旅行・地域

東京・下北沢で言葉と香り、そしてカエルに出会いました。

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久しぶりに下北沢に行ってきました。最後に訪れたのはいつだったか……、再開発が進むずっと前だったと思います。演劇に興味をもっていた時期には、「本多劇場」や「すずなり」で学生演劇から始まって大きく飛躍した「夢の遊民社」や「第三舞台」の芝居を観て、京都の大学から生まれたリズム&ブルースのバンド「ウエストロードブルースバンド」を知ったのもこのまち。20世紀後半にはサブカルチャーの熱気に満ちていたことを思い出します。住んでいる方も魅力的で、仕事ではよくアンティーク・ジュエリーを研究しているK夫人に取材するために通ったことがあります。

食べ物屋さんの壁にはたくさんの小劇団の公演やバンドのライブのチラシが貼られていて、思えば言葉に溢れたまちでした。その頃の言葉を見つけに時を経てやって来たわけではないのですが、今回、未来の言葉に出会いました。

下北沢駅西南口に再開発でできた新しいスポット「ボーナストラック」のギャラリーで開催されているイベント「言葉でつなぐ、私と香り展」(2025年2月5日~2月11日)を観ました。直木賞作家で独自の言葉の世界を表現されている千早茜さんと、京都から香りの文化を発信している創業300余年の香老舗松栄堂のコラボレーションで、来場者参加型のイベントでした。

そのイベントで言葉と香りをつなぐ仕掛けともいえるのが文庫本サイズで文字が全く印刷されていない5冊の本。唯一「いろはにほ」の各一文字が記された本には一冊ずつ異なる香りのシートが貼られています。それを手に取りページをパラパラと捲ると立ち上る香りはまさに新しい文学ではないかと感じました。香りが本という形態をもつことで生まれる文学。香りで脳や記憶が刺激されて人によってはこれまで読んだことのある物語が蘇えることもあるでしょうし、自分の物語の創造につながることもある。表題の「言葉でつなぐ、私と香り」の意味が伝わりました。

同じ本の形態でも物語が視覚的に伝わるのがコミックだとしたら、これは嗅覚的に広がる物語。21世紀の言葉のまち、東京・下北沢で未来の文学に出会えたような気がしました。

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「ボーナストラック」とは反対側にある南口商店街の通りを久しぶりに歩くと、三叉路になる辺りに「三叉灯(SANSATO)」という、コーヒーショップ、雑貨店、アートギャラリーが一体となったアンティークビルがありました。階段スペースに設置されたブリキのカエルを発見し、お店の方にお断りして撮影させていただきました。この三叉路には、外観写真の右手の方に(写ってはいないのですが)「庚申塚(こうしんづか)」が祀られていました。庚申塚といえば猿田彦大神。このカエルはサルタヒコの使い神、下北沢を守っているようでした。

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伊豆でワシととても仲がいいヒキガエルに出会いました。

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<カエルが教えてくれる伊豆半島のこと>

今年12月のはじめ、2022年に続き“伊豆のカエル旅”に出かける機会がありました。今回も沼津在住の友人Mさんご夫妻のご案内で実現した小旅行です。

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最初に訪れたのは「伊豆半島ジオパーク」。日本全国でジオパークは今とても人気があり、日本列島は恐竜がまだ生きていた時代、ユーラシア大陸の東端の縁の部分が、やがて(約2500万年前頃)プレートの沈み込みの影響で火山活動が激しくなったことで割れて、離れて、移動してできたことにロマンを感じる人も多いのではないでしょうか。

そんな日本の成り立ちにおいて、伊豆は現在の小笠原諸島南部の硫黄島あたりにあった海底火山群がフィリピン海プレートにのって北に移動し100万年ほど前に本州に衝突して現在のような半島の形になったことが館内のジオシアターで解説されていました。「半島となってから約20万年前までは、陸上のあちらこちらで噴火が起き、天城山(あまぎやま)や達磨山(だるまやま)といった現在の伊豆の骨格を形づくる大型の火山ができた」そうです。伊豆のうつくしい景観や温泉はその地質学的現象の恩恵といえるのでしょう。

