絵本・童話

絵本の中でぼうきれを抱えているカエルを発見。

_ 『2ひきのカエル そのぼうきれ、どうすんだ?』(クリス・ウォーメル作・絵/はたこうしろう訳 徳間書店発行)写真協力 徳間書店児童書編集部

最近、里山の水辺のみならず、街でもカエルに遭遇することがあります。書店ではカエルの絵本に出合うこともあります。最近見つけたのがこの絵本『2ひきのカエル そのぼうきれ、どうすんだ?』(原題『TWO FROGS』)です。イギリス人作家が描いている2匹のカエルは、その姿形からするとたぶんヨーロッパトノサマガエルではないでしょうか。そのうちの1匹はなぜか棒切れを持っています。どうも池の真ん中で犬に襲われるのを恐れて備えているようです。さあ、本当に犬はやってくるのでしょうか。その棒切れは役に立つのでしょうか。前回のこのブログでは、なぜカエルグッズに木片につかまっているポーズのカエルが意外に多いのか、イソップ寓話の「王様を欲しがる蛙」を引き合いに想像してみました。この絵本のカエルにも、イソップ寓話の流れを汲んだカエル文化が生きているような気がしました。

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5月、水辺からカエルたちの鳴き声が聞こえてきます。

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『あまがえるのあおちゃん』(高家博成・仲川道子作 童心社刊)

  毎年めぐって来る季節なのに、今年もあらためて5月って気持ちがいいなあと思います。カエルの鳴き声も聞こえました。100年カエル館の庭ではアマガエルが クェックェックェッと、水が入った近くの田んぼではトノサマガエルがグゲゲゲゲと、アクアマリンいなわしろカワセミ水族館を訪れると敷地内の池ではシュレーゲルアオガエルが甲高い声でキリリリ、キリリリと……。鳴き方でも自分の個性を発揮するカエルってすごいなあなどと思いながら通り過ぎました。

 この時季、書店に行けば、"カエルさん"が描かれた絵本に出合うことも多く、最近見つけた1冊が『あまがえるのあおちゃん』。表紙カバーに描かれたあおちゃんは、正面を向き、広げた自分の手足の指を確認するように見ています。「かわいいいきもののえほん」として、小さなお子さん向けに親しみやすく描かれていますが、「手(前あし)は指が4本、足(後あし)の指は5本あって、目から鼻にかけて黒茶色のラインが目立っている」二ホンアマガエルの特徴をしっかり伝えています。

 作者のお一人、仲川道子(なかがわみちこ)さんは絵本『10ぴきのカエルシリーズ』(PHP研究所刊)でも知られます。そしてもうお一人、高家博成(たかいえひろしげ)さんは、元多摩動物公園飼育課昆虫飼育係長を務めた経歴をもつ農学博士で、お二人で「かわいいむしのえほん」シリーズ(童心社刊)を出版されています。

 『あまがえるのあおちゃん』では、本を開くと最初に目にする表紙カバーのソデの部分で、あおちゃんはたまごからかえるになり、中面で元気に跳びまわります。アマガエルの場合、周囲の色の影響を受けて大きく色変わりすることがありますが、そのことをあおちゃんの成長の物語の中で知ることができます。

 アマガエルは庭など身近な自然の中で出合う機会が多く、野外で自然観察しやすいカエルだと思いますが、子どもたちにとってそんなアマガエルがさらに身近に感じられるうような絵本です。

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絵本『ガマ田先生にまかせなさい』■冬眠するカエルたちへのガマ田先生からのアドバイス

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富安 陽子・作 小笠原まき・絵(学研1997年初版)

 11月に入り、日本ではカエルたちの多くが冬眠の準備を始めている頃かもしれません。「みどり沼」のほとりで開業医を務めるガマ田ガマの介先生も冬のにおいのする頃になると、ねむたくなって「ガマ田医院」の看板をおろし、「冬みん中」と書いた札をぶら下げるそうです。

  絵本『ガマ田先生にまかせなさい』の中でのこと。この先生、「このガマ田ガマの介になおせん病気はない」が口ぐせだけあって、自他ともに認める名医のようです。でも、医者の不養生でしょうか、料理上手なガマ奥さんがつくるおいしい食事を食べ過ぎて、いささかオーバーウエイト気味。特に奥さんの得意料理、バッタ・ステーキのヘビイチゴソースとテントウムシのグラタンには目がないガマ田先生です。

