■第16回両生類自然史フォーラムに参加して
第16回両生類自然史フォーラム(日本両生類研究会・埼玉県立川の博物館共催)が8月30日に埼玉県立川の博物館ふれあいホールで開催されました。
特別講演に南相馬市博物館の稲葉修氏が演壇に立ち、「福島県の両生類・生息種と問題」について語りました。東日本大震災によって福島県の自然環境がどう変化しているか、非常に関心の高い問題について両生類の調査を通して見えてきたことが報告されました。
カエルを含む両生類は自然災害に伴う問題の発生に関わらず、近年、その減少が問題視されていましたが、福島県は大震災によってそれがより顕わになった様子が伝わりました。
今回伺ったお話のなかで私にとって最も興味深かったのは、福島県におけるトウキョウダルマガエルとトノサマガエルの分布に関してです。拙著『かえるる』でも「トノサマガエルとダルマガエルの関係」についてのページを設けましたが、分子生物学の発達によってその2種が形態は似ているけれど違う種類であるとされていることはわかりました。そしてトノサマガエルとトウキョウダルマガエルの分布の違いは、ほとんどの図鑑でトノサマガエルが本州(仙台平野、関東地方をのぞく)、四国、九州、朝鮮半島、中国、トウキョウダルマガエルが仙台平野、関東地方、中部地方の一部と記載されています。
しかし、自分の出身県でもある福島県でどんな分布になっているのか実は知りませんでした。今回の稲葉さんの報告によると海側から内陸の「浜通り」、「中通り」は主にトウキョウダルマガエル、山側の会津地方は主にトノサマガエル、そして、2つの分布域の間にどちらかわからない種が見られるのだそうです。自分と関わりのある地域のカエルについてさえ知らないことの多さに改めて気づかされました。
会津に帰ると、昔と変わらない田園風景を美しいと感じますが、圃場整理などによってカエルはかなり少なくなっているようです。稲葉さんは大震災後の自然環境の変化を見て、丘陵地が生きものの復活に役立っているのではないかと感じたと言います。生息する動物たちが戻って来ても、元々の景観を取り戻さないことには地域全体の本当の復興はないのではないかと投げかけました。
特別講演の後、一般講演は熊倉雅彦氏(日本歯科大学新潟生命歯学部)による「新潟県の保護上重要な両生類」、佐々木彰央氏(静岡県自然史博物館ネットワーク)による「両生類に寄生する蛭について」、百﨑孝男氏(すみだ水族館)による「洞窟を利用する?迷い込む?両生類たち」、南部久男氏(富山市科学博物館)による「富山県野積川における渓流環境の変化とヒキガエル類の産卵場所」、内山実氏(富山大学大学院理工学部研究部)による「二ホンアマガエルの雨鳴きを科学する」、そして、大胆なチャレンジではありましたが、私高山ビッキも「新学問『ケロロジー』の確立めざして」というテーマでお話させていただきました。
(画像上から)
●福島県のトウキョウダルマガエルとトノサマガエルの分布について説明する稲葉氏
●記念撮影の後大きなカジカガエルの置物(川の博物館制作)について説明する事務局の藤田宏之氏を囲んで
●今回のフォーラムを聞いていた(⁈)埼玉県に生息するトウキョウダルマガエル
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<関連サイト>
「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com
※Webミュージアムでは2011年に福島県立博物館で開催した「喜多方『100年カエル館』コレクション展」を画像でご覧いただいております。
「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u
「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru ※エッセイで時代をふりかえるサイトです。
「キモノ・二・キガエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kimonokigaeru ※ゆかたやキモノ着用で優待割引のある施設をご紹介するサイトです。
カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html
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