そして、カエル。静岡県には20種のカエルが分布していますが、そのうちの2種、ニホンアカガエルとネバタゴガエルは伊豆地域には分布していないそうです。ほぼ本州全域に生息しているモリアオガエルは斑紋のあるものとないものがいますが、静岡県に生息しているのは有斑型(因みに福島県のモリアオガエルは主に太平洋側の方は有班型、会津地方は無班型)。静岡県のカエルで興味深いと思うのは、隣接する神奈川県との違いで、静岡県に分布しているトノサマガエルとナゴヤダルマガエルは神奈川県には生息しておらず、その替わりに近縁のトウキョウダルマガエルが生息しています。生物地理学的にひじょうに重要な地域と考えられています。

<修善寺のカエルはカジカガエルかダルマガエルか>

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今回の小旅行はMさんが「修善寺でカエルを見つけた」と知らせてくださったことから計画されました。それはなかなか見れない貴重なカエル。なぜなら年に1回10日間ほど公開される修善寺庭園にある池の石の上にいるからです(写真)。まだ紅葉を楽しむことができる最高のシチュエーションでそのカエルを見ることができました。石と同化した色のカエルはカジカガエルのようでもありますが、鳴き声を発しないその姿を発見してくださったMさんに感謝でした。

この庭園は明治38年に小松宮彰仁親王の別邸を移築した際に、達磨山山麓からの水を引き、大小の岩を積んで滝や池を造り、背後にある山を借景とした回遊式庭園として造営されたそうです。地形を活かした高低差のある庭園で散策するだけで山の風情が感じられ、高所から見える池のカエルは達磨山だけにダルマガエルかもしれないと思えました。

<ワシとカエルは平和と繁栄のシンボル>

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次にMさんのご案内で訪ねたのは上原美術館。美術館の広いアプローチの本館の右手に、今まさに鷲に襲われそうなヒキガエルがいました(写真)。しかしこの2種、ここでは天敵の関係ではなく大正製薬株式会社の発展に力を尽くした上原正吉・小枝夫妻を顕彰するために建立された石像のワシとヒキガエルです。上原夫妻の像の隣に据えられていて(写真)、大正製薬といえばワシのマークの「鷲」で発展のシンボル、そして昭和60年に刻まれた碑文の説明によれば夫妻はヒキガエルも「財をひき、客をひき、幸運をひく」として崇めていたと書かれています。制作は彫刻家の富永直樹氏(1913―2006)で、富永氏が東京美術学校(現東京芸術大学)時代、同じ長崎出身で後に長崎平和祈念像の制作者となる北村西望に師事したことを考えると、ワシとカエルで平和を願っているようにも感じられます。

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同敷地には手に魚を入れた籠を持つ海の守護神、魚籃観音が上原夫妻の寄贈で建立されていますが、その足元の滝の流れる池にも大きな石像のヒキガエルや信楽焼の蛙が据えられていました。「大正製薬の繁盛はひき蛙のおかげ」とする昭和62年に刻まれた碑文は上原小枝当時名誉会長のものでした。

人にもカエルにも大切な里山を求めて>

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さらにMさんが「ワシとヒキガエルはここにも」と立ち寄ったのが「里山の別邸 下田セントラルホテル」。大正製薬のグループ会社が運営するホテルです。フロントの責任者のYさんのご案内で館内に展示されているワシとヒキガエルの木彫(写真)と、お庭をはじめ館内至るところに飾られた信楽焼のカエルを見せていただきました。カエルといえば里山に生息する生きものの代表でもあるので、昔なつかしい信楽焼のガマ(このあたりならアズマヒキガエル)がそこかしこに見られる空間はまさに里山の別邸と呼ぶにふさわしい環境だと思いました。

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小旅行の最後はカエルグッズのおみやげ。同ホテルのショップで購入した2匹のカエルさんは、まさに上原夫妻のようでした。

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かえるのジェレミー・フィッシャーに会える「ピーターラビット™イングリッシュガーデン」オープン。

