「表面カエル」で社会に貢献するカエルンジャー
■カエルンジャーとの出会い
4月23日の日本経済新聞の朝刊の1面。まだ眠い目に飛び込んで来た“6人のカエル”がいました。組体操のようにポーズをとる彼らの名前はカエルンジャー。
同紙1面のコラム「春秋」ヨコの雑報広告のイラストに、「表面をカエル カエルンジャー 機能皮膜ならお任せ!」というキャッチコピーとともに描かれていました。
コロナの感染拡大の影響下、カエルンジャーとは何かについてあまり考えないままに時が過ぎました。
ところが、その2ヶ月後、やはり同紙1面の同位置に姿を見せたのは、何と全員マスクをかけた6人のカエルンジャー。前回と同じキャッチコピーの中に、「『3密』は避けましょう。」とあり、何か見過ごせないひたむきさを感じ、トーカロ株式会社に取材させていただきました。
■トーカロ㈱の特別社員の「カエル君」
「溶射を中心とした表面処理メーカー」トーカロ株式会社(本社・兵庫県神戸市)は、物体表面に溶射材を吹きつける方法を核にした数種類の加工方法と、1000を超える材料の組み合わせでさまざまな特性を発揮する、バリエーションに富んだ皮膜を設計・施工する会社。産業機械部品などの「表面の性質を変える」ことで社会に貢献する企業です。
そんなエンジニアリング企業の同社が、その事業内容を広く社会に伝えるために、2009年に特別社員として迎えたのが「カエル君」でした。
ヘルメットをかぶった中米に生息する樹上性のアカメアマガエルが、木や葉っぱの上ではなく、工業製品のチューブの上で金属とセラミックスの皮膜設計をしているイメージでしょうか。
「表面をカエル(改質する)技術について、わかりやすく説明するキャラクターは、カエル君しかいない!」というコンセプトに基づき、このカエル君が、当時、同社の雑誌広告やカレンダーに起用され、日本産業広告賞に連続入賞を果たしました。
■「表面をカエル」カエルンジャー
しかし、日本語の語呂合わせから生まれた「表面カエル(変える)」のカエル君は、同社の広報展開のキャラクターとして定着することはなく、その後、「表面を変える」バリエーションが他の動物の起用も含めていろいろと試された後、再びヨミガエル(蘇る)ことになった「カエル」。「カエル+バリエーション」のイメージで登場したのが、秘密戦隊ゴレンジャーならぬ、6レンジャーのカエルたち、カエルンジャーでした。
6匹それぞれが同社の表面処理技術による6つの効果、❶耐高熱❷耐絶縁❸耐摩耗❹耐腐食❺超寿命❻超光沢を象徴しています。
ただし、顧客の問題点を解決するエンジニア中心の営業部隊を直接支えるというよりは、株主との交流等を業務とするIR担当のスタッフが、自社の技術をわかりやすく説明するために力を発揮することになりました。
■カエルンジャーのミッション
現在、神戸市にある本社玄関ホールでは、バルーンのカエルンジャーが6人でお客様をまさにムカエル(迎える)役割を担い、IRフェアーなどでは、説明スタッフそれぞれが好きなカエルンジャー隊員色の服を着て、まるで分身のように(⁈)活躍されています。
カエルは自然環境保護のシンボルともいわれていますが、同社の表面改質技術は、表面を何度も再コーティングすることで素材の再利用をはかり、省資源に役立っています。それが産業界に広く行き渡ることで、人と自然の豊かな未来に貢献することになる、この表面カエル戦隊、カエルンジャーは重要なミッションを担っているのです。
■さらなるリープフロッグに期待
今回、カエルンジャーについて取材させていただき、同社が改質・設計するのは「皮膜」だということにとても興味をもちました。中国の神話において「大地はカエルの皮からできている」という考え方があります。「木・火・鉄・水・土はすべからくカエルからできている」という言い伝えもあり、同社が物質の特性を熟知しているからこそ、それを現代の技術で改質できることをカエルンジャーはミッションと感じているのではないでしょうか。
さらに生きもののカエルのことにタチカエル(立ち返る)なら、粘膜状の皮膚を晒(さら)しているカエルは、皮膚を通して受発信している自然界の情報量が多いと想像できます。
二ホンアマガエルが周囲の色に合わせて、まさに表面の色を変える保護色はよく知られています。また、海外では2015年に南米エクアドルで、野外で“トゲ肌”だったカエルが、屋内で“ツル肌”に変わった新種、名付けてパンクロッカーガエル(学名Pristimantis mutabilis/変わりやすいアマガエル)が発見されています。
最近は自然界の生物の構造や機能を模倣して新しい技術開発に生かすバイオミメティクスが注目されているので、カエルンジャーの活躍が世界の「表面をカエル」、トーカロ株式会社のさらなるリープフロッグ(蛙飛び)に繋がってほしいと思っています。
<関連サイト>
「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com
「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u
「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru
※現在、「コトバデフリカエル」では「カエル白書」Vol.3を配信中です。
カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.htm
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