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2022年4月

かえるのジェレミー・フィッシャーに会える「ピーターラビット™イングリッシュガーデン」オープン。

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ピンクの絨毯(じゅうたん)を敷き詰めたような富士の裾野に咲き誇る芝桜。そんな春の風物詩が楽しめる富士本栖湖リゾートに、この4月「ピーターラビット™イングリッシュガーデン」がオープンしました。

ビアトリクス・ポターの絵本『ピーターラビット』シリーズといえば、メインのキャラクターはもちろんうさぎのピーターラビットですが、他にも愛らしい動物たちのお話がいろいろあり、カエル好きにとってはおなじみのジェレミー・フィッシャーもいます。

英国人ガーデナー、マーク・チャップマンさんによる本格的なイングリッシュガーデンを楽しめる施設で、なんとここでジェレミー・フィッシャーに会うことができるのです。

『ピーターラビット』シリーズは今年が出版120周年で、現在、作家の川上未映子さんによる新訳の出版が始まっています。「かえるのジェレミー・フィッシャーのお話」の新訳の出版は来年ということで今から楽しみです。これまでは石井桃子さんの『ジェレミー・フィッシャーどんのおはなし』で親しんできました。そのお話の中にトリップするように、イギリスの湖水地方にあるポターさんの家を訪ねるように、日本でジェレミー・フィッシャーに会えるなんて夢のようです。

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お話の中でジェレミー・フィッシャーは、池のほとりに住んでいます。

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ジェレミーは、カエルにとっては快適な雨模様の日、晩御飯の小魚を釣りに行きます。「もし5ひきいじょう つれたら、県会議長のカメハメハ・カメ氏と イモリのアイザック・ニュートン卿をおよびしよう」と意気込んで出かけました。その釣りの様子が、絵本をリアルに再現したような冒頭の写真です。ガーデン内のこの池の辺りにいて、フォト・ポイントになっています。池のほとりでジェレミーと一緒にたたずんではいかがでしょう。

しかし、お話ではなかなか魚の釣れないジェレミーが、「ここらで、おべんとうでも たべるとしよう」と取り出したのは「チョウチョウのサンドイッチ」。ここイングリッシュガーデンではこれがカフェで食べられます。ローストビーフとチョウチョウの形のパンのプレートです。

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さて、お話の中でジェレミーは、客人をもてなす夕食のごちそうを用意するまでに大変な目に遭います。残念ながら小魚料理は出せなかったようですが、カエルならではの特別なごちそうを供しました。ぜひ絵本も読んでみてくださいね。

(写真協力 富士急行株式会社)

https://www.shibazakura.jp/english_garden/

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ベルギーにおけるspadefoot toad (スキアシガエル)の状況

両生類に関する世界的な保全活動を継続して行っているAmphibian-Arkのサイトhttp://www.amphibianark.org/ の2021年発行のNewsletter54より、ニンニクガエルについての記事を紹介いたします。

ベルギーにおけるspadefoot toad (スキアシガエル)の状況

Loïc van Doorn, Jeroen Speybroeck, Johan Auwerx and Bruno Picavet, Research Institute for Nature and Forest, Belgium; and Lily Gora, Agency for Nature and Forest, Belgium

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ニンニクガエルのメス成体(撮影Loïc van Doorn)

旧世界(ユーラシア大陸)のSpadefoot toad(スキアシガエル類)は、Pelobatidae科(スキアシガエル科)に属する古い科のカエルで、ユーラシア大陸の西部地域に広く分布するほか、ユーラシアの東部近辺や極端な例ではアフリカの北西部にまで分布しているカエルです。現存する唯一の属であるPelobates属(ニンニクガエル属)には6種がいて、いずれの種も角質化して硬い隆起がある足を使って砂地を後方に掘り進んで潜り、生活環のほとんどを地中で生活しています。 

The Common Spadefoot Toadニンニクガエル(Pelobates fuscus)はヨーロッパ大陸に広く分布しています。夜行性で、好みの天候になったときに地上に姿を現します。地中に戻る明け方まで暗闇の中で広範囲にわたり無脊椎動物を食べ回ります。繁殖は春に行われ、繁殖地の水の中に入って水面の下でメスを呼びます。卵は水辺の陸地に産み付け産卵数は数千個、幼生は15㎝以上の大きさになり、変態するまで多様な餌を食べます。多くの両生類と同様に、変態のタイミングは状況で変わります。ニンニクガエルの幼生は通常夏の終わりにその生涯を陸域から始め、数か月かけてかなり大きな体長のオタマジャクシになります。

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ニンニクガエルの大きなオタマジャクシ(撮影Loïc van Doorn)

