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2011年5月

「かめ・かえる館」の福井県全在来種の蛙と私たちの身近にいる蛙

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 皆さんは自分が住んでいる地域に何種類の蛙が棲息しているかご存知だろうか。たぶん、蛙にかなり関心の高い人でない限り知らない人の方が多いのではないだろうか。

 

 かく言う私も長い間よく知らなかった。何せカエルグッズを集めていただけで、生き物の蛙を飼ったり、観察したりといったことは別のことだと思っていたからだ。しかし、最近、カエルをテーマにイベントを企画させていただく機会が増え、カエルのモノや文化史について考える上でもその大元となる生き物の蛙のことを知らないわけにはいかないと思うようになった。

 

  そうして少し生物の蛙について学んでみると、世界には4300種以上の蛙がいて、日本にも43種が棲息している。日本は国土の狭さの割には蛙の種類が多い国なのだとわかった。それまでせいぜいアマガエル、ヒキガエル、トノサマガエル、モリアオガエル、カジカガエル+αぐらいしか意識せずにカエルグッズを集めていたのかと思うと、何だか恥ずかしいような気さえした。(※カエルの種数に関しては2020年の段階では世界に約6500種、日本に外来種・亜種を含めて48種ともいわれ、年々変動が見られます。)

 

  さらに日本で最もポピュラーな蛙のひとつだと思っていたトノサマガエルが、どこにでもいるわけではなく、仙台平野から関東地方には棲息しておらず、自分が住んでいる関東で見られるトノサマガエルのような蛙は、トウキョウダルマガエルという種類だと知ったときには、完全に打ちのめされたような気分になった。

 

 

 

 日本の蛙43種類はそれぞれ分布地域が違うので、その地域にどんな種類の蛙が棲息しているかは、地域特性といってもいいものなのかもしれない。実際、それぞれの地域に棲む蛙はその地域で培われた歴史、人間よりも長い歴史が刻まれた遺伝子をもっているらしい。だからいくら種類が同じだからといって、その個体を別の地域にもっていくようなことをすれば遺伝子的な多様性を失ってしまうことに繋がる、というような話も聞いた。

 

 身近にどんな蛙が棲息しているのかを知ることは生物多様性的な視点からもとても大切なことのようだ。ここで紹介している画像は、越前松島水族館の百崎孝男さんから送っていただいた。同水族館には常設で30種ほどの蛙を展示する「かめ・かえる館」がある。今年は、福井県の在来種の蛙全13種がそろったということで、その展示も行っているのでぜひ足を運んでほしい。

 

 そしてもし自分の住んでいる地域にどんな蛙が暮しているかを知りたいときは、一番近くにある水族館に行って聞いてみてはどうだろう。そこには必ず蛙が好きな職員の方がいておしえてくれるはず。そうすれば身のまわりの自然に対するまなざしもきっと変わっていくのではないだろうか。

 

【越前松島水族館】

 

福井県坂井市三国町崎74-2-3 TEL.0776-81-2700                http://www.echizen-aquarium.com

 

 

 

100年カエル館・カエ~ル大学はこちらからhttp://kaeru-kan.com/kayale-u/

 

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<関連サイト>

 

「コトバデフリカエル」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/kotobadefurikaeru  ※エッセイで時代をふりかえるサイトです。

 

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2011年もうすぐ夏、今年もカエル・アート展が楽しみ

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 札幌市にある、その名も「カエルヤ珈琲店」では、目と鼻の先にある北海道立近代美術館の企画展に合わせた“カエルの絵”を展示するのが恒例となっている。その作品はまた改めて紹介させていただきたいが、セザンヌ展も、佐伯祐三展も、浮世絵展も、古代ローマ展も、本願寺展も、エジプト展も、美術館で実物の作品を見た後にこの喫茶店に入ると、そのカエル・バージョンを楽しめる。それをここでは“なんちゃってカエル名画”と謳っているが、カエルが好きでもそれほどでなくても、思わずくすっと笑えて和めるカエル・スポットである。