 確かに、医者としての治療の腕は評判通りなので、体調の悪くなったいろいろな生きものたちが頼ってきます。卵を食べただけで発症したイタチのピィピィ病も、コウモリ宮殿に住むコウモリ大王の重症の虫歯も治療しました。恐ろしい青大将が原因で患っているヒヨドリのないしょ病は、ガマ田先生が青大将と果敢な心理戦を繰り広げることで解決したのですが、そのリベンジに患者としてやってきた青大将に今度はガマ田先生自身が丸呑みにされ、あわや・・・。でも、大丈夫。医者らしい好奇心を発揮して、みごとに撃退しました。

 カエルたちは、秋頃から寒くなって動きが鈍くなり、最低気温が5度を下回る頃になると冬眠します。でも冬眠の場所選びや準備に失敗すると、翌春を迎えられないこともあります。「冬みんまでの間に、うんとえいようをとらんといかんからね。」とは、冬眠する生きものたちへのガマ田先生の医者としてのアドバイスに聞こえました。

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海と空とカエルと、一枚の布に誘われて

最近、夏休みが終わって登校が始まった近所の小学生の女の子とすれ違い、朝の挨拶を交わしました。すると、その女の子がやって来た方角にある住宅の階上から「行ってらっしゃーい」「気をつけてねー」と窓に張りつくようにして涙声で叫ぶ幼い女の子の姿が見えました。長い夏休みをお姉ちゃんと過ごした妹さんなのでしょう。お姉ちゃんは意を決しているかのように振り返ることもなく遠ざかっていきます。そのランドセルを背負った後ろ姿が印象的でした。

そんなふうに夏休みの終わりを感じたら、カエルが登場する絵本や童話について書く宿題を終えていない気がして……。今回は2冊紹介いたします。

どちらにももちろんカエルが登場しますが、どちらのカエルも1枚の布を手に入れることで、自分を取り巻く世界を変えることができました。1枚は青いバスタオル、もう1枚は赤いハンカチで。

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『うみをあげるよ』(山下明生・作、村上勉・画、秋書房、1977年刊行)

『うみをあげるよ』では、団地の上の階に住んでいるワタルくんの、それがないと眠れないほど大事にしている「あおい すてきな タオル」が、ある日、ベランダの物干しから風に飛ばされてしまします。そして、その青いタオルは、ワタルくんの家の近くの森に住んでいるカエルの兄弟が、初めて目にした「うみ」になりました。海を思いっきり楽しむ2匹のカエル。タオルの端にとまったホタルの光は灯台に思えたようです。ワタルくんもカエルたちを見守っているうちにちょっとお兄ちゃんになっていきます。作・画のお二人によるカエルが登場する絵本は「かえるえんみどりぐみ」シリーズなど、他にも読むことができます。

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『カエルのフレディ空を飛ぶ』(ジーグムーント・フレンケル作、きしむらこたろう訳、PHP研究所、2000年刊行/現在品切れ)

 一方、赤いハンカチで凧を作って、空へと飛び出したのは『カエルのフレディ空を飛ぶ』のフレデイです。やはり、干してあった洗濯ものが風に飛ばされてきたのか、こちらは1枚の「真っ赤なハンカチ」を手に入れます。フレディはその活用のしかたをあれこれ考えて、ついには2本の小枝を使って凧を作ることに。そうして、カエルにはできないような空の旅に出て、そこで出くわしたコウノトリの攻撃に対しても知恵を絞って応戦します。作者のジーグムーント・フレンケル氏(1929-1997)は、ポーランド生まれで、ロシア、イギリス、ベルギーでの生活を経て、イスラエルに定住して創作活動をしました。そのコスモポリタンらしい視点なのか、ちょっとシニカルですが世の中を渡るときのヒントがいろいろ発見できる大人のための絵本です。姉妹本に『カエルのフレディ海を行く』もあります。

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童話『カエル水泳きょうしつ』に学ぶカエルのこと

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『カエル水泳きょうしつ』(岡野薫子 作・画 あかね書房刊)

夏、水辺が近くにあればカエルたちが元気に鳴く声も聞こえる季節。映画や絵本の中で、水に親しむカエルを見るだけでもとてもうれしくなります。

映画シリーズ2作目を前に『ピーターラビット』(ウィル・グラック監督作品、2018年)がテレビで放映されていましたが、「ピーターラビット」のカエルといえば、かえるのジェレミー・フィッシャーどん。映画でもイギリスの湖水地方の水辺で釣り糸を垂れるその姿が見られました。

