自然史・サイエンス

広島大学のHiPROSPECTS®のアイコンのカエルとDNA音楽

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広島大学が平成18年から取り組んでいる到達目標教育プログラム「HiPROSPECTS®(ハイプロスペクツ)」のアイコンにカエルのイラストが使用されているので紹介させていただいています。学生の皆さんの知識・理解を深めるだけでなく、多様な能力・技術も評価する新しい教育システムとしてこれからの人材育成をめざし、カエルは左から「ミエル」「ツナガル」「ツカエル」を示しているそうです。

そして、現在、オンライン配信されている「知を鍛える広大名講義100選」の<生物・化学>の講義では、三浦郁夫先生(理学部・両生類研究センター 准教授)が語る「DNA音楽―科学と芸術の間を探る」を下記URLで視聴できます。DNA音楽という概念は1980年代に遺伝子研究で知られた生物学者の大野乾(おおのすすむ/1928-2000)博士によって提唱され、三浦先生はその理論を教育のために活用し、実際にその理論に基づく作曲を試みるという、まさに科学と芸術の間を探る“実験”をされています。

オンライン講義では、音楽プロデューサーの杉真理さんや学生さんの作曲によるオオサンショウウオの「DNA音楽」を聞くことができます。興味深かったのは、人間とオオサンショウウオそれぞれの遺伝子の塩基配列の違いから生まれた楽曲を比較すると、人間のDNAに基づいた曲の方が暗く複雑な印象があること。何となくわかる気もしますが、遺伝子配列を音楽に置き換えただけでもそんな違いが伝わることに感動しました。人間の感覚を探究する上でも示唆を与える研究でさらに他の研究領域とのつながりも期待したくなります。カエルのDNA音楽も聞いてみたいです。

https://jpn01.safelinks.protection.outlook.com/?url=https%3A%2F%2Fwww.hiroshima-u.ac.jp%2Fnyugaku%2Fenhance_knowledge&data=04%7C01%7Cimiura%40hiroshima-u.ac.jp%7C3d043f8c4f0747d1a0a808d89a90615c%7Cc40454ddb2634926868d8e12640d3750%7C1%7C1%7C637429292178967494%7CUnknown%7CTWFpbGZsb3d8eyJWIjoiMC4wLjAwMDAiLCJQIjoiV2luMzIiLCJBTiI6Ik1haWwiLCJXVCI6Mn0%3D%7C1000&sdata=y4sTyp5fKaI8h6wsO8umBvpY8Ge3i%2F6MYgUBF0WjZ9Y%3D&reserved=0

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ボリビアのミズガエル、ロミオの結婚

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The only known Sehuencas Water Frog (Telmatobius yuracare), a single male named “Romeo”, in his aquarium at Centro K’ayra. Photo: Sophia Barrón Lavayen

南米ボリビアで毎年開催されるオルーロカーニバル。ボリビアの先住民族であるケチュア族やアイマラ族がもっていたパチャママ(地母神)信仰がキリスト教の聖母マリア信仰と結びつき創造の母に捧げるものとして始まったと言われるこのお祭りでは、カエルのかぶりもので踊る人がいることは話に聞いていました。そしてボリビアとペルーにまたがるように位置するチチカカ湖には大きなミズガエルが生息していて、水と豊穣のシンボルになっているという話も耳にしたことがあります。

明らかにカエルと深いつながりをもっていそうなボリビアで、最近、ロミオと名付けられたミズガエル(写真)が注目されました。

2008年の「国際カエル年」のときに中心的役割を果たしたAmphibian Ark(両生類の箱舟)が季刊発行しているWebマガジンNewsletter Number44によると、ボリビアのアルシド ドルビニ(Alcide d'Orbigny)自然史博物館は、2008年からボリビアのコチャバンバに生息するTelmatobiusというミズガエルの野外調査や繁殖実験を行っています。

そのプロジェクトのために立ち上げられたのがCentro K'ayra(カイラセンター)。カイラ(日本語のカエルにも似ているような気がしますが)とは、まさにオルーロカーニバルの起源につながるケチュア族やアイマラ族のアンディーン文化において、アンディーン山の川や湖に棲むカエルのこと。特にTelmatobius属を指すこともあります。