 そんな“なんちゃってカエル名画”の描き手の福士ユキコさんは、同店のオーナー、井野さんのお姉さんである。8年前にお店がオープンしたときに、カエル好きの妹さんからカエルの絵を描いてほしいと発注を受けたのがカエル・アートを始めるきっかけだったという。

 その福士さんが、今度、やはり札幌市にあるギャラリーでカエルの絵の個展を開く。タイトルは「かえるえか」。前から読んでも後ろから読んでも「かえるえか」。サブタイトルにfrog fables とついている。fables(= 寓話、作り話、うそ、伝説、神話)。紹介した画像は、DMハガキに使用されている作品だが、“なんちゃってカエル名画”を知っている目で見ると、さて何の名画だっただろうと考えてしまうのだが、これは正真正銘福士さんのオリジナルである。

 最近、ブリューゲルなど中世絵画に魅かれているという彼女は、きのこに乗ったカエルを少女世界とちょっぴり不気味な雰囲気のなかで表現している。ブリューゲルの時代の謝肉祭に現代の女の子が紛れ込んだような・・・、と。なさそうで、ありそうで・・・・。中世のようで、現代でもあるような・・・。さて、その正体は・・・、なんだ「かえるえか」と軽く受け止めて、もう一度安心して画面の中に入って遊べるような、そんな作品である。

 この作品以外にも新作をメインに大小合わせて10~20点ぐらいのカエルの絵(一部他の生き物の絵も)が展示される予定。

【福士ユキコ作品展 「かえるえか」frog fables】

場所:コンチネンタルギャラリーB室                                        札幌市中央区南1条西11丁目 コンチネンタルビルB1                     TEL.011(221)8511 FAX.011(281)0950

会期:2011年6月14日(火)~19日(日) 10:00~18:00

<その他のカエル・アート展>

【てごころ展】

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陶器でコミカルなカエルの作品を制作している佐藤亜紀さんの作品が見られます。

場所:ギャラリー・ユー                                         神奈川県鎌倉市雪ノ下1-4-29 ※JR鎌倉駅東口下車徒歩7分               TEL&FAX 0467(22)3016

会期:2011年5月24日(火)~5月30日(月) 11:00~19:00(最終日は17:00)

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香り かぐわしき名宝展で2匹のカエル発見

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 現在、東京藝術大学大学美術館で開催中の「香り かぐわしき名宝」展(2011年4月7日~5月29日 主催東京藝術大学大学美術館 日本経済新聞社 協賛ゲラン、他協力香文化資料室 松栄堂 松寿文庫、他)。この展示のなかにもカエルが“潜んでいる”のでご紹介したい。

 同展は日本文化における「香り」をテーマにした美術展である。よって展示品は香木や香炉、香道の道具から香りを切り口にセレクトされた日本画まで、日本に仏教が伝来して以来築かれてきた香りの文化史を堪能することができる。

 5月10日から一部展示替えがあり、蛙が描かれた作品も登場する。小茂田青樹(おもだせいじゅ)の大正15年(1926)の作品「緑雨」(東京・五島美術館蔵)がそれだ。まさにこれからの季節のような、新緑の時期の雨の風景。大きな芭蕉の葉っぱに叩きつける雨。その雨を誰よりも喜んでいるかのように、そして、雨宿りするようにうっとり佇む蛙が一匹。

 会期前半の展示ではまだ見られなかったので、図録に載っているこの絵に見入った。そして、降りしきる雨に顔を近づけるように木の上を見上げてびっくりした。種類の違うもう1匹の蛙がいる。

 この作品をより匂い立たせているは、脇役に回った石榴の花だ。こんなに美しく、かぐわしく、蛙のいる風景を描いてくれた小茂田青樹(1891-1933)に感謝したい。この作品を見るためにもう一度、今度は雨の日に蛙の気持ちになって会場を訪れたいものである。

作品:小茂田青樹「緑雨」大正15年(1926)五島美術館蔵

※終了いたしました。100年カエル館・カエ~ル大学はこちらからhttp://kaeru-kan.com/kayale-u/

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