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■「江戸妖怪大図鑑」に見る江戸時代の“カエル文化”の豊かさ

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現在、太田記念美術館(東京・原宿)では、「江戸妖怪大図鑑」と題した浮世絵展を開催中(~2014年9月25日)です。同展は、期間を第1部の「化け物」、第2部の「幽霊」、第3部の「妖術使い」に分けて開催されています。

すでに終了した「化け物」の展示には、歌川貞秀や歌川国芳による「源頼光館土蜘蛛妖怪図」の中に、カエルが登場していました。謡曲『土蜘』で知られる、熱病に伏す源頼光の屋敷に土蜘蛛の妖怪が現れるシーンを主題に、貞秀も国芳も典拠にはない妖怪たちを描いています。貞秀の絵にはナメクジと相撲をとるカエルが・・・・・・。行司がヘビなので三すくみになり、三者動けず相撲が始まらない滑稽さがにじみ出ています。国芳の絵には、二手に分かれて合戦をする化け物たちのなかにカエルもいます。また、薬と病気の合戦を擬人化した「よくきく薬種」(関斎)には、労咳を倒している蛙の黒焼きが描かれています。

しかし、カエル好きのための最大の見せ場はこれからです。8月30日(土)から始まる第3部の「妖術使い」。武者絵や役者絵として描かれた天竺徳兵衛、平太郎良門と滝夜叉姫、児雷也といった蝦蟇の妖術使いとともに、これでもかというほどたくさんのカエルと遭遇できそうです。

掲載した画像は歌川芳虎「肉芝仙人より妖術を授かる図」(個人蔵)です。真ん中に座るのが蝦蟇の精霊である肉芝仙人。妖術を授かっているのは平将門の遺児平良門(右)。左はその仲間伊賀寿太郎。合戦を繰り広げる蝦蟇たちが何やら楽しそう(にも見えます)。

これ以外に展示された30点以上の作品にカエルが描かれ、しかも作品によっては妖術によって小石や懐紙がカエルに変えられている様子が描かれているので、カエルの数は相当なものになるでしょう。

妖怪とカエル(特にガマ=ヒキガエル)がもつ共通性は、一種の不気味さということになるでしょうか。もしかすると、それらは明治以降、前近代的なものとして排除されて行ったのかもしれません。けれども、今回の展示などを通して改めてガマをはじめとする妖怪たちの姿を目にすると、現在人気のあるゆるキャラに通じる愛らしささえ感じます。それを描いた江戸の絵師たちが、本来の画題や意図とは別に妖怪を描くことを楽しんでいたのではないかと想像してしまいます。そして、カエルは妖怪表現に欠かせないモチーフだったとすると、江戸後期には豊かな“カエル文化”が花開いていたということができるかもしれません。(高山ビッキ)

※参考文献:『江戸妖怪大図鑑』(太田記念美術館発行)

※画像提供:太田記念美術館

「江戸妖怪大図鑑」展

第3部 妖術使い 2014年8月30日(土)~9月25日(木)

太田記念美術館(〒150-0001東京都渋谷区神宮前1-10-10)

お問い合わせ:03-3403-0880

www.ukiyoe-ota-muse.jp/

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<関連サイト>

「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com

※Webミュージアムでは2011年に福島県立博物館で開催した「喜多方『100年カエル館』コレクション展」を画像でご覧いただいております。

「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u

「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru ※エッセイで時代をふりかえるサイトです。

カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html 

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