同プロジェクトでは、チチカカミズガエル(Telmatobius culeus),ジャイアントミズガエル(Telmatobius gigas),マーブルミズガエル(Telmatobius mamoratus)の3種から始め、その後施設を拡大してTelmatobius hintoni,Telmatobius simonsi,そしてセイウェンカズミズガエル(Telmatobius yuracare)の3種を増やして保全活動を行っています。

ロミオは、その中のセイウェンカズミズガエルのオスで、10年前に発見された同種最後の個体としてカイラセンターで飼育されていました。

2018年にこのロミオが「世界一孤独なカエル」として注目され、花嫁のジュリエットを見つけてあげようと、恋愛・結婚のマッチングサイト大手が寄付を呼びかけるなどの動きが起こりました。その結果集まった資金でカイラセンターとグローバル・ワイルドライフ・コンサベーションが探索調査に乗り出し、ついにジュリエットを見つけた感動的な話題が昨年2019年の初めにCNNやナショナルジオグラフィックなどでも報道されました。

ボリビアの森の中でセイウェンカズミズガエルのメス2匹とオス3匹が発見され、そのうちのメス1匹がジュリエットと名付けられました。

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Teresa Camacho-Badani, manager of the Centro K’ayra, at Lake Titicaca. Photo: Patricia Mendoza

この調査の中心的存在がカイラセンターのマネージャー、テレサ・カマ―チョ・バダニさん。ボリビアで生まれ育った彼女は、父親の影響もあり子どもの頃からコチャバンバの山々やアマゾンに出かけそこに生息する生きものたちとふれあってきたそうです。両生類の研究者としてボリビアの雲霧林の両生類の生息状況を調査するなかで、セイウェンカズミズガエルのロミオと出会いました。

協力:Amphibian Ark https://www.amphibianark.org/

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南極の近くの島で発見されたカエルの化石が教えてくれること

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  新聞報道などで「カエルの新種」や「カエルの化石」が発見されたという記事を目にすると、地球のロマンのようなものを感じます。遥か昔から地球上にいたカエル類が、長い時間をかけた進化を経て、人の踏み入らない熱帯雨林の中などにいまも人知れず生息している種もいることを思うと不思議な感動が湧いてきます。

  最近驚いたのは「南極付近の島でカエル化石発見 4000万年前生息か」(日本経済新聞2020年5月8日)という記事。適応力があり砂漠も含め世界に広く分布しているカエル類ですが、さすがにそこには生息していないと考えられていた南極大陸。その近くに位置するシーモア島で推定約4000万年前のカエルの頭蓋骨と腸骨(腰骨)の化石が発見されたことが、英科学誌サイエンティフィック・リポートに掲載されました。

 発見したのはスウェーデン自然史博物館などの国際研究チーム。チームを率いる同博物館の古生物学者(脊椎動物)のトーマス・モース博士は、2011年から2013年にかけてシーモア島で化石の発掘調査を行い、2015年にその収集した標本の中からカエルの化石を発見しました。

  その化石の腸骨の形状からこのカエルは現在チリやアルゼンチンに生息するヘルメットガエルの仲間と考えられています。ヘルメットガエルは『ときめくカエル図鑑』でも紹介していますが、頭部の皮膚が骨と密着していてまさに石頭になっているところからその名が付けられました。

 ニューヨークタイムズ(2020年4月23日のルーカス・ジョエル氏の記事)では、このカエルの化石の発見に専門家が語っています。「腸骨はカエルの骨格を分析する上で最も重要な部分で、その腸骨はヘルメットガエルのそれとよく似ている」(カリフォルニア大学バークリー校の両生爬虫類学者デヴィッド・ウエイク博士)、「カエルたちが南極を経て今に至っていることが真実味を帯びて来たが、カエルの進化過程に古代の超大陸パンゲアの分離がどんな役割を果たしたかまではさらなる遺物の発掘が必要になるだろう」(フロリダ自然史博物館の両生類の生物学者デヴィッド・ブラックバーン博士)。

 カエルの化石への興味は尽きません。このブログでは、2009年に報道された兵庫県丹波市の地層「篠山層群」から1憶4千万年~1憶2千万年前のカエルの化石が発見された記事 http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/vikki/2010/02/1-4887.html や、2017年には松本かえるまつりで開催した「青空カエル文化講座」で、7000万年前マダガスカル島(アフリカ大陸の近くに位置する島)に南米産のツノガエルに似た全長40㎝ほどのカエルがいたことが化石の発見からわかった話を紹介したりしました。http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/vikki/2017/06/index.html