原作者のビアトリクス・ポター(18661943)は、生きものの観察や自然保護活動にも熱心だった人で、うさぎのピーターやかえるのジェレミーが人間と同じようにものを考え、話したりできても、その姿や行動はそれぞれの生きものの特徴を細やかに映し出しています。

そして、今回のブログでは夏らしいカエルの絵本を読みたいなと思っていたところ、手にしたのが『カエル水泳きょうしつ』。童話作家の岡野薫子さんが1977年に出版した本です。岡野さんの童話の数々にもポター作品同様にいろいろな動物たちが描かれています。その1冊に登場したのが、主人公の女の子エミちゃんに水泳をおしえるカエルたち。表紙画に見えるような水着姿のカエルたちが、家族の中で唯一まだ泳げない小学2年生のエミちゃんのために水泳教室を開いてくれるのです。

そんな日常にはあまりない設定もエミちゃんが電信柱に貼ってあった小さな、小さな案内を見つけることで、絵本の中で実現していきます。その案内の「やじるし」を追って進んでいくと「やじるし」は少しずつ大きくなり、「カエル水泳きょうしつ」の受け付けに、エミちゃんの背丈よりも大きい、帽子をかぶったカエルが待っていました。どうも「やじるし」を追うごとにエミちゃんの体のほうが小さくなっていったようでした。

そして、エミちゃんが数日かよった「カエル水泳きょうしつ」でのカエルたちとのやり取りの楽しさは、クレヨンや鉛筆で描かれた夏休みの絵日記のような挿絵とともに水しぶきまでいきいきと伝わってきます。

エミちゃんはカエルの先生たちから体に力をいれなければ水に浮くことができることやカエルおよぎまでいろいろ教えてもらいます。読み手がなるほどと思わせられたのは、カエルは手(=前あし)で水をかかなくても水面から常に目や鼻を出せるからかスイスイ泳いでいけること、それができないエミちゃんはカエルたちのように目と鼻を水の上に出すために背泳ぎをしようと思いつきます。これにはカエルの先生たちも驚いてエミちゃんにその泳ぎ方を教えてもらうのですが、カエルの場合背中を下にして水に浮いたとたんバネ仕掛けのおもちゃのようにひっくり返ってしまったという、まさにカエルと人間の体のつくりの違いがわかるエピソードもありました。

科学映画の脚本家を経て児童文学の作家になった岡野さんの作品には、ポターに通じる、自然観察者の目とファンタジーを生み出す創造力を併せもった表現力を感じました。

「カエル水泳きょうしつ」が開かれていた池は、エミちゃんの家の近くの「こうしんさま」のお堂のところにあったと書かれています。庚申さまとは猿田彦大神のことでもあり、道ひらきの神様ともいわれるこの神様の使い神がカエルだと考えると、エミちゃんに泳げる道をひらいてくれたのもこの神様だったかもしれないと民俗学的な想像をふくらますこともできました。

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絵本『999ひきのきょうだいのはるですよ』でお花見気分

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『999ひきのきょうだいのはるですよ』(文木村研 絵村上康成 ひさかたチャイルド刊)

啓蟄(3月6日頃)を過ぎても、三寒四温、寒くなったり、暖かくなったり。本格的な春を感じるまではもう少し時間がかかりそうです。

そこで一足早く春を感じていただくために紹介する絵本がこの『999ひきのきょうだいのはるですよ』(文 木村研/きむらけん、絵 村上康成/むらかみやすなり、ひさかたチャイルド刊)。

「はるですよー。おきなさーい。」とおかあさんに言われて、桜が満開の頃に活動を開始した「999ひきのきょうだい」のカエルたち。でも、おかあさんがいくら数えてもこどもの数は998ひき。どうもおおきいおにいちゃんがなかなか起きない、ねぼすけさんのようでした。

ようやく起きたおにいちゃん、今度はおとうとたちを連れて、他のねぼすけな生きものたちを起こしに行きます。カメやトカゲやテントウムシ、そして……。起こされなければ今年も桜の満開を見逃していたというカメのおじいさんに感謝されて、桜の花をみんなで見上げるシーンが素敵です。

