アボリジニの人々に伝わるカエルのお話「ティダリック」
先月、テレビ番組「世界ふしぎ発見」(2019年5月18日放送)を見ていてカエルを〝発見〟しました。「ウルル・エアーズロック 太古の暗号が語る聖地の秘密」というテーマで、オーストラリアのアボリジニの人々の現在の暮らしの様子が紹介されていました。同番組では以前もアボリジニについて取材し、そのときアボリジニの人々が乾燥した土地での暮らしの中で水分を補給するために用いる動物としてミズタメガエルに注目していました。このカエルはそのきびしい生活環境の中で、体の中に水を貯め込むことができ、さらに人々はこのカエルから水分を摂取するのだそうです。
ミズタメガエルのことを知って思い出したのが、アボリジニに伝わる「ティダリック」というカエルのお話。ここに紹介した絵本は、絵本作家加藤チャコさんによる再話『おおきなカエル ティダリックーオーストラリア アボリジニ・ガナイ族のお話』(福音館書店「こどものとも」)です。表紙の絵には土鈴のカエルのようにお腹を膨らましたカエル、ティダリックが描かれています。お話によるとティダリックは昔々、大地の水という水を飲みほしてこんなお腹になったようです。さあて、困ったのは他の動物だち。一滴たりとも水が飲めなくなってのどがカラカラ。
何とかティダリックから水を取り戻すためにティダリックを笑わせる作戦を考えます。ところが、それが難しく・・・・・・。でも、何かを奪還する作戦に笑いを活用するというところにアボリジニの人々のユーモアを感じました。そして「世界ふしぎ発見」でミズタメガエルの存在を知り、このカエルがティダリックのモデルだったのかと納得。アボリジニの人々がミズタメガエルから水分を摂りながらこの物語を考えたのかもしれないと想像するととても愉快になりました。
※オーストラリアではティダリックグッズ(写真右奥)も販売されていて広く知られた物語であることがわかります。(100年カエル館コレクションより)
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