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ツノガエルの貯金箱

 カエルの化石を通して思いを馳せる、南極、南米、アフリカ、そして日本。その気の遠くなるほど長い地球の歴史のなかで、カエルがどんな経緯をたどって今私たちと出会っているのかこれからの研究調査を楽しみに待ちたいものです。



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『カエラーたちのつぶやき』価格 1512円(税込・送料無料)

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※新刊『ときめくカエル図鑑』(山と渓谷社刊 文・高山ビッキ 写真・松橋利光)販売中です。どうぞよろしくお願いします。

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■第16回両生類自然史フォーラムに参加して

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  第16回両生類自然史フォーラム(日本両生類研究会・埼玉県立川の博物館共催)が8月30日に埼玉県立川の博物館ふれあいホールで開催されました。

  特別講演に南相馬市博物館の稲葉修氏が演壇に立ち、「福島県の両生類・生息種と問題」について語りました。東日本大震災によって福島県の自然環境がどう変化しているか、非常に関心の高い問題について両生類の調査を通して見えてきたことが報告されました。

  カエルを含む両生類は自然災害に伴う問題の発生に関わらず、近年、その減少が問題視されていましたが、福島県は大震災によってそれがより顕わになった様子が伝わりました。

  今回伺ったお話のなかで私にとって最も興味深かったのは、福島県におけるトウキョウダルマガエルとトノサマガエルの分布に関してです。拙著『かえるる』でも「トノサマガエルとダルマガエルの関係」についてのページを設けましたが、分子生物学の発達によってその2種が形態は似ているけれど違う種類であるとされていることはわかりました。そしてトノサマガエルとトウキョウダルマガエルの分布の違いは、ほとんどの図鑑でトノサマガエルが本州(仙台平野、関東地方をのぞく)、四国、九州、朝鮮半島、中国、トウキョウダルマガエルが仙台平野、関東地方、中部地方の一部と記載されています。

  しかし、自分の出身県でもある福島県でどんな分布になっているのか実は知りませんでした。今回の稲葉さんの報告によると海側から内陸の「浜通り」、「中通り」は主にトウキョウダルマガエル、山側の会津地方は主にトノサマガエル、そして、2つの分布域の間にどちらかわからない種が見られるのだそうです。自分と関わりのある地域のカエルについてさえ知らないことの多さに改めて気づかされました。

  会津に帰ると、昔と変わらない田園風景を美しいと感じますが、圃場整理などによってカエルはかなり少なくなっているようです。稲葉さんは大震災後の自然環境の変化を見て、丘陵地が生きものの復活に役立っているのではないかと感じたと言います。生息する動物たちが戻って来ても、元々の景観を取り戻さないことには地域全体の本当の復興はないのではないかと投げかけました。

  特別講演の後、一般講演は熊倉雅彦氏(日本歯科大学新潟生命歯学部)による「新潟県の保護上重要な両生類」、佐々木彰央氏(静岡県自然史博物館ネットワーク)による「両生類に寄生する蛭について」、百﨑孝男氏(すみだ水族館)による「洞窟を利用する?迷い込む?両生類たち」、南部久男氏(富山市科学博物館)による「富山県野積川における渓流環境の変化とヒキガエル類の産卵場所」、内山実氏(富山大学大学院理工学部研究部)による「二ホンアマガエルの雨鳴きを科学する」、そして、大胆なチャレンジではありましたが、私高山ビッキも「新学問『ケロロジー』の確立めざして」というテーマでお話させていただきました。

(画像上から)

●福島県のトウキョウダルマガエルとトノサマガエルの分布について説明する稲葉氏

●記念撮影の後大きなカジカガエルの置物(川の博物館制作)について説明する事務局の藤田宏之氏を囲んで

●今回のフォーラムを聞いていた(⁈)埼玉県に生息するトウキョウダルマガエル

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※Webミュージアムでは2011年に福島県立博物館で開催した「喜多方『100年カエル館』コレクション展」を画像でご覧いただいております。