さて、この999ひきのカエルさんたち。絵本ではカエルの種類は特定されていませんが、緑色の体色に黒い斑点の感じからトウキョウダルマガエルか、その亜種ナゴヤダルマガエルだろうかと想像しました。トウキョウダルマガエルの繁殖期は4月下旬から7月と見られているので桜の季節にも重なって、メスの一腹中の卵の数は約800~2800個(「カエル探偵団HPより)なので、999ひきのきょうだいのおかあさんの可能性もあります。もちろん、自然界では絵本のような子育てはしませんけれど。

今年のお花見もカエルの観察もまだまだいつものようではないかもしれませんが、999ひきのきょうだいのカエルのおかあさんのような気配りのもと、楽しい時間を過したいものです。

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童話『もぐりのへたなアカガエルケプル』と北国の春

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『もぐりのへたなアカガエルケプル』(髙橋健著・上矢津画 小峰書店刊)

カエ~ル大学では、カエルが表現された絵本や童話を紹介する講座なども開いたことがあり、その一端を「コトバデフリカエル」でも「カエル白書」で報告しています。本ブログでも今年は100年カエル館で所蔵している絵本や童話から、季節に合わせた内容の作品を紹介させていただきます。

今回紹介する一冊は『もぐりのへたなアカガエルケプル』(髙橋健/たかはしけん著、上矢津/かみやしん画、小峰書店発行、1985年初版)。アカガエルといえば、今年も「カエル探偵団」の「アカガエル産卵前線」は北上中で、アマミアカガエルやリュウキュウアカガエルは昨年末には産卵の報告があり、今年1月31日の報告ではヤマアカガエルは埼玉県まで、二ホンアカガエルは愛知県まで達しています。詳しくは「カエル探偵団」サイトhttp://kaerutanteidan.jp/をご覧ください。

「もぐりがへたなアカガエル」と題されたケプルが主人公のこの童話は、同じ著者のシリーズ「キタキツネチロンとなかまたち」の一編なのでケプルは北海道に分布するアカガエル、エゾアカガエルではないかと想像します。ケプルがなぜもぐりがへたかというと、去年生まれたばかりで初めての冬ごもり明けのカエルだから。春がいつ頃やってくるかもわからなかったという設定で、実際、野外のカエル、特に初めての冬眠を経験したカエルにとって春を迎えるにもさまざまな困難を乗り越える必要があるようです。

そうして何とか春を迎えたケプルは、「ヒツジグサのある小さなぬま」に棲んでいます。ヒツジグサはスイレン科の植物。作品に描かれた小さなぬまの春の風景はほのぼのとしているのですが、ケプルは身近にコイなどの大型の魚やタンチョウ、ヨシキリ、カイツブリといった鳥類と遭遇するシーンがあり、食べらる危険があり安心してはいられません。自らはユスリカ、ハエ、ブヨなどを食べます。

アカガエルの友だちではピョルというみごとなジャンプを見せるカエルが登場します。しかし、春の嵐で大雨に流されたか、その時現れたシマヘビに食べられたか姿を消します。そして、夏がやって来て、再び冬が来る。そんな北の大地に棲むカエルや生きものたちの喜怒哀楽が伝わってくるような童話です。

さて、北海道といえば毎年一番早く届く、カエルがテーマのイベント情報は札幌にあるCous Cous Oven + Hoppers のカエル展です。今年も啓蟄に合わせて開催される「手作りカエル展」。出品の締め切りは2月14日ということなので詳しくはCous Cous Oven + Hoppersサイトhttps://couscoushoppers.com/ でご確認ください。

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Xmas特集『サンタさんだよ かえるくん』で寒い冬に春を想う

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夜空をトナカイのそりに乗って、世界中の子どもたちにプレゼントを届けようと大忙しのサンタさん。子どもたちの家を探すためにそりから身を乗り出しすぎて雪降る森の中に落ちてしまいます。

びしょぬれのサンタさんは木の根もとにある小さな家を見つけます。金属のドアノッカーが付いていて、そばにメールボックスのあるかわいらしいお家。そこには7匹のかえるたちが住んでいて、冬眠の季節、木のベッドに並んで眠っていました。

どんな夢を見ているのでしょう。壁に掛けられた絵には、春に「うさぎのようふくやさん」にすてきな洋服を作ってもらった思い出が描かれています。この絵本の作者塩田守男さん(絵)とさくらともこさん(文)には、子どもたちにカエルたちの楽しい姿を通じて四季を伝える「かえるくんシリーズ」があり、壁の絵はその一冊『おしゃれなおたまじゃくし』にあるワンシーン。

