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2018年5月

■世界でカエルを含む両生類の保全に取り組む人たち

100年カエル館は、2008年に行われた「国際カエル年」の両生類救済キャンペーンや、2010年の「アンフィビアンアーク選定会議」をきっかけに、アンフィビアンアークの広報官であるケヴィン・ジョンソンさんや広島市安佐動物公園在職中にアンフィビアンアークの日本での活動に尽力され、現在、オオサンショウウオの会会長を務められている桑原一司さんに両生類の保全活動に関することでご協力をいただいています。

日本にも世界にも、カエルを含む両生類の保全活動に積極的に取り組んでいる方々がいますが、アンフィビアンアーク(Amphibian-Ark、両生類の箱舟)ではそのサイト内で季刊発行しているニュースレターの中で、そういった方々を「Amphibian Advocates (両生類の貢献者たち)」として紹介しています。カエル好きにとって、カエルに興味のある人たちが世界中で活躍していると知ることはとても元気が湧くことです。

アンフィビアンアーク・ニュースレターNO.41の「両生類の貢献者たち」では、ホンジュラスで両生類の絶滅危惧種の保全活動をしながら野外の両生類の個体数を調べ、カエルツボカビ病の調査を行っているホンジュラス両生類保全センターのジョナサン・コルビー氏が、どのようにカエルと出会い、現在、どんな活動をしているかについて書いています。

ジョナサン・コルビー(ホンジュラス両生類保全センター)

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思い返せば私はずっと爬虫類や両生類に夢中だったと思います。幼い頃の記憶では、米国ニュージャージーの森林や水辺をよく歩き回り、顔を泥だらけにしてはポケットにペットのカエルを入れて家に帰ってきたものでした。でも、その私が20年後に両生類の病気の調査をするために世界中をかけ巡り、カエルたちを絶滅から救うためにホンジュラスにカエルの保全センターを建設するようになるとは想像もしませんでした。

私が両生爬虫類の保全に初めてかかわったのは1997年で、コンサベーションエージェンシー(The Conservation Agency)が香港や中国本土で実施する爬虫類や両生類の多様性の調査にボランティアとして加わりました。ひと月ほど川や溪谷に分け入り、小さな無人島を探索し、アオハブを初めて捕獲したりするなかで、フィールドワークが自分の性に合うことがわかりました。この旅を通じてコンサベーションエージェンシーの社長のスキップ・ラゼル(Skip Lazell)博士と親しくなり、間もなく彼は私の師になりました。彼は私が本を書くときに力を貸してくれ、香港やケニヤ、ニューカレドニア、そして米国ヴァージン諸島への調査の旅に何度も誘ってくれました。

2006年に、私はOperation Wallacea(欧米の大学からなる環境保全の調査機関)に同行してホンジュラスで調査するチームに参加する機会に恵まれ、ホンジュラス北部のクスコ国立公園(Cusuco National Park)の爬虫類や両生類の多様性と不法な森林伐採や密猟による減少の状況を報告書にまとめました。私たちはこの地域で活動する両生爬虫類学者と小さなチームを組み、6週間ほどでこの雲霧林全体を調査し、この地域ではまだ報告されていなかった約30種の両生爬虫類を発見することができました。

2007年になって再びクスコに行く準備をしていたときに、ホンジュラスのカエルが何らかの理由で消滅しレッドリストに掲載されていることを知りました。2週間後には、アメリカのフィッシュ&ワイルドライフサービス(the US Fish and Wildlife Service アメリカ合衆国魚類野生生物局)が行っている両生類の病気に関する研修会に参加し、その指導者の一人、ケイティ・リチャーズハードリカ(Katy Richards-Hrdlicka)はカエルツボカビ病にかかっているカエルやオタマジャクシのサンプルの取り方を教えてくれました。それ以前は、私は両生類の減少やツボカビによる両生類の世界的な危機についてほとんど知りませんでしたが、この研修会に参加してから、ホンジュラスにおける保全やその警鐘に関する出版やカエルツボカビがカエルの絶滅や減少にかかわっているかどうかの研究に専念していく決心をしました。 

