宇宙・科学

宇宙とカエル、そしてカエルタイムズ

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この春、足立善立寺で行った“カエル信仰”についてのシンポジウムでは、月と「カエル」の関係が、今後さらに議論されるべきテーマとして浮かび上がった。

 そこにはジョウガという、不老長寿の桃の実を夫から盗んで月に逃げ、その罰としてヒキガエルにさせられた女性が登場する。ジョウガは、日本人にはあまり馴染みがないかもしれないが、数年前打ち上げられた中国初の月探査衛星の名前に使用されているくらいだから、本国では知られた存在なのだろう。

 「カエル」に導かれていろいろな世界を覗いてみると、古代と現代の間の時間軸がとんでもなく短くなって、古代さえすぐ近くにあるような気がしてしまうことがある。この前のシンポジウムのパネリストのひとり、声優の渡辺久美子さんが声を担当するケロロ軍曹は、カエル型宇宙人。そういえばその姿は、6世紀頃の装飾古墳の内壁に描かれた、幾何学的な形と大胆な色使いが特徴の絵柄から抜け出てきたような・・・、といってもおかしくない。

 宇宙といえば、最近は日本人宇宙飛行士の活躍も目覚ましいが、そのミッションのなかでオタマジャクシやカエルが“同行”し、宇宙実験に“協力”することもよくあるようだ。そんなカエルのうちの1匹が、宇宙に取り残されたとする。地球上で1億年以上もさまざまな環境変化に適応しながら進化してきたカエルのこと、宇宙空間でも適応し、ケロロ軍曹のような存在が誕生するのはあながちありえないことではない。

 妄想はそこで止まらない。この前、TBS「飛び出せ!科学くん」を見ていたら、無重力状態でカエルがどんな行動をとるか実験していて、名古屋大学の福井康雄教授がコメントしていた。福井教授とは面識はないが、カエルタイムズ(第5号2006年1月発行)に寄稿していただいたことがある。

 天文学者として、星になる前のガス塊を研究していた福井教授は、10光年の長さのひも状にのびたガスの中にたくさんの「星の卵」を見つけ、それを記者発表のときに専門外の人にもわかりやすいようにと「カエルの卵」にたとえた。

 教授はカエルタイムズ紙上でこう書いている。「いくつかの新聞でこの表現が採用されて、宇宙と『かえる』の間に思いがけないつながりができた。しかし、これが縁でこの原稿を書くはめになるとは、10年年前にはまったく予想できなかった。しかも、滞在中のドイツのハイデルベルグまで原稿の催促がくるとは・・・。」

 「カエル」の世界を愛する者として、その発見は「宇宙の起源はカエルの卵である」といわれたほどの衝撃があり、何が何でも書いていただきたかったのです。

(写真)

最近見つけたアメリカ企画のカエルの置物。宇宙空間でこんなカエルがいたら、昨年他界した父かもしれない、と思えて・・・。

<カエルタイムズからのお知らせ>

カエルタイムズ12号は現在ゆっくりとした進行ながら6月中旬には発行すべく順調に編集が進んでいます。諸事情ございまして12号からは値上げさせていただき、1部315円で販売しますことをお断り申し上げます。

100年カエル館 http://kaeru-kan.com

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