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2021年8月

海と空とカエルと、一枚の布に誘われて

最近、夏休みが終わって登校が始まった近所の小学生の女の子とすれ違い、朝の挨拶を交わしました。すると、その女の子がやって来た方角にある住宅の階上から「行ってらっしゃーい」「気をつけてねー」と窓に張りつくようにして涙声で叫ぶ幼い女の子の姿が見えました。長い夏休みをお姉ちゃんと過ごした妹さんなのでしょう。お姉ちゃんは意を決しているかのように振り返ることもなく遠ざかっていきます。そのランドセルを背負った後ろ姿が印象的でした。

そんなふうに夏休みの終わりを感じたら、カエルが登場する絵本や童話について書く宿題を終えていない気がして……。今回は2冊紹介いたします。

どちらにももちろんカエルが登場しますが、どちらのカエルも1枚の布を手に入れることで、自分を取り巻く世界を変えることができました。1枚は青いバスタオル、もう1枚は赤いハンカチで。

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『うみをあげるよ』(山下明生・作、村上勉・画、秋書房、1977年刊行)

『うみをあげるよ』では、団地の上の階に住んでいるワタルくんの、それがないと眠れないほど大事にしている「あおい すてきな タオル」が、ある日、ベランダの物干しから風に飛ばされてしまします。そして、その青いタオルは、ワタルくんの家の近くの森に住んでいるカエルの兄弟が、初めて目にした「うみ」になりました。海を思いっきり楽しむ2匹のカエル。タオルの端にとまったホタルの光は灯台に思えたようです。ワタルくんもカエルたちを見守っているうちにちょっとお兄ちゃんになっていきます。作・画のお二人によるカエルが登場する絵本は「かえるえんみどりぐみ」シリーズなど、他にも読むことができます。

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『カエルのフレディ空を飛ぶ』(ジーグムーント・フレンケル作、きしむらこたろう訳、PHP研究所、2000年刊行/現在品切れ)

 一方、赤いハンカチで凧を作って、空へと飛び出したのは『カエルのフレディ空を飛ぶ』のフレデイです。やはり、干してあった洗濯ものが風に飛ばされてきたのか、こちらは1枚の「真っ赤なハンカチ」を手に入れます。フレディはその活用のしかたをあれこれ考えて、ついには2本の小枝を使って凧を作ることに。そうして、カエルにはできないような空の旅に出て、そこで出くわしたコウノトリの攻撃に対しても知恵を絞って応戦します。作者のジーグムーント・フレンケル氏(1929-1997)は、ポーランド生まれで、ロシア、イギリス、ベルギーでの生活を経て、イスラエルに定住して創作活動をしました。そのコスモポリタンらしい視点なのか、ちょっとシニカルですが世の中を渡るときのヒントがいろいろ発見できる大人のための絵本です。姉妹本に『カエルのフレディ海を行く』もあります。

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<関連サイト>

「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com

「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u

「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru

※現在、「コトバデフリカエル」では「カエル白書」Vol.3を配信中です。

 

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ポルトガルで作られているアズレージョのカエルは何ガエル?

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アズレージョとは、ポルトガルの伝統工芸のタイルのこと。首都リスボンをはじめポルトガルの街を歩いていると建築物の壁面などによく見られるタイルのようです。

アラブ語でモザイク片を意味するaz-zulechaに由来するアズレージョ。国立アズレージョ博物館などの情報によりますと、元々は14世紀にイスラム教徒によってスペインに持ち込まれたものが、15世紀後半にスペインのセビリアからポルトガルに輸入されました。

さらに16世紀初頭には、ルネッサンス期にイタリアで発祥したマヨリカ焼の技術がポルトガルにもたらされたことでタイルに直接彩色できるようになり発展し、いまもポルトガルの建築や芸術に欠かせない伝統技術として受け継がれています。

初期のアズレージョにはアラブ風の幾何学的な模様が多かったのですが、17世紀以降人物や動植物、そして歴史的な物語や地域の歴史などが描かれるようになりました。青色の彩色がポピュラーですが、多彩色のアズレージョも見られます。

 

ショップなどではタイルだけでなく、このカエルのようにアズレージョタイルの陶芸技術を使ってつくられた小物も販売されています。そしてこうしたカエルの置物を見ると、ポルトガルでは作り手の方々が自然に生息するどんなカエルから着想してこの“カエル”を製作したのだろうと思いを巡らしてしまいます。

改めて地球儀を回してみると、ポルトガルはヨーロッパ大陸の最西端のイベリア半島に位置しています。何種類のカエルが分布しているかわかりませんが、形態からするとアカガエル科のカエルと類推すれば、ポルトガルにはその英名にイベリアと付くアカガエル科のなかま、Iberian Frog(イベリアアカガエル)やIberian Water Frog(ペレスワライガエル)がいて、アズレージョにふさわしい寒色系の体色からするとペレスワライガエルあたりだろうかなどと勝手に同定してみました。

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<関連サイト>

「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com

「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u

「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru

※現在、「コトバデフリカエル」では「カエル白書」Vol.3を配信中です。

 

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