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ピンクの絨毯(じゅうたん)を敷き詰めたような富士の裾野に咲き誇る芝桜。そんな春の風物詩が楽しめる富士本栖湖リゾートに、この4月「ピーターラビット™イングリッシュガーデン」がオープンしました。

ビアトリクス・ポターの絵本『ピーターラビット』シリーズといえば、メインのキャラクターはもちろんうさぎのピーターラビットですが、他にも愛らしい動物たちのお話がいろいろあり、カエル好きにとってはおなじみのジェレミー・フィッシャーもいます。

英国人ガーデナー、マーク・チャップマンさんによる本格的なイングリッシュガーデンを楽しめる施設で、なんとここでジェレミー・フィッシャーに会うことができるのです。

『ピーターラビット』シリーズは今年が出版120周年で、現在、作家の川上未映子さんによる新訳の出版が始まっています。「かえるのジェレミー・フィッシャーのお話」の新訳の出版は来年ということで今から楽しみです。これまでは石井桃子さんの『ジェレミー・フィッシャーどんのおはなし』で親しんできました。そのお話の中にトリップするように、イギリスの湖水地方にあるポターさんの家を訪ねるように、日本でジェレミー・フィッシャーに会えるなんて夢のようです。

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お話の中でジェレミー・フィッシャーは、池のほとりに住んでいます。

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ジェレミーは、カエルにとっては快適な雨模様の日、晩御飯の小魚を釣りに行きます。「もし5ひきいじょう つれたら、県会議長のカメハメハ・カメ氏と イモリのアイザック・ニュートン卿をおよびしよう」と意気込んで出かけました。その釣りの様子が、絵本をリアルに再現したような冒頭の写真です。ガーデン内のこの池の辺りにいて、フォト・ポイントになっています。池のほとりでジェレミーと一緒にたたずんではいかがでしょう。

しかし、お話ではなかなか魚の釣れないジェレミーが、「ここらで、おべんとうでも たべるとしよう」と取り出したのは「チョウチョウのサンドイッチ」。ここイングリッシュガーデンではこれがカフェで食べられます。ローストビーフとチョウチョウの形のパンのプレートです。

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さて、お話の中でジェレミーは、客人をもてなす夕食のごちそうを用意するまでに大変な目に遭います。残念ながら小魚料理は出せなかったようですが、カエルならではの特別なごちそうを供しました。ぜひ絵本も読んでみてくださいね。

(写真協力 富士急行株式会社)

https://www.shibazakura.jp/english_garden/

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津幡町のカエルのその後と町の人々を守るカエル

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野外でカエルの観察をするように、街中でカエルの造形物を発見する路上観察も楽しいものです。どうしてそこにカエルが置かれているのか気になることがあります。

日本両生類研究会会長の高橋久氏から送っていただいた置物のカエルの画像。石川県津幡町の町役場で見かけたということでした。津幡町のカエルといえば、同ブログでは、以前、津幡町駅の近くに設置されていたカエルのオブジェを紹介したことがあります。http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/vikki/2013/04/post-e7d2.html

そのカエルは今どうなっていて、この町役場のカエルとはどんな関係があるのか知るべく津幡町役場に取材させていただきました。総務課の方のお話によれば、以前紹介したカエルは駅の駐輪・駐車場そばの池に造設されていたそうですが、整備事業でその池そのものがなくなりカエルもその後のゆくえは町役場としては把握していないということでした。

今回紹介している画像のカエルは、今年(令和3年)1月に津幡町の新庁舎が落成したことにともない時間外受付玄関に設置されました。実はこれまでも長く庁舎の北口玄関に置かれていたセメント製のカエルで、制作者は1999年に77歳で鬼籍に入られた故岡本七郎氏。津幡町には昭和19年に大洪水が発生したときに事前に家を一軒一軒まわって危険を知らせた忠犬がいて、岡本さんはその犬をモデルにしてたくさんの犬の置物を制作したことで町でよく知られた人でした。(※)その岡本さんが制作した、守ることにかけては忠犬にも負けない「無事カエル」が、今はここで住民の皆さんを見守っているそうです。

