書評

■『かぶき曼陀羅』(河竹登志夫著)とカエル

Photo
 昨年(2015年)、演劇出版社から刊行された河竹登志夫氏の著書『かぶき曼陀羅』についてカエル好きの視点からご紹介します。

 故河竹登志夫氏(1924-2013)は、江戸・明治の歌舞伎の作者、河竹黙阿弥を曾祖父とする縁から、歌舞伎を軸に日本の演劇と西洋の演劇の歴史を比較して論じる「比較演劇学」という学問分野を確立し、研究に邁進する生涯を送りました。

本書は、河竹氏が雑誌『演劇界』に連載した随筆「かぶき曼陀羅」から71編と、自らの人生をふり返る日本経済新聞「私の履歴書」に寄稿したエッセイを一冊にまとめた著者最後の随筆集です。その表紙に描かれた自筆のカエルの絵が物語るように、河竹氏は自他ともに認めるカエル好きでカエルグッズ蒐集家でもありました。この絵のカエルは、黙阿弥の作品に登場する「弁天小僧」に扮しています。

 私たちは100年カエル館を立ち上げる前のことですが、2002年、京都市が運営する東京の「京都館」で、「カエル」をテーマに京都の魅力を紹介するイベントを企画したときに、「伝統芸能とカエル」についてご講演をお願いしたことから、2005年に「カエルタイムズ」を発行したときには、創刊号に「カエル道をゆく」と題したエッセイを書いていただくなど、「カエル」を通じてとてもお世話になりました。

 本書では、80歳頃からの著者最晩年に執筆した随筆の数々を読むことができます。ご病気もかかえながらそれでも劇場に足を運び、曾祖父黙阿弥、祖母糸女、父繁俊、そして自身と受け継いだ歌舞伎に関わる生涯を全うしたその生き方は、軽妙洒脱な文章の中にほとばしる情熱を感じさせました。それでもまだまだやりたいことをいくつか挙げるなかに「うちのカエルたちをモデルにした絵と文も」とありました。

 歌舞伎については門外漢の私たちですが、「カエル」を接点にいただいたご縁をもとに、その偉業をお伝えすることはできるのではないか。そんな思いを込めて、今年(2016年)の秋に100年カエル館コレクション展「かえる曼陀羅~100年カエル館から河竹登志夫さんへのオマージュ~」を福島県立博物館(会津若松市)との共催で開催することになりました。

100年カエル館コレクション展 かえる曼陀羅 ~100年カエル館から河竹登志夫さんへのオマージュ~

会期 : 2016年9月10日(土)~11月10日(木)

会場 : 福島県立博物館 歴史美術展示室  福島県会津若松市城東町1-25 TEL.0242-28-6000                                                             http://www..general-museum.fks.ed.jp/

主催 : 福島県立博物館 100年カエル館

      

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

※新刊『ときめくカエル図鑑』(山と渓谷社刊 文・高山ビッキ 写真・松橋利光)販売中です。どうぞよろしくお願いします。

Photo

-----------------------------------------------

<関連サイト>

「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com

※Webミュージアムでは2011年に福島県立博物館で開催した「喜多方『100年カエル館』コレクション展」を画像でご覧いただいております。

「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u

「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru ※エッセイで時代をふりかえるサイトです。

カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html 

※『かえるる カエルLOVE111』(山と渓谷社)全国の書店等で販売中です。

 

Cover_obiariweb

|

何でも食べちゃうカエルは、あなたの王子さまかも。

170150_4  カエルの魅力は、かわいい・・・、だけじゃない。人によっては「嫌い!」と言ってはばからないように、何を考えているかわからない、とか、不気味だ、とか言われることもある。以前は、そういう人の方が多数派だったような印象もある。でも、最近は、不気味だけどかわいい、“ブキュート”さが好きという人も多いらしく、時代によって美意識は変わっていくようだ。

 今回紹介する絵本『かえるごようじん』に登場するカエルは、まさに何を考えているかわからない。うっかり油断しようものなら・・・? 何でも食べちゃう。そんなバイオレンスともいえるカエルの行動が描かれたお話は、サイケでポップな色使いのイラストレーションと独特の擬音語を駆使した言葉使いで、パンク・ロックのビートにでも乗るように読み進めることができる。

 さすがはロンドン生まれのクリエイターの手による絵本である。作者ウィリアム・ビーは、日本では英国のファッション・ブランド、ポール・スミスのメイン・イラストレーターとして活躍している。また、ヴィンテージ・スポーツカーのレーサー、国際的なスキーヤーとしても有名だそうだが、この絵本からもそのスピード感覚のようなものが伝わる。

 「カエルにキスをすると・・・」という西洋の童話で語り継がれるモチーフを活かしつつ、決して王子さまは現れない。でも、現実のモヤモヤを抱えたとき、この絵本を開いて最終ページまでめくれば、カエルがあなたのストレスをきれいに平らげてくれるだろう。

『かえるごようじん』(セーラー出版・1500円)

ウィリアム・ビー/ロンドン生まれ。『だから?』で2005年度イギリスBCCBブルーリボン絵本賞を受賞。現在はイギリスの田舎暮らし。『だから?』も『かえるごようじん』も翻訳は田中尚人。

写真協力:セーラー出版

100年カエル館 http://kaeru-kan.com

|