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ボリビアのミズガエル、ロミオの結婚

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The only known Sehuencas Water Frog (Telmatobius yuracare), a single male named “Romeo”, in his aquarium at Centro K’ayra. Photo: Sophia Barrón Lavayen

南米ボリビアで毎年開催されるオルーロカーニバル。ボリビアの先住民族であるケチュア族やアイマラ族がもっていたパチャママ(地母神)信仰がキリスト教の聖母マリア信仰と結びつき創造の母に捧げるものとして始まったと言われるこのお祭りでは、カエルのかぶりもので踊る人がいることは話に聞いていました。そしてボリビアとペルーにまたがるように位置するチチカカ湖には大きなミズガエルが生息していて、水と豊穣のシンボルになっているという話も耳にしたことがあります。

明らかにカエルと深いつながりをもっていそうなボリビアで、最近、ロミオと名付けられたミズガエル(写真)が注目されました。

2008年の「国際カエル年」のときに中心的役割を果たしたAmphibian Ark(両生類の箱舟)が季刊発行しているWebマガジンNewsletter Number44によると、ボリビアのアルシド ドルビニ(Alcide d'Orbigny)自然史博物館は、2008年からボリビアのコチャバンバに生息するTelmatobiusというミズガエルの野外調査や繁殖実験を行っています。

そのプロジェクトのために立ち上げられたのがCentro K'ayra(カイラセンター)。カイラ(日本語のカエルにも似ているような気がしますが)とは、まさにオルーロカーニバルの起源につながるケチュア族やアイマラ族のアンディーン文化において、アンディーン山の川や湖に棲むカエルのこと。特にTelmatobius属を指すこともあります。

同プロジェクトでは、チチカカミズガエル(Telmatobius culeus),ジャイアントミズガエル(Telmatobius gigas),マーブルミズガエル(Telmatobius mamoratus)の3種から始め、その後施設を拡大してTelmatobius hintoni,Telmatobius simonsi,そしてセイウェンカズミズガエル(Telmatobius yuracare)の3種を増やして保全活動を行っています。

ロミオは、その中のセイウェンカズミズガエルのオスで、10年前に発見された同種最後の個体としてカイラセンターで飼育されていました。

2018年にこのロミオが「世界一孤独なカエル」として注目され、花嫁のジュリエットを見つけてあげようと、恋愛・結婚のマッチングサイト大手が寄付を呼びかけるなどの動きが起こりました。その結果集まった資金でカイラセンターとグローバル・ワイルドライフ・コンサベーションが探索調査に乗り出し、ついにジュリエットを見つけた感動的な話題が昨年2019年の初めにCNNやナショナルジオグラフィックなどでも報道されました。

ボリビアの森の中でセイウェンカズミズガエルのメス2匹とオス3匹が発見され、そのうちのメス1匹がジュリエットと名付けられました。

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Teresa Camacho-Badani, manager of the Centro K’ayra, at Lake Titicaca. Photo: Patricia Mendoza

この調査の中心的存在がカイラセンターのマネージャー、テレサ・カマ―チョ・バダニさん。ボリビアで生まれ育った彼女は、父親の影響もあり子どもの頃からコチャバンバの山々やアマゾンに出かけそこに生息する生きものたちとふれあってきたそうです。両生類の研究者としてボリビアの雲霧林の両生類の生息状況を調査するなかで、セイウェンカズミズガエルのロミオと出会いました。

協力:Amphibian Ark https://www.amphibianark.org/

<関連サイト>

「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com

「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u

「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru

※現在、「コトバデフリカエル」では「カエル白書」Vol.3を配信中です。

カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.htm

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