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ノーベル賞とカエル、そしてiPS細胞

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  昨日(2012年10月9日)は、京都大学教授の山中伸弥iPS細胞研究所所長のノーベル生理学・医学賞受賞の報道に沸きました。山中教授の研究により一般の私たちもiPS細胞という言葉だけは耳にしていましたが、今回の報道によりそれが「皮膚などにいったん変化した細胞が、生まれた頃に逆戻りするという発見」、そしてそれは細胞の時計の針を巻き戻せるタイムマシン的な効果を示す「初期化(リプログラミング)」と呼ばれることも知りました。

  実はこの研究にもカエルが深く関わっていました。初期化の実現の可能性を最初に示したのが、今回同時受賞したイギリス、ケンブリッジ大学名誉教授のジョン・ガードン博士。博士は1962年(山中教授の生まれた年)、オタマジャクシの腸の細胞から取り出した核を、あらかじめ核を取り除いたカエルの卵に移植したところ、受精卵と同じようにオタマジャクシがうまれたそうです。

  さて、拙著『かえるる』ではノーベル賞とカエルの並々ならぬ関係についても言及しました。今年はカエルの科学に対する貢献度を知っているお二人がルチア祭でカエル勲章を授与されることを想像するだけでカエル好きにとっての栄誉にも思えます。ルチア祭では、また、受賞者は今後の研究の発展を願ってカエル跳びをするようですが、スポーツの能力も高い山中教授はみごとなカエルジャンプを披露することでしょう。

  ところで、本日発売の日刊ゲンダイで立教大学理学部教授の上田恵介氏が『かえるる』について「面白サイエンス読本」で取り上げてくださいました。サイエンスというには超文系的な視点でまとめた本なので恐縮しております。

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『両生類誌』NO.22で昨年の100年カエル館のコレクション展を報告

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 『両生類誌』NO.22(平成23年12月発行)が届きました。今号では昨年開催した喜多方「100年カエル館」コレクション展について報告させていただいています。

 しかし、もちろん同誌のメインは両生類の生物学的観察や調査研究の報告。今は亡き岩澤先生から同誌への執筆を初めて奨められたとき、皆さんの研究への理解がまったくなく、むずかしいことをやっているなと思っていたのですが、その後おかげさまでカエルの種類ぐらいはわかるようになるとそれだけでとっても興味深く読むことができるようになりました。

 今号でのカエルに関する報告は以下の通りです。

 ●「飼育下におけるナガレヒキガエルとアズマヒキガエルの繁殖」  堀江真子・田上正隆・堀江俊介・池谷幸樹

 ●「ニホンヒキガエルとニホンアマガエルオタマジャクシの口器の形態」 細井光輝・長谷川嘉則

 ●「埼玉県で発見されたトウキョウダルマガエルのアルビノ」 藤田宏之・石井克彦

 ●「福井県越前市で発見されたトノサマガエルのアルビノ」 川内一憲・奥野宏樹・藤井豊

 ●「富山県で発見されたトノサマガエルのアルビノ」 南部久男・福田保

 その他、宝達山のハコネサンショウウオの産卵場発見記(秋田喜憲)、フォトギャラリー「蛙曜日の夜」(吉村雅子)、そして昨年開催された「第13回両生類自然史フォーラム」の報告も掲載されています。

<両生類誌の購入について>

●会員価格1部1,500円、5部以上購入の場合は1部1,000円(いずれも消費税・送料込●非会員価格1部2,000円(消費税・送料込)

購入申込みはこちらから kumakura@ngt.ndu.ac.jp 

日本両生類研究会のホームページNBSweb http://15.atwiki.jp/nbsweb/

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100年カエル館・カエ~ル大学のHPはこちらから http://kaeru-kan.com/kayale-u

A-Arkのサイトでの福島県立博物館での喜多方「100年カエル館」コレクション展の報告はこちらから  http://www.amphibianark.org

メルマガ「カエル大学通信」はこちらから http://www.mag2.com/m/0001378531.html

<関連サイト>

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カエルについて深く知りたい人のための『両生類誌』

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私がカエルのことを時々書かせていただいている雑誌に『両生類誌』がある。これは両生類だけを対象とした研究会「日本両生類研究会」が発行している機関誌で、執筆している人のほとんどは生物学の研究者や教育者である。そんな専門的な生物学の雑誌に、カエルグッズやカエル文化といったサブカルチャー的な切り口で書いている私がなぜ紙幅をいただいているかというと、会の創設者で生前その編集に心血を注いでいた動物学者の故岩澤久彰先生とカエルグッズのコレクションを通じて親しくさせていただいたからだ。