この研修会の後、ケイティはツボカビ全般に関する私の指導者になってくれて、野外活動をするときのマニュアルづくりに協力してくれました。ナショナルジオグラフィックによる若手研究者のための調査活動への支援金を獲得できたときは信じられないほどうれしく、同時にいくつかの機関からも支援を受けられることになり、私の調査のアイデアが実現するはずみがつきました。2007年に、私はクスコに戻り、ツボカビが見つかる可能性のあるすべての両生類のサンプルを採取しました。そして、この雲霧林にいるカエルにはツボカビ病の危険性があり、これまで原因不明の急激な個体数減少が報告されていた絶滅危惧種は高い確率でこの病気に感染していることを発見し、この病気から守らなければならないと警告しました。私は自分の調査について広く知らしめる時期に来ていると思い、カエルたちがツボカビでいつの間にか姿を消すことのないようあらゆることをしようと決心しました。Amphibian Ark(アンフィビアン・アーク)の協力でアメリカ、オマハのヘンリー・ドゥーリ―動物園水族館のジェシー・クレブス(Jessi Krebs)を紹介してもらいました。ジェシーは私の保全計画の進展に関心を示してくれ、彼の協力を得て、ホンジュラス両生類保全センター(the Honduras Amphibian Rescue and Conservation CenterHARCCが、思いがけないほど早く実現することになりました。

そして私は飼育下繁殖による保全の実施要領を作成するため、野外の両生類の個体がツボカビ病に感染する長期的な様子を研究し、その環境状況を把握しようとクスコに滞在し続けました。追加した5年の野外データをもとに、近い将来ほとんど消滅すると見られている3種の絶滅危惧種に対するHARCCカエル救済措置を実施しました。その3種とは、the Cusuco Spike-thumb Frog( Plectrohyla dasypus クスコトゲユビガエル直訳仮和名)Exquisite Spike-thumb FrogPlectrohyla exquisite ウツクシトゲユビガエル直訳仮和名)、そしてMossy Red-eyed Frog(Duellmanohyla soralia コケアカメガエル直訳仮和名)です。ヘンリー・ドゥリー動物園水族館のジェシー・クレブスとブランドン・グリーブス(Brandon Greaves)と協議しながら、HARCCの救済戦略を立ち上げました。それは、ツボカビにかかっている子供のカエルを収容し、ツボカビを取り除いて育成してクスコの野生群に戻し、繁殖個体群を補強することにより繁殖を有利に導くことと、それに並行して、突然の野生個体群の壊滅に備えて飼育下繁殖個体群を確立することです。2013年に私はホンジュラスのテラ(Tela)にあるランセティラ植物園(Lancetilla Botanical Garden)の研究所との協力により、植物園内にHARCCの本部を立ち上げる許可を得ました。2014年にはこれからカエルの保全実験室として使われる2つの大型コンテナが届き、HARCCが動き出しました。ヘンリー・ドゥーリ―動物園、アメリカのフェニックス動物園、そしてアメリカのアトランタ植物園の高い技術をもった研究者たちと巡った何度かのカエルの保護収集の旅を経て、いまHARCCの準備が整ったことを心からうれしく思います。

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Exquisite Spike-thumb FrogPlectrohyla exquisite ウツクシトゲユビガエル直訳仮和名)

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Mossy Red-eyed Frog(Duellmanohyla soralia コケアカメガエル直訳仮和名)

すべてが動き出せばHARCCは3種のカエルの消滅を防ぎ、ホンジュラス大学の学生たちに保全の実地体験の機会を与え、ラテンアメリカ全土や世界規模でも他の両生類の保全プログラムを支援する枠組みとしてひとつのモデルをつくることができるでしょう。すぐれた保全の試みはどれも計画の改善や施設の収容能力を高めることにつながり、HARCCが今後両生類の保全のために新しい方法論を発見・発展させることに立ち会えると思うことはこの上ない喜びです。

