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■佐野美術館(静岡県三島市)の「虫尽くし展」に集まった蛙たち

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《秋草虫尽小サ刀拵 銘 明治元暦戊辰春待月/柳蛙子一則造之》(部分)明治元年(1868)

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《秋草虫尽小サ刀拵 銘 明治元暦戊辰春待月/柳蛙子一則造之》明治元年(1868)

カエルが両生類であるという認識が日本で一般的になったのはいつ頃からでしょう。たぶん明治以降のことではないかと思います。学問的には欧米の「分類学」が日本に入ってきて、さまざまな植物や動物を識別し記録する方法が浸透し、それを誰もが学校教育で学ぶようになって今やカエルが両生類であることを疑う人はほとんどいないでしょう。

しかし、漢字では虫偏のカエル。江戸時代までは虫のなかまとくくられていたのではないかと考えると、江戸時代が終わって150年、大きく立ち位置が変わって驚いているのは「蛙」自身かもしれません。実際、江戸時代の浮世絵師、喜多川歌麿(1753?-1806)が絵を描いた虫類図譜『画本虫ゑらみ』(えほんむしえらみ/国会図書館蔵※展示は9/22まで)では、30種描かれた「虫」の1種として登場しています。

その『画本虫ゑらみ』も特別展示される「虫尽くし展」が、現在、佐野美術館(静岡県三島市)で開催されています。同展では、カエルが虫として生き生きと表現された作品にいろいろと出会えますのでカエル好きの皆さんにもぜひおすすめします。

たとえばこの四分一の総金具の拵(こしらえ)『秋草虫尽小サ刀拵』(画像)には、31匹の虫が浮き彫りされているなかに蛙が見られます。作者を表す銘には、「明治元暦戊辰春待月 柳蛙子一則造之」とあり、作者の府川一則(1824-1876)は、十返舎一九の弟子である五返舎半九の子で、12歳の時に葛飾北斎の弟子になり、北斎没後は一則と名乗って金工師になった人(佐野美術館広報担当者談)だそうです。カエルの虫から両生類への転換期か、明治元年の作ということに意味があるようにも感じられます。

その他、カエルモチーフの作品は、中国・明時代(16~17世紀)の絵師、趙麒の『蝦蟇仙人図』(根津美術館蔵※後期展示)から現代の作品で、日本の女流陶芸家の草分けで動植物のモチーフも多く手がけた辻輝子の万華鏡『蛙とまゆみ』や日本の創作折り紙を世界に知らしめた吉澤章の折り紙のカエルの数々、もしかするともっと潜んでいるかもしれない、と思うと落ち着かなくなりそうな展覧会です、ぜひ。

虫尽くし展

会期 : 2017年9月9日(土)~11月5日(日) 前期/9月9日(土)~10月4日(水) 後期/10月6日(金)~11月5日(日)

会場 : 佐野美術館 〒411-0838 静岡県三島市中田町1-43 

主催 : 佐野美術館、三島市、三島市教育委員会

■お問い合わせ TEL.055-975-7278 FAX.055-973-1790 http://www.sanobi.or.jp

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100年カエル館2017年の9月以降の開館スケジュールは以下の通りです。

■9月23日(土・祝)~24日(日)/9月26日(火)~30日(土)

2017年第3回カエ~ル大学講座 「美術館に棲息するカエルについて」

会場 : 100年カエル館  〒966-0096 福島県喜多方市字押切南2-6

日時 : 2017年9月23日(土・祝) 15:00~

お問い合わせ 048-838-7360

■10月7日(土)~9日(月・祝)/10月11日(水)~18日(水)/10月28日(土)~29日(日)/10月31日(火)~11月5日(日)

※10月末から11月初めは100年カエル館の庭の紅葉がとてもきれいです。紅葉とカエル・コレクションを観にいらっしゃいませんか。

<100年カエル館情報>

場所 : 100年カエル館

      〒966-0096福島県喜多方市字押切南2-6

      (旧桐工芸館裏、自動車用品ショップコクピット121隣)

開館時間 : 午後1時~午後4時

入館料  : 大人 500円 小中高生 100円

お問い合わせ 048-838-7360(ケーアンドケー内)

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<関連サイト>

「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com

※Webミュージアムでは2011年に福島県立博物館で開催した「喜多方『100年カエル館』コレクション展」を画像でご覧いただいております。

「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u

「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru ※エッ

セイで時代をふりかえるサイトです。

カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html 

※『かえるる カエルLOVE111』(山と渓谷社)全国の書店等で販売中です。

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※新刊『ときめくカエル図鑑』(山と渓谷社刊 文・高山ビッキ 写真・松橋利光)販売中です。どうぞよろしくお願いします。

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