「かめ・かえる館」の福井県全在来種の蛙と私たちの身近にいる蛙
皆さんは自分が住んでいる地域に何種類の蛙が棲息しているかご存知だろうか。たぶん、蛙にかなり関心の高い人でない限り知らない人の方が多いのではないだろうか。
かく言う私も長い間よく知らなかった。何せカエルグッズを集めていただけで、生き物の蛙を飼ったり、観察したりといったことは別のことだと思っていたからだ。しかし、最近、カエルをテーマにイベントを企画させていただく機会が増え、カエルのモノや文化史について考える上でもその大元となる生き物の蛙のことを知らないわけにはいかないと思うようになった。
そうして少し生物の蛙について学んでみると、世界には4300種以上の蛙がいて、日本にも43種が棲息している。日本は国土の狭さの割には蛙の種類が多い国なのだとわかった。それまでせいぜいアマガエル、ヒキガエル、トノサマガエル、モリアオガエル、カジカガエル+αぐらいしか意識せずにカエルグッズを集めていたのかと思うと、何だか恥ずかしいような気さえした。(※カエルの種数に関しては2020年の段階では世界に約6500種、日本に外来種・亜種を含めて48種ともいわれ、年々変動が見られます。)
さらに日本で最もポピュラーな蛙のひとつだと思っていたトノサマガエルが、どこにでもいるわけではなく、仙台平野から関東地方には棲息しておらず、自分が住んでいる関東で見られるトノサマガエルのような蛙は、トウキョウダルマガエルという種類だと知ったときには、完全に打ちのめされたような気分になった。
日本の蛙43種類はそれぞれ分布地域が違うので、その地域にどんな種類の蛙が棲息しているかは、地域特性といってもいいものなのかもしれない。実際、それぞれの地域に棲む蛙はその地域で培われた歴史、人間よりも長い歴史が刻まれた遺伝子をもっているらしい。だからいくら種類が同じだからといって、その個体を別の地域にもっていくようなことをすれば遺伝子的な多様性を失ってしまうことに繋がる、というような話も聞いた。
身近にどんな蛙が棲息しているのかを知ることは生物多様性的な視点からもとても大切なことのようだ。ここで紹介している画像は、越前松島水族館の百崎孝男さんから送っていただいた。同水族館には常設で30種ほどの蛙を展示する「かめ・かえる館」がある。今年は、福井県の在来種の蛙全13種がそろったということで、その展示も行っているのでぜひ足を運んでほしい。
そしてもし自分の住んでいる地域にどんな蛙が暮しているかを知りたいときは、一番近くにある水族館に行って聞いてみてはどうだろう。そこには必ず蛙が好きな職員の方がいておしえてくれるはず。そうすれば身のまわりの自然に対するまなざしもきっと変わっていくのではないだろうか。
【越前松島水族館】
福井県坂井市三国町崎74-2-3 TEL.0776-81-2700 http://www.echizen-aquarium.com
100年カエル館・カエ~ル大学はこちらからhttp://kaeru-kan.com/kayale-u/
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<関連サイト>
「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru ※エッセイで時代をふりかえるサイトです。
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