■喜多方のカエルスポットシリーズその1/100年カエル館の近くにある喜多方「蔵の里」の荻野石のカエル
100年カエル館から300mほどのところに「喜多方 蔵の里」という、蔵の町喜多方の由緒ある古民家を10棟ほどまとめて見ることのできる建物園があります。ここでは、江戸時代から物資の集散地、若松城下と米沢(山形県)を結ぶ街道のまち、そして蔵を活用した商家の多いまちとして栄えた喜多方の雰囲気を充分に味わえます。
展示されている建物の中では、喜多方の歴史や文化が学べる展示コーナーもあり、「旧東海林家酒造蔵」の2階に設置された「喜多方地方郷土資料展示」で見つけたのがこの荻野石のカエル(画像)。石のカエルといえば100年カエル館では栃木県の大谷石のカエルをいくつか収蔵していますが、これはそれとは似て非なるうっすら緑色をした、喜多方の荻野で採掘された緑色凝灰岩(りょくしょくぎょうかいがん)のカエルです。
この荻野石のカエルは、展示の写真によれば、昭和60年頃、荻野の丸正石材工場の石工、吉田松次郎氏が製作したものと思われます。荻野は喜多方の高郷村にありますが、「わたしたちの郷土 高郷村」(ⓒ福島県耶麻郡高郷村教育委員会のサイト)によると、現・丸正石材株式会社の創業者、佐藤正治氏(明治22年―昭和42年)は新潟からこの地に移り、荻野に緑色をした石があることを知ってその採掘事業を始めました。それは折しも起こった建築ブームに乗り、石工や職人たちも集まってきて荻野を盛り上げたようでした。明治以降、荻野にいわばゴールドラッシュならぬグリーンラッシュともいえる現象があったのかもしれません。
展示(画像)にも「グリーンタフ」という文字が見えますが、荻野石も含む緑色の凝灰石のことをグリーンタフ(green tuff) と呼ぶそうです。デジタル大辞泉などの解説によると、「日本ではおもに東北日本の脊梁(せきりょう)から西の新第三系の、特に中新統に含まれる海底堆積の火山灰(緑色のものが多いがそれに限らない)」。まさに喜多方はそのホットスポットだったのでしょうか。展示の画像の右手に荻野で採掘された化石が紹介されています。この辺りが大昔海の底だったことをこの緑色のカエルがおしえてくれているようでした。私も子どもの頃荻野に化石採りに行ったことを思い出しました。
※喜多方プラザ前の表示。ここから「喜多方蔵の里」まで100m、カエル館(100年カエル館)まで400mです。10月6日(金)~15日(日)の「蔵のまち アートぶらり~」には「喜多方蔵の里」も「100年カエル館」も参加しています。ぜひ足をお運びください。次回、喜多方のカエルスポットシリーズその2は「北宮諏訪神社」の灯籠のカエルを紹介する予定です。お楽しみに。
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100年カエル館2017年の10 月以降の開館スケジュールは以下の通りです。
■10月6日(金)~9日(月・祝)/10月11日(水)~18日(水)/10月28日(土)~29日(日)/10月31日(火)~11月5日(日)
※10月末から11月初めは100年カエル館の庭の紅葉がとてもきれいです。紅葉とカエル・コレクションを観にいらっしゃいませんか。
<100年カエル館情報>
場所 : 100年カエル館
〒966-0096福島県喜多方市字押切南2-6
(旧桐工芸館裏、自動車用品ショップコクピット121隣)
開館時間 : 午後1時~午後4時
入館料 : 大人 500円 小中高生 100円
お問い合わせ 048-838-7360(ケーアンドケー内)
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<関連サイト>
「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com
※Webミュージアムでは2011年に福島県立博物館で開催した「喜多方『100年カエル館』コレクション展」を画像でご覧いただいております。
「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u
「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru ※エッ
セイで時代をふりかえるサイトです。
カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html
※『かえるる カエルLOVE111』(山と渓谷社)全国の書店等で販売中です。
※新刊『ときめくカエル図鑑』(山と渓谷社刊 文・高山ビッキ 写真・松橋利光)販売中です。どうぞよろしくお願いします。
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