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北村西望作品《カエルと木の葉》に平和の大切さを考える

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北村西望作《カエルと木の葉》大正中期~昭和初期 石膏着色(井の頭自然文化園蔵)

8月9日の今日は今年も長崎市の平和公園で平和祈念式典が開催されました。その式典の様子はテレビで報道されましたが、今年も長崎県出身の彫刻家、北村西望による高さ10メートル近くある長崎平和祈念像が式典を見守るように映し出されました。

北村西望(きたむらせいぼう)は、このブログで7月10日に紹介させていただいたように、画家の奥村土牛とは生年・没年が3年から5年の違いで、どちらも明治から昭和の終わり頃まで100歳を超える長寿の芸術家人生を歩みました。

今回紹介している画像は、北村西望作《カエルと木の葉》(大正中期~昭和初期 石膏着色)で、所蔵先の井の頭自然文化園のご協力を得て掲載いたしております。

一方でその名前のように人生を牛の歩みになぞらえた土牛と、もう一方の西望が自らの人生の師に見立てたのは蝸牛(=カタツムリ)。長崎県島原市の玉宝寺の聖観音像の台座には「たゆまざる 歩み恐ろし カタツムリ」という西望百歳のときに書いた座右の銘があります(前坂俊之オフィシャルサイトより)。

平和を願う強いエネルギーで巨大な平和祈念像を完成させたこの彫刻家が、小さくて歩みののろいカタツムリに自らの生きざまを重ねていたことを知り、《カエルと木の葉》にも同様にカエルという小動物へのあたたかなまなざしを感じました。

この作品がつくられたとされる大正中期から昭和初期にかけて、北村西望は彫刻家として着実な評価を得て大正10年には母校の東京美術学校の教授に就任するなど教育者としての立場にもあるなかで、日本の美術界が西洋から導入した彫刻の普及活動に力を入れている時代でした。当時、そのために作られ、白木屋(東急百貨店)と三越で販売されたのが、この作品のように日本人が江戸時代から慣れ親しんだ小動物の造形も含めた置物でした。

井の頭自然文化園彫刻園学芸員の土方浦歌さんに伺うと「この作品は《平和祈念像》のように、広場で遠くから誰でも眺められる記念碑とは違い、個人の家の床の間や飾り棚に置いて鑑賞する、上から見た視覚イメージで制作されています」と解説してくださいました。

北村西望が制作した大きな《平和祈念像》と小さな生きものを表現した《カエルと木の葉》に、8月9日の今日、改めて彫刻家が伝えようとした平和の意味を考えたいと思いました。

<関連サイト>

「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com

「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u

「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru

※現在、「コトバデフリカエル」では「カエル白書」Vol.3を配信中です。

カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.htm

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