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※そのようなエピソードが伝えられているのですが、津幡町役場の方によりますと実際に一軒一軒まわって知らせたのは女性の方だったそうです。

◎日本両生類研究会は今年「第22回両生類自然史フォーラム」を秋田市において6月5日・6日に開催する予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大によりZOOMによるWeb開催に切り替えて6月5日(土)に開催することになりました。

通常は会員のみの参加で行われますが、Web開催では会員以外の皆様の参加も歓迎いたしております。参加費は無料。参加ご希望の方は http://www.nbs.jpn.org/ の「第22回両生類自然史フォーラムのWeb開催のお知らせ」から5月31日までにお申し込みください。お申し込みのメールに氏名、住所等とともに「Webフォーラム申し込み(会員外)」と明記してご送信ください。

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足立が「蛙多地」だった頃にもトリップできるかもしれない

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「東京お寺めぐり通信」(100年カエル館HPトップ面からもご覧いただけます)の取材で、東京・足立区の寺町を歩いていて出合った法受寺の門の前に設置されていた石の「ムカエル」。

足立区では私たちも梅島にある善立寺に「100年カエル館東京ギャラリー」を設置させていただき、年に2回、カエ~ル大学講座を行っております。近くにはカエルをシンボルマークにした商店街も。竹ノ塚には「やせ蛙負けるな一茶是にあり」の俳句でも知られる小林一茶と縁のある炎天寺があり、境内にはカエルの置物も見られ、秋の「一茶まつり」のときは「蛙相撲」(蛙のかぶり物をつけた人同士の相撲)も行われます。竹ノ塚は歩いているとカエルの絵柄のタイルも発見できます。

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今回、「東京お寺めぐり通信」で足立区をめぐるで、この地の千住は古くから西と東を結ぶ基点で江戸時代は千住宿として繁栄していたが、その他の地域は江戸時代においても主に田園地帯で、一茶が一時期住んでいたこの地にもきっとカエルがたくさん棲んでいたにちがいないと想像できます。カエルの博士で知られた岩澤久彰先生は、1980年に掲載された「カエルの民俗学」(『採集と飼育』)に「昔は日本中、人のいるところにはどこにも、うっかりすると踏みつぶすくらいたくさんのカエルがいたらしい。東京の足立区の地名は蛙多地(あたち)に由来するという人もいる」と書いています。

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足立区の伊興(いこう)には、住宅街に古墳時代、古代祭祀などが行われていたことがわかる伊興遺跡(写真)が見られます。竪穴式住居がつくられていたこの辺りでも人々はカエルとともに日々の暮らしを営んでいたのでしょう。

「東京お寺めぐり通信」第4回足立区仏教会は間もなく発行いたします。下谷仏教会、本所仏教会、浅草仏教会に続き第4回目となり、毎回トップページでは、明治・大正・昭和を生きたカエル好きの小澤一蛙さんについて書いています。

 

 

 

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■カエルさんの仕事ぶりを見に、ぶらり街歩き

カエルのことが気になって、いわば“ゾーンに入る”と、日本全国(たぶん世界的にも)いろんなところで働くカエルさんと出会います。「~かえる」の語呂合わせで公共の場所で注意を呼びかけたり、店舗や企業の玄関や外観まわりで季節の演出や商売繁盛の縁起物にディスプレイされていることがあります。最近は、街歩きをする人が増えています。そんなときが街で看板や置物のカエルさんと出会うチャンス。以下、さまざまな場所で活躍するカエルの仕事ぶりをご覧ください。

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画像上から、❶沖縄県・宮古島のビーチ❷沖縄県・池間島のレストラン❸大阪の大阪歴史博物館近く❹❺東京・池袋の百貨店のショーウインドー❻東京・浅草のベーカリー❼埼玉県・武蔵浦和の銀行❽埼玉県・与野の日用品店❾栃木県・大谷のパーキングエリア❿⓫東京・本所の企業のエクステリア⓬東京・目白の蕎麦店⓭福島県・いわきの居酒屋

