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100年カエル館コレクション8 小野道風と柳に跳びつくカエル

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  カエルグッズにはひとつのカテゴリーに「小野道風と柳に跳びつく蛙」があります。ご覧いただいている100年カエル館のコレクションは、後列の「小野道風」が中野土人形(長野県中野市の郷土玩具)で画像では見えていないのですが足元に緑色のカエルがいます。その前列にいる「小野道風」は京人形。その左手の絵皿は江戸後期の伊万里焼です。手前には花札の絵柄になった「小野道風と柳に跳びつく蛙」の土鈴とポストカードを展示しました。それ以外は、花器や蚊取り線香入れなど土物の「柳に跳びつく蛙」、そして平安中期の能書家、小野道風に因んで金属製の水滴や文鎮に「柳に跳びつく蛙」が浮き彫りされたものが多く見られ、筆を持つカエルも道風をイメージさせます。

 平安時代の三蹟の一人、小野道風は愛知県春日井市に生まれたといわれ、書が上達しない焦りを感じていたある雨の日、柳に何度も跳びついてやっと跳び移ることができた蛙を見て自らの努力の足りなさを思い知ったという逸話はよく知られています。この逸話が史実かどうかはわからないようですが、広まったきっかけも時代は下って江戸中期、浄瑠璃「小野道風青柳硯」の舞台だと見られています。花札に「小野道風」が登場したのも明治以降、また、戦前の日本の国定教科書に掲載されたことなどで広く知れ渡るようになったと考えられています。

 カエルグッズにおけるいわば「小野道風と柳に跳びつく蛙」ものも、江戸時代の郷土玩具や伝統工芸などから始まったと想像できます。そして今もカエルをテーマにものづくりをしようとするとき、ひとつのテーマになっていると捉えていいのではないでしょうか。今世紀に入ってからは小野道風の出身地とされる春日井市では「春日井カエルまつり」を開催するようになり、今年で8回目。今年は4月18日(土)を予定してるそうですが、3月現在、実施できるかどうかは4月に入ってからの決定になるようです。

春日井カエルまつり

 平安時代の書家、小野道風は、カエルとともに時を経ても忘れ去られない偉人のひとりといえるでしょう。

(写真)「喜多方100年カエル館コレクション」展(2011年福島県立博物館にて)展示より

 

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