夏休みのカエル講座2 カエルの後ろ姿
子どもたち向けの講座で「かえるのうしろすがた」として紹介したことのある3つのカエルグッズ。生産国は左から日本、アメリカ、中国です。両生類は、しっぽのある有尾目(イモリとサンショウウオ)、あしのない無足目(アシナシイモリ)、そしてしっぽのない無尾目のカエルに分かれます。グッズのカエルたちにもしっぽがありません。
一方、私たち人類は、哺乳類のなかで霊長目ヒト科ヒト属に分類されますが、同じくしっぽがありません。それは哺乳類の動物のなかでも少数派のようで、必要がないから退化したと考えられていますが、カエルと人間の大きな共通点ともいえます。さらにカエルはうしろ肢(あし)がまえ肢(あし)よりも大きいので立った姿は、目の位置をちょっとずらせばまさに人間。鳥獣戯画の昔から擬人化に適した生きものと考えられてきたのでしょう。
なぜカエルにはしっぽがないのでしょうか。その理由をいろいろ想像するだけで物語が生まれそうです。民話には動物のからだの特徴の理由を伝える「由来譚」にくくられる話があり、日本の民話でカエルにしっぽがないのは、一緒に食べものを蓄えて冬眠していたヘビに食べられてしまったからという話も。どうもカエルはヘビが眠っている間に食糧を食べてしまい、その報いを受けたようです。カエルが主人公の絵本などでは悪役として登場することも多いヘビですが、ヘビにはヘビの言い分があったのでしょうか。
ところで、自然界でカエルはオタマジャクシという名の子どもの時期にはしっぽがあります。そのしっぽが大人になってカエルに変態するとどうしてなくなってしまうのかを研究している科学者の方々もいます。新潟大学の井筒ゆみさん(理学部・教授)の研究グループが2009年に発表した論文によるとオタマジャクシの尾はカエルに変態するときに免疫から拒絶されてなくなることがその原因遺伝子の発見によりわかったそうです。この発見は当時、両生類の研究史上100年ぶりの新説として高く評価されました。詳しくは、新潟大学のサイト https://www.niigata-u.ac.jp/information/2009/11833/
をご覧ください。
カエルは文学的にも自然科学的にも興味の尽きない存在だと感じています。
<関連サイト>
「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com
「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u
「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru
※現在、「コトバデフリカエル」では「カエル白書」Vol.3を配信中です。
カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.htm
井筒研究室 https://www.sc.niigata-u.ac.jp/biologyindex/izutsu/welcome.html
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