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100年カエル館2017年の9月以降の開館スケジュールは以下の通りです。

■9月23日(土・祝)~24日(日)/9月26日(火)~30日(土)

※9月23日は午後3時より、カエ~ル大学講座「美術館に棲息するカエルについて」を開催します。

■10月7日(土)~9日(月・祝)/10月11日(水)~18日(水)/10月28日(土)~29日(日)/10月31日(火)~11月5日(日)

※10月末から11月初めは100年カエル館の庭の紅葉がとてもきれいです。紅葉とカエル・コレクションを観にいらっしゃいませんか。

<100年カエル館情報>

場所 : 100年カエル館

      〒966-0096福島県喜多方市字押切南2-6

      (旧桐工芸館裏、自動車用品ショップコクピット121隣)

開館時間 : 午後1時~午後4時

入館料  : 大人 500円 小中高生 100円

お問い合わせ 048-838-7360(ケーアンドケー内)

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<関連サイト>

「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com

※Webミュージアムでは2011年に福島県立博物館で開催した「喜多方『100年カエル館』コレクション展」を画像でご覧いただいております。

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■100年カエル館で滝夜叉姫の凧を見て、慧日寺へ

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今年2017年の100年カエル館開館期間にご覧いただいている「小澤一蛙展」では、小澤さんが集めた江戸凧も展示していますが、 写真奥の天井近くに吊り下げた凧には「滝夜叉姫」が描かれています。

「滝夜叉姫」はガマの妖術をテーマに語るとき、「児雷也」や「天竺徳兵衛」などとともに取り上げられることがあり、小澤コレクションの凧にもそれら3つの絵を見ることができました。そして滝夜叉姫は、会津ともかかわりの深い実在の女性と伝えられています。

あの平将門の三女として生まれた滝姫が、将門の誅殺後、奥州に逃れ会津の慧日寺の傍らに庵をむすんで住んでいたと語られています。あるとき、病気で命を落とし父の罪業のために地獄に落ちたが、地蔵菩薩の御加護でよみがえりその後如蔵尼と名を改め地蔵菩薩に帰依して生きた、と。この話と姫の弟で筑波山でガマの妖術の修業をしたとされる平良門が絡んで生まれた復讐劇が「滝夜叉姫」です。

この夏、磐梯山の麓(ふもと)の磐梯町にある慧日寺跡を訪ね、その滝夜叉姫こと如蔵尼の墓とされる碑を見てきました(写真)。

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平安時代に大伽藍を築き繁栄した慧日寺は、徳一菩薩が創建した寺院です。徳一は奈良で法相宗を学んだ後、会津を中心に仏教文化を広めた学僧で、当時、最澄や空海と大論争を繰り広げたことが歴史の記録に残っています。

その史跡(写真下)の前に立つと、絶えず死と再生を繰り返しながらも往時を今に伝える会津の自然を背景に、そこにあったとされる総面積15万㎡の寺院全体が蜃気楼のように脳裏に浮かび上がりました。また、徳一さんの霊廟が一般の人々の霊園と共にあり、お盆ということで自分の家のお墓参りをする人の姿も多く見られたことに、最澄や空海と激しい論争をしても会津では庶民に愛されていたにちがいないと、遥か昔、平安時代の会津の人々の暮らしさえ想像できました。ぜひ皆さんも100年カエル館で滝夜叉姫の凧を見た後は、慧日寺にも足を延ばしてみてください。

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100年カエル館2017年の9月以降の開館スケジュールは以下の通りです。

■9月23日(土・祝)~24日(日)/9月26日(火)~30日(土)

※9月23日は午後3時より、カエ~ル大学講座「美術館に棲息するカエルについて」を開催します。

■10月7日(土)~9日(月・祝)/10月11日(水)~18日(水)/10月28日(土)~29日(日)/10月31日(火)~11月5日(日)

※10月末から11月初めは100年カエル館の庭の紅葉がとてもきれいです。紅葉とカエル・コレクションを観にいらっしゃいませんか。

<100年カエル館情報>

場所 : 100年カエル館

      〒966-0096福島県喜多方市字押切南2-6

      (旧桐工芸館裏、自動車用品ショップコクピット121隣)

