生きもののカエルとカエルグッズ、それぞれの「かえる愛」でクロストーク(とみおかアーカイブ・ミュージアムにて)
ぬいぐるみのカエルたちで舞台に「花」ならぬ「蛙」を添えてクロストーク
現在、とみおかアーカイブ・ミュージアム(福島県富岡町)で開催中の矢内靖史さんの写真展のトークイベントが12月9日に開催されました。テーマは写真展のタイトルにあわせた「かえる愛」。前半のクロストークでは私も参加させていただき、カエルの写真家の視点とカエルグッズコレクターの視点をクロスさせたトークを展開しました。
郡山出身の矢内さんが子どもの頃は、当時男の子なら多くが体験したような、カエルにはちょっと気の毒な遊びも行われていました。それだけ身近にカエルが生息する自然が残っていた証しでしょう。けれども特にカエルに関心をもつことなく大人になり、カエルが大きな存在だと気づいたのは東日本大震災の後のこと。「取材で疲れているときにカエルの瞳に吸い込まれそうになった」そうです。それ以後は福島県のカエルを撮影することが写真家としての重要な仕事になり作品を発表、写真集に『かえるふくしま』があります。
喜多方に生まれた私は川のそばで夏はかまびすしいほどのカエルの鳴き声を聞きながら育ったものの、カエルという生きものの形態は祖父の蒐集する土や木や石など自然素材で作られたカエルの置物で知りました。やはり子どもの頃カエルに特別な関心を示すことはなかったのですが、大人になって新しい世界に飛び込むごとに古今東西のカエルグッズと出合うことができ、家族みんなで集めたカエルのコレクションで100年カエル館を創設しました。同館は来年20周年になります。
矢内さんは自らのカエルの写真について「スナップ写真のようにそのカエルが一番魅力的に見えるように撮影している」と語ります。それはカエルの愛らしさであり、カエルが人間に伝えようとしているメッセージであるとも受け取れ、たぶん私を含めカエルグッズからカエルに興味をもつようになったカエル好きの心にも響くものだと思いました。
100年カエル館は創設後さまざまなイベントを企画させていただくなかで、2008年の世界的な両生類保護を目的としたキャンペーン「国際カエル年」の事務局業務の仕事を担当いたしました。それをきっかけにカエルの自然史にも興味をもつようになり、最近は特に日本のカエルについてその起源などをもっと知りたいと思っています。
今回のクロストークを通して、出会ったきっかけや表現のジャンルが違っても語り合え、同じ地点にたどり着くように感じられる懐(ふところ)の深さが「カエル」の魅力かもしれないと思えました。
矢内さんの撮影時のエピソードなどを聞きながら作品を鑑賞する参加者の皆さん
※矢内さんの写真展「かえるあい」は来年2024年2月12日まで開催されています。
矢内靖史写真展「かえるあい」
会期:2023年10月21日(土)~2024年2月12日(月)9:00~17:00(最終入館16:30)
会場:とみおかアーカイブ・ミュージアム
〒979‐1192福島県双葉郡富岡町大字本岡字王塚760‐1 [休館日]月曜日(月曜祝日の場合、翌平日)
TEL.0240-25-8644
入館無料
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「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com
「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u
「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikae
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