シンポジウムでカワズ合戦「アジア・信仰・カエルキャラクター」開催
啓蟄から始まったカエル・イベント「梵蛙精舎によみがえる」もひと月を経過し、足立善立寺という寺院で開催したことで「カエル信仰」という大きなテーマも浮かび上がる不思議な時間をいただいたような気がしている。
3月28日(日)には、史上初、かどうかはわからないが、めずらしいことは確かな「カエル信仰」をテーマにしたシンポジウム「アジア・信仰・カエルキャラクター」も開催された。パネリストは、まず、主催者の善立寺住職、新倉典生氏、長昌寺院代の鈴木海光氏、妙金寺尼僧の野澤朋代氏と僧侶が揃う。同じ僧侶でも、当然、カエルとのかかわり方は違い、新倉氏は古代から現代にいたる人々の信仰のなかでカエルがどう扱われてきたかにとても関心が高く、鈴木氏は自分のお寺でアカガエルやヒキガエル、アマガエルなど日本のカエルを飼育していて、夜行性のカエルの観察のためにちょうど毎日忙しい夜を過している時期ということだった。また、野澤氏は尼僧というイメージとは結びつかない、カエルグッズが大好きないわゆるカエラーで、お嬢さんにはオタマジャクシのタマ(珠)をとって名づけたほど。
基調講演は、考古学者の前園実知雄奈良芸術短期大学教授が行ったが、前園氏も愛媛県松山市の吉祥山法蓮寺の住職を務める真言宗の僧侶でもある。まさに「カエル信仰」を語るのにふさわしく、中国古代の「カエル信仰」がどう日本に伝わっているか、具体的な遺物を取り上げ語られた。前園氏はこれまで藤ノ木古墳発掘などさまざまな遺跡の発掘調査に関わり、研究を続けられてきたが、今回のように考古学的視点でカエルについて考えたのは初めてだったという。
そして今か今かと待ち望まれたのは、今もっとも人気の高いカエル・キャラクターである「ケロロ軍曹」の声を担当する声優の渡辺久美子氏の“カエル”の一声。今回のシンポジウムの仕事の依頼に、同じアニメ映画制作のスタッフからは「なんで?」という反応があったそうだが、カエルを愛する人々が「カエル信仰」について語り合うということで納得が行ったということだった。渡辺氏が公開中の「ケロロ軍曹」の映画のタイトルを読み上げただけでも、会場は幸せに包まれた。
硬いのか軟らかいのかわからない、このシンポジウムの司会進行を担当したのは、落語家の柳家我太楼師匠。シンポジウムの導入部では落語「がまの油」を披露し、司会はカエルの被り物で色を添えるエンターティナーぶりで、終始笑いを誘いながら会を進めた。
そんなシンポジウムに私もパネリストとして加わった。シンポジウムのパネリストになるのは初めてで、話すことには不慣れな私には勇気が要った。でも、カエルについて話すことは誰にでも話す勇気を与えるほどおもしろいものだと思った。この“カワズ合戦”に私は100年カエル館学芸員、カエルタイムズ編集長として、カエルに関する断片的な知識で応戦した。以前、カエルタイムズの社説で、「人間とは何かを考えるのはむずかしいが、カエルとは何かを考えるのは楽しい」といったような内容のことを書いたことがある。今の世の中、人間同士が集まって話すことに暗い話が多いとお考えの方は、ぜひカエルをテーマに語り合ってみることをお奨めしたい。カエルを知らない人はほとんどいないと思うので、好き嫌いも含めて子どもの頃の思い出などピョンピョンいろんなカエルが飛び出して尽きることがないこと請け合いである。
ところで、100年カエル館のHPをご覧いただいた方はご存知だと思いますが、同館は事情がございましてしばらく休館させていただいております。一方、カエルタイムズの方は長らく発行が止まっておりましたが、今度の6月から年間4回発行して参ります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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