開館時間 : 午後1時~午後4時

入館料  : 大人 500円 小中高生 100円

お問い合わせ 048-838-7360(ケーアンドケー内)

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■滋賀県にカエル旅

今年2016年の春に〝滋賀県にカエル旅〟に出かけました。滋賀県とカエルといえば、カエルグッズを集めていると信楽町でつくられる信楽焼のカエルに親しみがありますが、今回は一度行ってみたかった竹生島中心に近江を旅しました。

竹生島や近江に惹かれた理由は、随筆家の故白洲正子さんの『近江山河抄』を読み、かの地の風景に秘められた古(いにしえ)より日本に暮らす人々の心にふれたかったこと。また、昨年、東京・下谷の寺町を取材する機会があり、江戸時代は寛永寺の寺領だった上野公園の不忍池、その中に造営された中島は、琵琶湖の中の竹生島に見立ててつくられたことを知り、その元祖として詣でたくなったからでした。そこを中心に巡る近江の地で、カエルに関わるものに出会えればいいなと・・・・・・。

果たして竹生島には龍神を祀り「阿吽(あうん)の龍」を据えた「白巳社(はくみしゃ)」があり、その前に信楽焼のカエルと赤茶色のパワーストーンがありました(画像)。

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ここの龍神様は「白巳大神(はくみおおかみ)」と呼ばれているので、その前にカエルがいるということは生贄的意味があるのだろうかと思って、竹生島神社に尋ねたところ、参拝者が増えるようにと3年ほど前から置くようになったとのこと。島内にはほかにもいくつか馴染みのある信楽焼のカエルが見られました。

カエルが信仰の対象になっているのは、木之本町にある木之本地蔵浄信寺の「身代わり片目蛙」(画像)。昔々、この辺りを通りかかった旅人が目を患ったところ、お地蔵様の願いで寺の池の蛙が自分の片目をその旅人に与え救ったという話に由来しています。日本三大地蔵のひとつとされる6メートルはあるお地蔵様の足元には今もたくさんの「片目蛙」が集まっています。

この「片目蛙」の話を初めて聞いたとき、カエルが犠牲を払ったのは立派だけれど、「カエルさん、辛かったんじゃないか」と真に受けました。しかし、旅の安全を守る道祖神とも関わる地蔵菩薩とカエルの組み合わせは、道祖神信仰の大元に存在する猿田彦大神とその使いのカエルとの関係につながっているのかもしれないと思うと近江に今も生きている、人とカエルと神仏の関わりの深さを感じました。

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米原(まいばら)から近江鉄道で30分ほどのところにある多賀大社は、元々「かえる子」と言われていたカエルの子どもがオタマジャクシと呼ばれるようになった由来とされる「お多賀杓子」で知られます(※)。オタマジャクシは「おたがじゃくし」のなまったものという説があります。境内には願いごとが書かれたたくさんのオタマジャクシ(お多賀杓子)が奉納されていました。(画像)

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※養老年間(717-724)、元正(げんしょう)天皇の不予(ふよ)にあたって御祈願があり、強飯(こわい)を炊き、神山のシデの木で杓子を作り、副えて奉ったところ、たちどころに平癒したという。この縁起により多賀大社では「お多賀杓子」を御守として授与するようになった。(多賀大社の縁起より)

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<100年カエル館情報>

2016年の営業は終了いたしました。ご来館ありがとうございました。

場所 : 100年カエル館

      〒966-0096福島県喜多方市字押切南2-6

      (旧桐工芸館裏、自動車用品ショップコクピット121隣)

開館時間 : 午後1時~午後4時30分

入館料  : 大人 500円 小中高生 100円

お問い合わせ 03-3981-6985(ケーアンドケー内)

100年カエル館コレクション展 「かえる曼陀羅」  ~100年カエル館から河竹登志夫さんへのオマージュ~ は11月10日で終了いたしました。ありがとうございました。

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※新刊『ときめくカエル図鑑』(山と渓谷社刊 文・高山ビッキ 写真・松橋利光)販売中です。どうぞよろしくお願いします。

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■「大谷蛙」の由来のカエルに救われたお坊さんとは?