自然保護のために働くことはとても達成感があり挑戦的な仕事です。これから私は自分の時間を使って多くの人が自然を守ることに興味をもってくれるような仕事をしたいと思っています。カエルツボカビ症の世界的広がりの研究で博士課程をとっていたとき、自分の研究、つまりなぜ私がツボカビの研究をするのか、またなぜカエルたちは保護の手を差し伸べられなければならないのかといったことに、専門家の世界を超えてもっと一般に広く知らしめるために、ソーシャルメディアを活用することも大切ではないかと考えるようになりました。HARCCについての情報を広めるためにユーチューブを更新し、カエルの救済についてサイトを立ち上げ、フェイスブックやインスタグラム、ツイッターなどを始めました。2016年にはロンドン出身のサイエンスビデオ作家、ケイティ・ガレットと仕事をするようになり、ナショナルジオグラフィックで紹介するHARCCのビデオを制作しました。HARCCの活動について、一般の目線での興味や関わり方があることを強く意識するようになり、それは私に勇気とひらめきを与え続けてくれています。

最近、私は世界的に広がるカエルツボカビ症を研究してオーストラリアのジェームズクック大学の博士号を取得しました。この研究を進めているときに、私はマダガスカルでも最初のカエルツボカビを発見し、すでに熱帯雨林の中に広がっていること、野生動物の国際的商取引によって拡散が進行していることを明らかにしました。現在、私はCITES(the Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Founa and Flora ワシントン条約)の専門家としてアメリカのフィッシュ&ワイルドライフサービスでも働いています。ここでの仕事は、地球規模の動植物の売買が種の絶滅を引き起こすことのないようにすることです。

生物多様性を棲息地の破壊や病気、環境汚染、気候変動から守るためにするべきことが多すぎて、時間が足りません。これからの数年で世代は大きく変わり、生物多様性や地球の自然を守るためのとても重要な時期に来ていると、この仕事のやりがいを感じています。将来的には野生生物の商取引を通じてツボカビやその他の病原体が広がらないようにし、地球の自然が保たれるように、これまで培ってきた科学技術を国際的なしくみに発展させるべく取り組んでいきたいと思っています。

(翻訳 高山ビッキ 監修 桑原一司)

※原文はhttp://www.amphibianark.org のAArk NEWSLETTER Number41をご覧下さい。

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2018100年カエル館開館日>

●喜多方のしだれ桜とゴールデンウィーク開館/4月29日(日)~56日(日)※先着50名様に「100年カエル館おもちゃ絵シリーズ」ポストカードを差し上げます。

●お盆休み開館/812日(日)~819日(日) 

●喜多方「蔵の町アート・ぶらり~」開館/105日(金)~1014日(日)

812日から1014日までの開館日には特別展「岩澤久彰コレクション展」を開催します。

2018年のカエ~ル大学講座日程>

●第1回 4月21日(土) 善立寺ホール(東京・足立区)

テーマ:明治150年とジャポニスム、そしてカエル/カエル文化の流れが大きく変わった150年前について

●第2回 8月18日(土) 100年カエル館(福島・喜多方市)

テーマ:カエル博士故岩澤久彰コレクションから見えること/今年の100年カエル館の特別展「岩澤久彰コレクション展」のギャラリートークとして

●第3回 1013日(土) 100年カエル館(福島・喜多方市)

テーマ:会津のカエルスポット/戊辰150年の会津で巡るカエルスポット案内          

●第4回 1117日(土) 善立寺ホール(東京・足立区)

テーマ:絵本の中に棲息するカエルたち/日本や世界の絵本に見られるカエルたちを紹介します

<100年カエル館&カエ~ル大学情報>

※現在、カエ~ル大学は2018年の会員(学生)を募集しておりますので、ご希望の方は100年カエル館サイトからお申し込みください。

※カエ~ル大学講座は会員(学生)の方でなくても各講座500円で聴講いただけます。

場所 : 100年カエル館

      〒966-0096福島県喜多方市字押切南2-6

      (旧桐工芸館裏、自動車用品ショップコクピット121隣)

開館時間 : 午後1時~午後4時

入館料  : 大人 500円 小中高生 100円

お問い合わせ 048-838-7360(ケーアンドケー内)

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<関連サイト>

「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com

※Webミュージアムでは2011年に福島県立博物館で開催した「喜多方『100年カエル館』コレクション展」を画像でご覧いただいております。

「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u

「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru ※エッ

セイで時代をふりかえるサイトです。

カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html 

※『かえるる カエルLOVE111』(山と渓谷社)全国の書店等で販売中です。

Cover_obiariweb

※新刊『ときめくカエル図鑑』(山と渓谷社刊 文・高山ビッキ 写真・松橋利光)販売中です。どうぞよろしくお願いします。

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