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『かえるのしゃちょうさん』にグチをこぼしたい人は多いかも

Shachousan

『かえるのしゃちょうさん』

作◎舟崎靖子・真理 絵◎黒井 健

発行:ポプラ社 1987年12月 第1刷

 「かえるのしゃちょうさん」は、「かぼちゃ畑三ちょうめ」に住んでいる。この絵本の表紙を開くと最初に「かぼちゃ畑三ちょうめ」の絵地図が広がる。まさにかぼちゃ色(緑と黄色のまだら)の下地に線描きされた地図には、「えき」を中心に「かえるさん」や「ねずみさん」や「もぐらさん」それぞれの家のかぼちゃ畑が広がり、駅のそばには「かぼちゃかいかん」、東のはずれには「あなぐまさんのホテル」、南には「うさぎさんのアパート」も見える。海へ流れ込むゴロスケホー川は、「がちょうのくちばし」という所でゴロスケ川とホー川に分かれる。

 イギリスの童話「たのしい川べ」にもヒキガエル氏の館をはじめ、その仲間の動物たちの家が配置された地図が見られるが、こうした絵地図はいくつになってもジッと見入ってしまう魅力がある。たぶん、本当は人間もこのくらい小さい共同体で、いろんな人たちと助け合って生きてみたいという願望があるのではないだろうか。

 もちろん、その中でのつきあいはわずらわしいことも多い。ちょっと人がよかったり、気が弱かったりすると、何から何まで頼まれて断れないこともある。その典型がこの「かえるのしゃちょうさん」。あなぐまさんから「あなぐまさん」になってホテルの留守番をしていてほしいと頼まれて、うっかり引き受けたものだから、さあタイヘン。

 最後は自分の名刺に「なんでもします、ただしあなぐまさんはのぞく」と書き加えるほど、身をすり減らすことの連続。人間の社会にもこんな人っているような・・・。「それって私かも」と思った人には特におすすめの一冊。かぼちゃ畑三ちょうめのかえるさんの家にお茶でも飲みにいくといいかもしれません。

 どんな地域コミュニティにもいろんな“人”がいて、その“人間関係”は決して楽しいことばかりじゃない。でも、皆でいっしょに目にする風景が明るくやさしいものであれば、それだけで幸せなのだろう、と思わせる絵本である。

(ファンタジーとネイチャー)

カエルの種類:たぶんアマガエル、水かきがある

カエルの生活行動:繁殖のとき以外は群れない、生態系ピラミッドの中間に位置し、さまざまな動物のとの関係にさらされて生存している

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