市場・経済

今、リープフロッグ(=蛙跳び)が求められている理由

英語でカエルがぴょんと跳ぶことを意味する言葉「Frog's leap 」は、米カリフォルニアのワイナリーの名前でも知られますが、この10年ほどはLeapfrog(リープフロッグ=蛙跳び)という言葉に経済関連の記事の中で出会うことが増えました。

「リープフロッグ現象」「リープフロッグ型経済発展」といった表現が見られますが、特に今世紀に入って著しく進展したIT分野などの新しい技術を駆使することで、それまで後進国に位置づけられていた国々が先進国を追い越して世界をリードしていくことを示しています。

Leapfrogging

『驚きがブレイクスルーをもたらす「リープ・フロッギング」の発想戦略』(ソ―レン・カプラン著 山本晶子訳 マグロウヒル・エデュケーション発行 日本経済新聞出版社発売)

ビジネス書でこの言葉が最初に使われたのは、2013年に刊行された『驚きがブレイクスルーをもたらす「リープ・フロッギング」の発想戦略』ではないでしょうか。ピンクの表紙カバーに、カリフォルニアワインのFrog's leapのラベルさながら「蛙跳び」するカエルのシルエットが描かれていました。著者のソ―レン・カプラン氏はまさにそのカリフォルニア在住のビジネスコンサルタントで、同書では「リープ・フロッギング」を「考えを制限する思い込みに打ち勝って、ブレイクスルーに到達するまでのプロセス」と捉えてビジネスに役立つ発想方法を伝授しています。

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『リープフロッグ 逆転勝ちの経済学』(野口悠紀雄著 文藝春秋発行)

そして昨年12月に出版された経済学者野口悠紀雄氏の著書『リープフロッグ 逆転勝ちの経済学』(文春新書)には、カエルの絵柄こそ出てきませんが、「リープフロッグ」が世界経済を読み解き、日本のこれからを考える上で重要なキーワードになっていることがグローバルヒストリーの見地に立って解説されています。大航海時代から産業革命に至る欧米の覇権争いに伴う転換期にはリープフロッグが起こっていたという説明は、頭の中で久しぶりに開いた世界史の教科書にカエルが跳びこんで来て波紋を広げたように伝わりました。そして、現在、「リープフロッグ型経済発展」が見られる中国やアイルランド、20世紀で社会システムが完成してしまったかのようで「リープフロッグ現象」が起きにくくなっている日本。それでも野口氏は「どんな場合でも逆転の可能性を信じてあきらめないこと」の大切さを説いています。

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<関連サイト>

「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com

「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u

「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru

※現在、「コトバデフリカエル」では「カエル白書」Vol.3を配信中です。

 

 

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“カエル経済学”が予測する景気のゆくえ

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  両生類である蛙は、その生活行動において水辺と陸地を必要とするなど本来両義的な特徴をもっている。カエルグッズにもそれは当てはまるようだ。カエルに関心がなくてもお財布に入れている人が多い、小さなカエルのお守り。これも「余計なものはカワズ(買わず)」と節約のために入れる場合と、「出て行ったお金がカエル(返る)」ようにと散財の言い訳みたいに入れる場合の相反する意味がある。それでケロロジーの“カエル経済学”では、景気には“カワズ景気”と“カエル景気”の2つがあると極論。消費者が今はできるだけ「カワズ(買わず)」と思うか、どんどん「カエル(買える)」状態になってきたと思うかによって決まると論じた。

 昨年の相模原市立博物館で企画させていただいたケロロジー講座の展示では、そのような説明とともに、中国で縁起物とされる金貨をくわえた三足のカエルの置物や招きネコならぬ招きガエルのポーズをとった貯金箱、がま口から発想されるお財布、そして「金運」のジョークの意味も込めた“トイレガエル”まで、気持ちひとつで景気がよくなりそうなカエルの縁起物の数々を展示してみた(写真)。

 マーケット的には“カエル景気”を刺激するにはどうすればいいか考えるところだろう。そういえば日本テレビの「ダッシュ村」でも景気が“よみがえる”ようにと、5月は2回にわたってビニール製の巨大ガエル「景気かいふくん」をジャンプさせる実験を行っていた。また、練馬区では昨年6月から今月までの1年間10%のプレミアム付き練馬区内共通商品券を「ど根性ガエル」のピョン吉のキャラクターを使用して販売、自治体が率先して消費の活性化をサポートした。そんな“カエル景気”推進策の甲斐あってか、最近、消費者の節約疲れも手伝って消費が上向くのではという期待ももたれたが、今のところ“カワズ・カエルバランス”が働いてわかりやすい景気回復にはつながっていない。

 今、日本人を消費に向かわせるには、何を買うと幸せな気分になるかを示すことだと思っている。たとえばカエルグッズが好きな人は、どんなにたくさんカエルグッズを集めても、まだ見たことのない“すばらしいカエルグッズ”と出合えばどうしても買いたくなる。この習性には限界がない。ただし、その“すばらしいカエルグッズ”とは何かを見極めるのはむずかしい。日本人の消費行動が高度化していると感じるこの頃である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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