■特別展「唐画もん(からえ)もん」で出合えるカエルたち
江戸時代には、活躍した時期は違っても江戸に葛飾北斎、歌川豊国、歌川国芳、河鍋暁斎などカエルを描いた絵師がいました。そして、もちろん、先に文化の一大中心だった上方(大阪・京都)にも、蘇我蕭白、伊藤若冲、松本奉時、円山応挙など、カエル好きの目を楽しませてくれる絵師を探すことができます。
江戸時代はカエルが魅力的な画題だったことは充分に想像できます。さらに、本人がカエル好きだったと思われる記録がある絵師もいます。江戸・東京(幕末・明治)で活躍した河鍋暁斎と大坂の松本奉時(?-1800)です。どちらもカエルをたくさん描いているのですが、暁斎が描いたカエルが、リアルなカエルが擬人化されているのに対して、暁斎より古い時代の奉時の作品「蝦蟇図」(掲載広告のオモテ面左下参照)がキャラクター的な抽象性を帯びていることに興味を惹かれました。
今度、この表具師にして絵師の松本奉時がさまざまなカエルの姿を描いた『蛙画帖』も展示予定の特別展「唐画もん」が大阪歴史博物館で開催されます。この展覧会は、すでに千葉市美術館でも行われたのですが、この全26図の画帖には、自然の風物としてのヒキガエルの姿から三本足のカエル、抽象性が高まっていく過程のようなカエルの姿まで、カエル好きならではのまなざしを感じることができます。
同展は、江戸中期に大坂で活躍した墨江武禅(1734-1806)と林ろう苑(1770-80頃活動)を中心に、当時流行した中国絵画、「唐画(からえ)」をテーマに、その系統の絵師たち「唐画もん」に焦点を当てた展覧会です。
ここに大坂歴史博物館の許可を得て掲載した作品は、武禅の「柳桜稚児図」で、池の中にカエルを見ることができます。その他、中国絵画のカエルといえば期待したくなるガマ仙人の絵。同展では森周峰(1738-1823)の「蝦蟇仙人図」を観ることができます。
特別展「唐画もん」ー武禅にろう苑、若冲も
会場 : 大阪歴史博物館 6階 特別展示室
会期 : 2015年10月31日(土)ー12月13日(日)
お問い合わせ
大阪歴史博物館 〒540-0008 大阪市中央区大手前4-1-32 TEL.06-6946-5728 FAX.06-6946-2662 http://www.mus-his.city.osaka.jp/
※11月15日(日)に伊賀市長岡本栄氏による講演会「善きものと出会うー古美術を楽しむー」、11月6日(金)と14日(土)に学芸員の岩佐伸一氏による展示解説が行われます。詳しくは同館HPをご覧ください。
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<関連サイト>
「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com
※Webミュージアムでは2011年に福島県立博物館で開催した「喜多方『100年カエル館』コレクション展」を画像でご覧いただいております。
「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u
「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru ※エッセイで時代をふりかえるサイトです。
カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html
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