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2015年12月

■カエルグッズストーリー2 九谷焼のカエルと松尾芭蕉

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久しぶりに清澄白河を散策しました。この辺りを「カエル」目的で歩くなら、都営地下鉄の森下駅で下車。「芭蕉記念館」に立ち寄り、館内に展示されている「芭蕉遺愛の石の蛙(伝)」(大正6年9月の台風の高潮の後、常盤一丁目から出土)を見て、「芭蕉庵跡」とされるその蛙石の出土跡に祀られた「芭蕉稲荷神社」(写真下)で手を合わせ、カエルと水文がデザインされた石畳が見られる萬年橋を渡って清澄白河に向かいます。

春になると池で蛙の産卵が観察できる清澄庭園も、蛙たちは冬眠中でしょうか。カエルがテーマのこの散歩道も行き交う人はほとんどいませんでした。でも、最近、清澄白河界隈は海外の人気コーヒーチェーンの出店や古い家屋を再利用したカフェなどが増え、カフェの街として賑わっています。清澄通りにある陶器雑貨のお店で、九谷焼の小皿を2点見つけました(写真上)。

九谷焼といえば金沢を含む加賀藩から興った焼物で知られます。今年は北陸新幹線が開通し、金沢へも行きやすくなりました。芭蕉は金沢にも立ち寄っていますが、歩いて旅をしたその時代を思えばかなりの隔世の感があります。清澄通りから海辺橋を渡ったところに、芭蕉がそこから「奥の細道」の旅に出発した採荼庵(門人杉山杉風の別荘)跡があり、今まさに旅立とうとしている姿の芭蕉(像)がいます。

門人の河合曾良を伴って東北を巡り、その後北陸に入った芭蕉。しかし、体調をこわした曾良は金沢の地で泣く泣く同行を断念しました。清澄白河から金沢へ。たまたま見つけた九谷焼の2枚の小皿は、緑色のカエルを芭蕉、赤いカエルを曾良と見立てることにしました。そういえば「芭蕉稲荷神社」の石碑の前にもカエルの置物が2つ並んでいます。

奥野良之助氏が著した本に『金沢城のヒキガエル』があります。この本では、奥野氏が金沢大学在職当時、元金沢城の中にあった金沢大学構内の池で1匹のヒキガエルと出会ったことからさまざまな調査を行い、ヒキガエルの世界と人間社会を比較し、社会生物学的な考察を展開しています。

3本足だったというそのヒキガエルは、二ホンヒキガエル(西日本中心に分布するヒキガエル)だったそうですが、日本のカエルの分布からいえばアズマヒキガエル(東日本中心に分布するヒキガエル)の勢力圏である金沢市では異例。なぜ紛れ込んだかは判明しなかったようですが、ここであえて、「カエル文化」的に妄想すれば、三足ということで金沢で別れた曾良を思いながら杖をついて出立した芭蕉の生まれ変わり(⁈)。または、九谷焼や加賀友禅など加賀藩の文化が西日本の文化圏とつながっていることから、自然界の勢力圏とはちがい、金沢城に住む加賀藩の「カエル文化」の継承者だったのかもしれません。

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※新刊『ときめくカエル図鑑』(山と渓谷社刊 文・高山ビッキ 写真・松橋利光)販売中です。どうぞよろしくお願いします。

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<関連サイト>

「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com

※Webミュージアムでは2011年に福島県立博物館で開催した「喜多方『100年カエル館』コレクション展」を画像でご覧いただいております。

「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u

「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru ※エッセイで時代をふりかえるサイトです。

カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html 

※『かえるる カエルLOVE111』(山と渓谷社)全国の書店等で販売中です。

 

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■スコットランドのカエルグッズとカエル

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カエルと鳥が対峙している様子のこの置物は、25年ほど前にイギリス北部の湖水地方を旅したときに見つけたスコットランドの工芸品です。湖水地方へは世界的に有名なカエルのキャラクター「ジェレミー・フィッシャーどん」(「ピーター・ラビット」シリーズに登場)のグッズを求めに、作者であるベアトリクス・ポターの記念館を訪ねました。

当時は、ジェレミー・フィッシャーに対してもカエルの擬人化ぶりに目を奪われて、そのモデルになった生きもののカエルの種類にまで考えが及ぶことはありませんでした。今、改めてその種類を特定してみようとすると、ヨーロッパアカガエル(英名Common Frog、学名Rana temporaria)が思い浮かびました。

ヨーロッパアカガエルは、英名に「Common(普通の)」とあるくらい、ヨーロッパではごく普通に見られ、スコットランドを含むUK(グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国)の在来種でもあります。この置物のカエルもヨーロッパアカガエルなのでしょうか。制作者が何のカエルをイメージして作り上げたのか知りたくなりました。

Webサイト「Froglife」によると、スコットランドに棲息しているカエルに、Common Frog(ヨーロッパアカガエル)、Common Toad(ヨーロッパヒキガエル)、Natterjack Toad(ナタ―ジャックヒキガエル)、Pool Frog(プールフロッグ)、African Clawed Frog(アフリカツメガエル)、American Bull Frog(アメリカウシガエル)、Fire-Bellied Toads(チョウセンスズガエル)、Green Frog(グリーンフロッグ)、Midwife Frog(サンバガエル)が挙げられています。

このうち、実験などによく使われることで知られるアフリカツメガエルや日本にも持ち込まれて繁殖しているアメリカウシガエル、後ろ肢が短くFrogと違ってジャンプが苦手なToad(ヒキガエル)は候補からはずしてもよいのではないでしょうか。

ヨーロッパアカガエルでなければプールフロッグかグリーンフロッグに絞り込めそうで、サイトに掲載されている画像を見ても、その3種のどれでもよさそうな気もしてきました。

Pool Frogは1995年に絶滅したとされたことがあるようです。しかし、English Pool FrogはUKでももともとあまり見られない珍しい種で、スウェーデンやノルウエーに棲息しているPool Frogとも別種ということがわかり、最近は東アングリア(現在のイングランドのノーフォーク州)の在来種として再導入されたそうです。

Green Frogという名称はいくつかの種をくくる呼び方のようで、これにはMarsh Frog(ワライガエル)、Edible Frog(ヨーロッパトノサマガエル)、そしてPool Frogも含まれます。ヨーロッパアカガエルとは目のあたりに明らかな違いがあり、背中に黄色い線が見られるものが多いと報告されています。ここでは、この置物のカエルをGreen Frogと思うことにしました。

スコットランドのきびしい自然環境の中で捕食者に立ち向かうグリーンフロッグ。ひとつのカエルの置物からいろんなことを想像してみるととても楽しいものです。

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※新刊『ときめくカエル図鑑』(山と渓谷社刊 文・高山ビッキ 写真・松橋利光)販売中です。どうぞよろしくお願いします。

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<関連サイト>

「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com

※Webミュージアムでは2011年に福島県立博物館で開催した「喜多方『100年カエル館』コレクション展」を画像でご覧いただいております。

「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u

「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru ※エッセイで時代をふりかえるサイトです。

カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html 

※『かえるる カエルLOVE111』(山と渓谷社)全国の書店等で販売中です。

 

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