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2019年5月

京都で出会ったエミリ・ディキンスンのカエル

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今年もこの季節に訪ねた京都で、カエルと出会いました。カエルと言っても新緑が美しい京都の寺院の庭園や郊外の里山に生息する蛙でも、骨董品や伝統工芸のカエルでもありません。

香老舗松栄堂が昨年オープンした薫習館の松吟ロビーで開催されている「エミリ・ディキンスンの世界展」にそのカエルはいました(写真)。エミリ・ディキンスンは19世紀のアメリカの詩人です。今年2019年は、京都とボストンの姉妹都市締結60周年ということで、ボストンからそれほど遠くないアメリカ東部アマストで生まれ、たくさんの詩を遺したこの詩人を紹介する展示が行われていました。(6月3日まで開催中です)

エミリ・ディキンスンは、その生涯を描いた映画「静かなる情熱」が2016年に制作され(主演は大人気になったアメリカドラマ「SATC」でミランダ役を演じたシンシア・ニクソン)高く評価されたこともあり、生前はほとんど知られていなかったディキンスンの作品や人物に再び注目が集まっています。

カエルの絵柄のタグはアメリカで販売されている関連グッズの展示のコーナーにありました。「I'm nobody! Who are you?」という詩のタイトルとともに。その詩には「6月に沼に向かって鳴いている蛙」が出てきます。そういえば日本でも6月は田んぼや里山の水辺で蛙の鳴き声が聞こえる季節。ディキンスンがその声をどんなふうに感じていたか、このカエルをきっかけにもっと考えてみたいと思いました。

 

 

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足立が「蛙多地」だった頃にもトリップできるかもしれない

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「東京お寺めぐり通信」(100年カエル館HPトップ面からもご覧いただけます)の取材で、東京・足立区の寺町を歩いていて出合った法受寺の門の前に設置されていた石の「ムカエル」。

足立区では私たちも梅島にある善立寺に「100年カエル館東京ギャラリー」を設置させていただき、年に2回、カエ~ル大学講座を行っております。近くにはカエルをシンボルマークにした商店街も。竹ノ塚には「やせ蛙負けるな一茶是にあり」の俳句でも知られる小林一茶と縁のある炎天寺があり、境内にはカエルの置物も見られ、秋の「一茶まつり」のときは「蛙相撲」(蛙のかぶり物をつけた人同士の相撲)も行われます。竹ノ塚は歩いているとカエルの絵柄のタイルも発見できます。

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今回、「東京お寺めぐり通信」で足立区をめぐるで、この地の千住は古くから西と東を結ぶ基点で江戸時代は千住宿として繁栄していたが、その他の地域は江戸時代においても主に田園地帯で、一茶が一時期住んでいたこの地にもきっとカエルがたくさん棲んでいたにちがいないと想像できます。カエルの博士で知られた岩澤久彰先生は、1980年に掲載された「カエルの民俗学」(『採集と飼育』)に「昔は日本中、人のいるところにはどこにも、うっかりすると踏みつぶすくらいたくさんのカエルがいたらしい。東京の足立区の地名は蛙多地(あたち)に由来するという人もいる」と書いています。

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足立区の伊興(いこう)には、住宅街に古墳時代、古代祭祀などが行われていたことがわかる伊興遺跡(写真)が見られます。竪穴式住居がつくられていたこの辺りでも人々はカエルとともに日々の暮らしを営んでいたのでしょう。

「東京お寺めぐり通信」第4回足立区仏教会は間もなく発行いたします。下谷仏教会、本所仏教会、浅草仏教会に続き第4回目となり、毎回トップページでは、明治・大正・昭和を生きたカエル好きの小澤一蛙さんについて書いています。

 

 

 

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カエルとヘビとキジが出て来る絵本『かえるをのんだととさん』

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前回のブログでは、100年カエル館の庭の様子についても少しお伝えしましたが、時折、雉のツガイも姿を見せます。そして、庭の手入れで今最も力を入れていることは、樹々にヘビのように巻き付いた野生の藤蔓をはずしてやること。庭仕事をしながら、「カエルとヘビとキジ」でも三すくみになることがあるのだろうか、などと考えていたら、絵本『かえるをのんだととさん』(日野十成 再話 斎藤隆夫 絵 福音館書店こどものとも574号2004年刊行)を思い出しました。

腹痛を起こした「ととさん」が「かかさん」から「おしょうさま」に相談するようにいわれて、次から次へとのみこむことになってしまった生きものの、最初が「かえる」で、次が「へび」、その次が「きじ」。それに止まらない。表紙の絵からも想像していただけるように、ととさんはおしょうさんにいわれるまま、とんでもないものまでのむはめに……。ページを繰るごとに現れる辛そうなととさんと、まったく動じないかかさん、そして、鷹揚でトンチの効いたおしょうさまの3人で展開するコントのように楽しめる絵本。新潟県の昔話「まわりもちの運命」の再話だそうです。同じ作者コンビによる絵本に『かえるの平家ものがたり』(福音館書店2002年刊行)があります。

今年のカエ~ル大学第2回講座(7月13日、足立善立寺にて)でも「絵本の中のカエルたち」を「Part2 民俗を反映したカエルの絵本を中心に」という内容で、昨年の「自然を反映したカエルの絵本を中心に」の内容と別の角度からカエルの絵本を紹介したいと思っています。

 

 

  

 

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100年カエル館2019年のGW開館が終了しました。

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100年カエル館のGW開館は、3キロ続く日中線跡のしだれ桜のトンネルが人気の「喜多方さくらまつり」に合わせて始まりました。開館期間中の同館の庭ではソメイヨシノや八重桜、カイドウなどを楽しむことができました。キジのついがいも棲んでいます。

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お客様のなかには「花より蛙」の方もいて、「平成最後に」「令和の最初に」と足を運んでくださいました。ご来館ありがとうございました。

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今年は『みどりの風』(セブン‐イレブン記念財団発行)に、「カエルに見るもうひとつのジャポニスム」というエッセイを書かせていただきました。同館館内にも「ジャポニスムとカエル」というテーマのコーナーを設けました。和室では、昨年に引き続き、カエルを研究した岩澤久彰博士のコレクションを紹介しています。

 

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