そう、7匹のかえるたちは春に生まれ、おたまじゃくしからカエルに成長していくなかでその成長に合わせた洋服をうさぎのおじさんに作ってもらった楽しい思い出を夢に見ているのかもしれません。

サンタさんがかえるくんたちの家の暖炉で火を燃やして服を乾かしながら居眠りをしていると、暖かくなって春が来たと思ったかえるくんたちが起きてきます。こうしてサンタクロースとカエルが出会うファンタジーが生れました。

かえるくんたちはサンタさんのやぶれた袋を直してあげようとうさぎのおじさんの家まで一緒に向かいます。うさぎのおじさんは冬眠しているはずのかえるくんたちとサンタさんの出現にびっくりしますが、喜んで袋の破れたところに星型の布を縫い付けてくれました。おじさんの家の壁にはかえるくんたちのおたまじゃくしの頃の絵が飾られています。

『おしゃれなおたまじゃくし』のスピンオフといえる絵本。寒い冬も春を夢見ればハートウォームになれるXmasプレゼントのような作品です。

『サンタさんだよ かえるくん』

さくらともこ 文/塩田守男 絵/PHP研究所 発行 ※現在電子版のみ販売中

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Xmas特集 かえるくんとがまくんのクリスマス・イブ

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 かえるくんとがまくんが登場するアーノルド・ローベル作の絵本シリーズの一冊『ふたりは いつも』の中に収められているお話に「クリスマス・イブ」があります。

 クリスマス・イブの夜にがまくんはクリスマスツリーを飾り、美味しい料理をつくって大の仲良しのかえるくんを待っています。でも約束の時間になってもなかなかやって来ないかえるくん。がまくんはかえるくんの身に起こっているかもしれないいろいろな怖い妄想を膨らませます。そして、あれこれ想像したかえるくんの災難からかえるくんを救うべく対策を整えて寒い夜の野外へ……。そこにいたのは、かえるくん。かえるくんは……。

  ちょっとした心配ごとを大げさに考えてしまうのはがまくんの持ち味ですが、クリスマス・イブの夜、大切な人を待つ自分に置き換えて読むとがまくんの気持ちが痛いほどよくわかるお話です。短いお話ですので、クリスマス・イブの日に家族で読んでみるのはいかがでしょう。

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アボリジニの人々に伝わるカエルのお話「ティダリック」

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先月、テレビ番組「世界ふしぎ発見」(2019年5月18日放送)を見ていてカエルを〝発見〟しました。「ウルル・エアーズロック 太古の暗号が語る聖地の秘密」というテーマで、オーストラリアのアボリジニの人々の現在の暮らしの様子が紹介されていました。同番組では以前もアボリジニについて取材し、そのときアボリジニの人々が乾燥した土地での暮らしの中で水分を補給するために用いる動物としてミズタメガエルに注目していました。このカエルはそのきびしい生活環境の中で、体の中に水を貯め込むことができ、さらに人々はこのカエルから水分を摂取するのだそうです。

ミズタメガエルのことを知って思い出したのが、アボリジニに伝わる「ティダリック」というカエルのお話。ここに紹介した絵本は、絵本作家加藤チャコさんによる再話『おおきなカエル ティダリックーオーストラリア アボリジニ・ガナイ族のお話』(福音館書店「こどものとも」)です。表紙の絵には土鈴のカエルのようにお腹を膨らましたカエル、ティダリックが描かれています。お話によるとティダリックは昔々、大地の水という水を飲みほしてこんなお腹になったようです。さあて、困ったのは他の動物だち。一滴たりとも水が飲めなくなってのどがカラカラ。

何とかティダリックから水を取り戻すためにティダリックを笑わせる作戦を考えます。ところが、それが難しく・・・・・・。でも、何かを奪還する作戦に笑いを活用するというところにアボリジニの人々のユーモアを感じました。そして「世界ふしぎ発見」でミズタメガエルの存在を知り、このカエルがティダリックのモデルだったのかと納得。アボリジニの人々がミズタメガエルから水分を摂りながらこの物語を考えたのかもしれないと想像するととても愉快になりました。

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※オーストラリアではティダリックグッズ(写真右奥)も販売されていて広く知られた物語であることがわかります。(100年カエル館コレクションより)

 

 

 

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