはこの作品を友人のためにモノクロの線画で描き、文章をつけている。そして発見された線画に彩色を施したのは、娘で舞台美術家のエイドリアン・ローベル。

 子どもの頃、絵を描くときに「はみでてもいいんだよ」とアドバイスしてくれた父の言葉を思い出しながら作業を進めたという彩色は、夢見るようなやさしい色合いに仕上がっている。翻訳は、詩人・エッセイスト・ラジオのパーソナリティとして日本語で創作活動をするアーサー・ビナードが担当。

 話は変わるが、長らくお待たせしているカエルタイムズ12号は、明日(8月9日)発行になります。今号の特集では、アーサー・ビナードさんによる“カエルと文学の関係の日米比較”を展開している。アーサーさんはそこでカエルが描かれている文学作品や物語の魅力のひとつに、どんな奇想天外なストーリーに思えてもその土台に自然観察が息づいていることを挙げている。

 ローベルの作品の翻訳に当たっても、自然界にいるカエルに思いを馳せて日本語にしたそうだ。

 『カエルも ヒキガエルも うたえる』もカエルタイムズ12号も、ぜひ読んでみてください。

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