同研究会は機関紙の発行以外に、年に1回夏季に自然史フォーラムを開催している。昨年2010年の夏は動物系統分類学がご専門の松井正文京都大学大学院人間・環境学研究科教授が、日本と世界の両生類について特別講演をされた。今年7月に発行された両生類誌No.21にはその内容が掲載されている。日本の両生類の固有性が日本列島成立以前に始まり、列島成立とともに進化した可能性についてふれるくだりには、専門外の者にとっても何やら好奇心がそそられる。そして、両生類は「長い進化の歴史の中で種分化が絶滅速度を上回ることによって、生物の多様性が増加してきた」。ところが、今、過去の絶滅の要因である天変地異とは比較にならないほどの速さで両生類の絶滅を引き起こしているものがあるという。それは紛れもない私たちヒトであり、いずれそれが自分たちに跳ね返ってくることがあることを警告している。

間もなく両生類誌はNo.22が発行になる。そこで今夏、福島県立博物館で開催した喜多方「100年カエル館」コレクション展についての報告を書かせていただきました。※画像のNo.8号(平成14年7月発行)には「メイキングオブ京都に・恋し・カエル展」ということで寄稿しました。               

<両生類誌の購入について>

●会員価格1部1,500円、5部以上購入の場合は1部1,000円(いずれも消費税・送料込●非会員価格1部2,000円(消費税・送料込)

購入申込みはこちらから kumakura@ngt.ndu.ac.jp 

日本両生類研究会のホームページNBSweb http://15.atwiki.jp/nbsweb/

<カエ~ル大学からのお知らせ>

明日2011年12月6日からメルマガ「カエル大学通信」を始めます。そちらもお楽しみに。

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1億年前のカエルの化石発見(兵庫県)

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「100年カエル館」に以前来館されたYさんから届いたカエル情報。封書に入っていた朝日新聞2009年12月2日付けの記事によると、兵庫県丹波市の地層「篠山層群」から1億4千万~1億2千万年前のカエルの化石が発見されたという。

 12月1日に兵庫県立 人と自然の博物館(同県三田市)が発表した。発見された化石は、複数のカエルの上腕骨、背骨、腸骨などと見られ、岩石の中に、29点と13点の化石が密集した2つの固まりがあった。

 密集骨格①(写真上)は、脛腓骨(けいひこつ)2点、上腕骨1点、腸骨1点、大腿骨1点、仙椎1点、連結した4つの仙前椎(せんぜんつい)、距骨(きょこつ)2点、踵骨(しょうこつ)2点、指骨3点、部位不明12点以上で、計29点以上。

 密集骨格②(写真中)は、腸骨1点、撓尺骨(とうしゃくこつ)1点、大腿骨1点、連結した3個の仙前椎、部位不明7点で、計13点。

 このほか、上腕骨2点、脛腓骨(写真下)複数点なども発掘され、個々の骨は2007年以降時々発掘され50点ほどになるという。

 産出地点は、丹波市山南町上滝篠山川河床。密集骨格②を見つけたのは、三田市の小学5年生の女児。同年9月に行われた子どもたちを対象にした発掘体験に参加したとき、金づちでこぶし大の岩石を割ると、隣りの友だちが断面に骨のような細い線が入っているのに気づいたという。

 同博物館の研究員の調査でカエルの化石と判断され、発掘された化石は12月5日~27日、同博物館で展示公開された。これまでに日本で前期白亜期の無尾類(両生類のなかでも尾がないカエル)の化石が発見されたのは、石川県白峰、岐阜県荘川での2例のみ。丹波市産無尾類化石は、国内で3例目であり、体骨格が密集していることから国内で最も保存状態の良い化石標本だそうだ。そのような状態での発見は日本初であり、無尾類化石は断片的な骨が遊離した状態で発見されることが多く、今回の化石のように全身骨格の要素が密集して保存されている例は、世界的にも貴重な標本だという。

  最初の人類が現れて約400万年として、私たち人類よりはるか昔からこの地球上に暮らしていたカエル。この日本においても1億年も前から存在していたことをおしえてくれるカエルの化石の発見に、地球の文化は人の暮らしの前にカエルの生活があってこそ生まれたと気づかされる。

写真・資料協力:兵庫県立人と自然の博物館 http://hitohaku.jp

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