夏休みのカエル講座7 カエルが逃げる
9月に入り学校生活は始まっていると思いますが、ここでは「夏休みカエル講座」を続けさせていただきます。今回のテーマは「カエルが逃げる」です。
カエルグッズを集めていると、人間と同じような格好をしたカエルも含め、そのポーズにカエルは飛んだり跳ねたり、泳いだりすることが得意で好きなのだと思うことがあります。たとえば写真右のジャンプする姿のビニール製のカエルや、写真左の泳いでいるように見えるプラスチック製のカエルのブローチなども。しかし、自然界におけるその行動が、天敵から逃げるために発達させた能力であることがわかると、その健気さに一層の愛情が湧きました。
写真中央にいたっては、アカメアマガエルが木の枝に登って得意げなポーズをとっているように見えます。でも、英語でTree Frog(樹上性のカエル)といわれるアマガエル科のなかまたちも、やむにやまれず逃げて木に登ったことが現在に至る繁栄につながったとする見方もあります。6600万年前に地球に隕石が衝突したことで恐竜が滅んだ後、爆発的に数を増やしたのが木に登って暮らしたアマガエルたちだったという、カリフォルニア大学バークリー校教授のディヴィッド・ウエイク博士による研究報告が2017年に話題になりました。
この「夏休みのカエル講座」では、カエルグッズを通して自然界のカエルたちの行動について考え、生物学の専門家の方々の研究論文にまでジャンプしてお伝えしています。カエルの「逃げる」行動に関しても興味深い研究調査がありました。
ちょうど1年前の9月17日に配信された国立環境研究所のニュースによりますと、東京農工大学、国立環境研究所、森林総合研究所の研究グループは、在来種のカエルが外来種のマングースによってわずか数十年の間に急速にその逃避行動を発達させた可能性を示す調査報告をしています。人がどこまで接近すればカエルが逃げ出すかという「逃避開始距離」を計測することで、マングースの影響が強かった地域に生息するカエルが、影響の弱かった地域と比べてすぐに逃げ出すことを明らかにしたそうです。
調査地となった奄美大島にマングースが導入されたのは1979年。しかし、在来種の減少が見られたため2000年に環境省による駆除が始まり、今回の調査が行われた2013年にはほとんど駆除されていました。そのことにより、一度発達したカエルの逃避行動はすぐには戻らない、世代を超えて受け継がれている可能性も示しています。
詳しくは下記をご覧ください。
https://www.nies.go.jp/whatsnew/20190917/20190917.html
カエルにとって「逃げる」行動がいかに大切か知ることができました。
<関連サイト>
「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com
「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u
「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru
※現在、「コトバデフリカエル」では「カエル白書」Vol.3を配信中です。
カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.htm
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