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石製のカエルは、100年カエル館のコレクションにもいろいろありますが(よろしければ100年カエル館HPのWebミュージアムをご覧ください)、日本でよく知られた石のカエルといえば和歌山県の那智の黒石のカエルと、この写真のような栃木県の大谷石のカエルでしょう。先週末、100年カエル館の資料整理に喜多方に行き、東京に戻る途中のサービスエリアで見つけました。

そこでは「今日も元気で無事カエル」と、交通安全祈願のために置かれていたのですが、「大谷蛙」がこの辺りで「五穀豊穣」「家内安全」を祈る地鎮守様として崇められているその由来も書かれていました。昔、観音様を彫っていたお坊さんが毒蜂に襲われそうになったときに、その毒蜂を食べて救ってくれたのが蛙だったそうです。でも毒蜂の襲撃は1回で終わらず、大群でやってきたときには1匹の蛙では手に負えなくなった。すると背中に背負った小蛙が大声で鳴き騒ぎ、その声を聞いてやってきた何万もの蛙が、毒蜂をすっかり平らげて退治してくれたのだとか。おかげでお坊さんは観音像を完成させることができました、と。

ところで、日本屈指の洞窟寺院で知られる大谷寺には、810年(弘仁元年)に、空海が千手観音を刻んで同寺を開いたという伝承があるそうです。カエルが救ったお坊さんとは、弘法大師、空海のことなのでしょうか。

喜多方市内を散歩しているときにも石のカエル(写真)を見つけました。玄関アプローチや庭にカエルを置いているお住まいが増えているような気がします。

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※新刊『ときめくカエル図鑑』(山と渓谷社刊 文・高山ビッキ 写真・松橋利光)販売中です。どうぞよろしくお願いします。

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<関連サイト>

「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com

※Webミュージアムでは2011年に福島県立博物館で開催した「喜多方『100年カエル館』コレクション展」を画像でご覧いただいております。

「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u

「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru ※エッセイで時代をふりかえるサイトです。

「キモノ・二・キガエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kimonokigaeru  ※ゆかたやキモノ着用で優待割引のある施設をご紹介するサイトです。

カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html 

※『かえるる カエルLOVE111』(山と渓谷社)全国の書店等で販売中です。

 

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■2015年のカエルの日に京都で見つけたカエル

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この時期は、毎年仕事で京都に行くことが恒例になっていて、昨年はこのブログで川端二条のフレンチレストランの前に佇むカエルのオブジェを紹介しました。

京都では神社仏閣でカエルの造形物を発見することがたびたびあり、狛犬のように置かれていたり、噴水のデザインの一部に据えられていたります。本流の寺社めぐりの合間に“蛙流(ありゅう)”の楽しみ方ができます。ところで、LaLaTVで放送されている「キョートカクテル」というアニメ番組をご存じでしょうか。舞台となっている木屋町のバーのマスターがなぜか“カエル”で、そこにやってくるお客さんとゆる~いなかにもウィットのある恋愛話が交わされます。

そんな、カエルとは縁の浅からぬ京都で、6月6日のカエルの日に見つけたカエルがこちら(写真上)。烏丸御池にある香老舗松栄堂では、エッセイコンテスト「香・大賞」を毎年開催しています。今年で30回となったそのコンテストの作品集の中に、この季節にふさわしい水文とカエルのイラストが描かれていました。写真では、ガラス玉の中にカエルが見えるペーパーウエートと組み合わせてみました。

松栄堂本店のある寺町界隈を散策すると、京都ならではの伝統工芸品の古い店構えの前で足が止まります。カエルの工芸品と出合うこともしばしば。また、手芸や工作などの材料を扱うお店も多いので、たとえばこんなカエルのボタンと石の切片(写真下)を買って風流に楽しんでみるのもいいかもしれません。

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