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真剣に遊ぶパパたちが贈る『アマガエルのヒミツ』

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『アマガエルのヒミツ』

文◎秋山幸也 写真◎松橋利光

発行:山と渓谷社

 好きか嫌いかに大きく分かれると言われる、蛙という生き物に対する人間の反応。でも嫌いな人でも「あの小さな緑色の蛙なら大丈夫」と、好感度の平均値が高いのがアマガエルだ。この本はそんなアマガエルの魅力について、蛙が好きで蛙と関わることが仕事や生き方の一部になっている二人、秋山幸也氏の文と、松橋利光氏の写真で構成されている。

 「蛙は身近な生き物」といいながらも、私たちは蛙について意外に知らないことが多い。蛙は天敵から身を守るために、体の色を周囲の色に合わせて変える特徴があることは知られているが、実はすべての種類の蛙が色を変えるわけではない。アマガエルは期待通り体の色を変えてくれるが、だからといって人間の手でその個体を移動して、たとえば葉っぱから土の上に持っていっても簡単に色を変えてくれるわけではないらしい。

 そのようにこの本では、蛙好きならではの思いのこもった観察と、しっかりと研究された自然科学の知識に基づいて、アマガエルの生態や生活行動が親切にわかりやすく紹介されている。一度読めば誰でもアマガエルをさらに身近に感じることは間違いない。著者は相模原市立博物館の学芸員で、そこでは植物を担当しているが、蛙は子どもの頃から好きだったという。本の中で、中学生の著者が試験勉強中に自分の部屋の窓にたまたま張り付いたアマガエルをじっくり観察している様子が描かれている。ユスリカやガをパクリパクリと食欲旺盛に食べるアマガエルと、それを飽きずに見ている著者。秋山さんにとってアマガエルはほんとうに友だちのような存在だったのだろう。

 写真家の松橋さんの作品は、特に白バックで撮影する蛙の愛らしさにとても人気がある。最近はテレビやラジオにも登場する松橋さんは、どちらというと大柄な方だが、野外で蛙などを撮影するときは「姿(存在感)を消す」のだそうだ。それは他の人がマネをしようにもできないワザで、やはり子どもの頃から蛙とふれあってきた写真家ならではの蛙との約束のようなものがあるのだろう。この本では松橋さんのカメラで生き生きとしたまま捕らえられたアマガエルの写真が堪能できる。

 秋山さんも松橋さんもまだ小中学生のお子さんをもつ「お父さん」である。昔、父親といえば働く後ろ姿を子どもに見せるのが役割のひとつだったが、いまは子どもの頃の遊びを大人になってもやり続けられるかどうかも父親力の大きなポイントになっているようだ。

 

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