100年カエル館コレクション13 カエルグッズに見るオーストラリアのカエル事情
100年カエル館にやってきたオーストラリアのカエルグッズたち。手前の2匹のカエルは左がイエアメガエルで右がオオヒキガエルと思われるフィギュアです。
アマガエル科のイエアメガエルはその名が示すようにまさに「おうちにかえる」のが好きらしく、拙著『ときめくカエル図鑑』にも紹介いたしておりますがオーストラリアの民家の水回り、トイレに住みつく場合もあるようです。さらに顔の表情もそのままキャラクターになりそうな親しみやすさがあり、現地ではペットにする人も多い人気者。
もう一方のオオヒキガエルは、20世紀後半からオーストラリアで大繁殖し問題になっている外来種のカエルです。元々は中南米に分布していたカエルですが、農地の害虫駆除のために世界各地に導入されました。しかし結局、ジャンプ力のない本種はトウモロコシの害虫がいる高さまで届かず駆除には役に立たたない上に、その繁殖力、在来種も捕食する食欲のためにすっかり迷惑者になってしまったという経緯の持ち主です。
その旺盛な食欲は、カエルは生きて動くものしか口にしないという“常識”さえ破り、生ゴミ置き場の野菜の残骸や犬から横取りしたドッグフードまで匂いを嗅ぎ分け食べるのだとか。その様子は、オーストラリアのマーク・ルイス監督によるドキュメント映画「CANE TOAD THE CONQUEST(邦題「そのカエル最凶につき」)」で、人間が導入したカエルで人間が振り回されるコミカルかつシニカルな作品に観ることができます。http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/vikki/2010/11/post-057b.html
映画では、オオヒキガエルが民家の門燈の下で光に集まってくる昆虫を食べるシーンが撮影されています。そしてオオヒキガエルは日本にも移入されていて、小笠原諸島や石垣島にも生息していますが、今年4月にイギリスの学術誌 Scientific Reportsに掲載された、東京農工大学の小峰浩隆特任教授、オーストラリアのJames Cook Universityのシュワルツコフ教授らの国際共同研究グループが行った調査結果をまとめた論文によりますと、「街灯や人家などに使われる人工的な光(人工光)は外来種のカエル(オオヒキガエル)が捕食する量を劇的に増やす」そうです。
さらに人工光によるオオヒキガエルの捕食量の増加は、月の満ち欠けや地域ごとの明るさに影響されるようで、満月よりも新月の暗い時期、そして郊外などの比較的暗い地域の方が人工光が大きく作用し、オオヒキガエルの食欲が刺激されるのでしょうか、捕食量が増すようです。このような、光害による生態系への影響と外来種による生態系への影響の関連性への調査研究は、今、始まったばかりだそうです。
<関連サイト>
「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com
「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u
「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru
※現在、「コトバデフリカエル」では「カエル白書」Vol.3を配信中です。
カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.htm
| 固定リンク
「100年カエル館コレクション」カテゴリの記事
- 生態や文化がさりげなく反映されているぬいぐるみのカエル(2023.12.06)
- 十和田の蔦温泉のカエルの灰皿/100年カエル館展示より(2023.10.31)
- イギリスの雨の日に出会えそうなカエル/100年カエル館展示より(2023.10.27)
- 陶製のアート作品の鳴のうを膨らますカエル/100年カエル館展示より(2023.10.25)
- イタリアのネイチャー系のカエル/100年カエル館展示より(2023.10.24)
最近のコメント