歴史的にも、この種は砂地の土壌に隣接した広大な水辺、季節によっては洪水に見舞われる川辺に生息していることが知られています。そのような場所は現在でも両生類の生息に適していて、ニンニクガエルは最もよく見られる両生類と考えられます。けれども、このような生息環境は西ヨーロッパでは少なくなり、河川は運河化し、湿原は水を排出し、周囲の生息環境がさまざまな構造的要因によって失われて来ています。結果として、ニンニクガエルは農地、特に小規模でさまざまな穀類を生産している農地の環境に生息するようになりました。そうした、人の手が加わった環境で大きさも深さも十分にある畜牛用の池で繁殖します。しかし、ここ10年ほどメタ個体群(局所的集団)を形成していた本種も農業の変化などによって生息場所が失われ、その数は減少し往時の生息数を留めてはいません。

したがって、本種は実質上、分布域の西側から減少していることになります。スイスとルクセンブルクでは地域によっては消滅、西ヨーロッパや中央ヨーロッパでは7ヶ国以上で危機に瀕しているとされています。ベルギーではここ数十年の間にいくつもの個体群が消滅し、離れた2つの地域に小さな個体群が残っているに過ぎません。生息地の破壊がまた起こり、状況が悪化したり、繁殖地にパンプキンシード(Lepomis gibbosus ブルーギルに似た北米産の外来魚)やイースタンマッドミノウ(Umbra pygmaea 北米産のコイ科の小型魚)やブラウンブルヘッド(Ameiurus nebulosus 北米産のナマズ目の魚)やトップマウスガジェオン(Pseudorasbora parva アジア産のモツゴ)などの生物が増えればベルギーにおける本種の幼生は数を減らし、個体群の減少はさらに悪化することになるでしょう。

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数千個の卵をもつニンニクガエルのひも状の卵(撮影Jeroen Speybroeck)

このような流れを変えるために、ANBAgency for Nature and Forest,Belgium/ベルギーの自然保全部門)は本種の保護プログラムを策定し、INBOInternational Network of Basin Organizations ベルギーの自然保護機関)にニンニクガエルの再導入の取り組みを要請しました。まず2つの個体群のひも状の卵を採取します。それらを幼生になるまで育て、幼体に変態させ、その後、生き残った個体群を元々分布していた生息地に再導入します。その再導入の前にすべきこととして、ニンニクガエルの個体群を最初の導入に導くための生息地の問題(外来種の除去や環境の整備など)を解決する必要があります。

ひも状の卵はINBOの域外に設置された特別な施設で飼育されます。そのようにして病気に罹患していない状態でできるだけ多くの個体を成長させます。2020年には11,465匹の幼生と190匹の幼体が二つの新生息地と二つの残存していた生息地に放流されました。2021年は例年の春の寒く乾燥した気候のためか採集できる卵の数が少なく、再導入の努力を続けるためには追加採集する必要がありそうです。現在、2つの解決方法が試されています。ニンニクガエルの飼育下の繁殖のために野生の育種素材を確立すること。そして、次に隣国などの健康な個体群や育種素材から質量ともに素材に成り得る紐状の卵や幼生を優先的に集めることです。どちらも遺伝子的多様性を高めるのはもちろん、野外でうまく繁殖しない時や施設での繁殖がうまくいかない時の保障にもなります。

その狙いは、ニンニクガエルの幼生や幼体を放流することにより、少なくてもこの4年間の保全期間に、自然個体群の補強を図り、個体群の構造をしっかりさせて、持続が保証された生息群を再形成することです。そのために使用可能な幼生の育種素材の蓄積に依存しながら、ニンニクガエルを他の地域に広く導入する前に、あらかじめ決めておいた一部の小個体群の中に導入します。この理論的根拠としてオランダでの成功があり、ここではニンニクガエルの鳴き声が再び国中で聞かれるようになりました。ベルギーもそのようにこの象徴的な種にとって安全な生息場所になることを望んでいます。

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水の循環システムを備えるベルギー自然林調査研究所の繁殖設備の一部(撮影Johan Auwerx)

(翻訳高山ビッキ 監修桑原一司)

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冬眠から覚めれば桜の季節に

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 4月初旬の会津はまだ寒く、100年カエル館の庭で冬眠から覚めないアマガエルを見つけました。

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 たぶん桜の開花の前にはこのクレイアートのカエルさんのようにパチッと目が覚めて、今年の活動を開始するでしょう。この3㎝ほどのカエルのミニチュアは、30年ほど前にロンドンのコベントガーデンで購入したものです。世界中にカエルが棲息していて、世界各地にカエルグッズをつくる人がいると思うと、心はいつも春の日差しのように暖かくなります。

 100年カエル館はコロナの終息を待って再開の準備作業を進めています。庭の整備もそのひとつ。蔓(つる)植物に手を焼くことも多いのですが、そんな時に思いがけなくカエルさんに出会うといいことがあるような気がします。

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