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映画「そのカエル、最凶につき」の主演ケイン・トード

Two_toads

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世界中で絶滅の危機に追い込まれるカエルが増えている一方で、局地的にみると異常繁殖しているカエルもいるようだ。オーストラリアで問題になっているのがオオヒキガエル、CANE TOAD(ケイン・トード)の増殖。

 ケイン・トードに関してはカエルタイムズ3号(2005年8月発行)で、当時、両生類の研究機関のスタッフとして仕事をしていたリディアさんの活動について紹介したときに、実はふれていた。リディアさんはケイン・トードがおかれている悲惨な現状を訴えていた。彼女は愛犬の散歩の途中、ヘッドホーンから聞こえるラジオのトークでヒキガエルをテニスのマシーンに入れボールの代わりに使用するという、ホントともジョークともつかない話に愕然とする。そしてケイン・トードが醜く、役に立たないからと過激な方法で処分する人々がいることを嘆いていた。

 その時はあまり現実感をもてなかったのだが、先月、NHKBSの「世界ドキュメンタリー選」の「繁殖カエル ケイン・トード」を見てその実態を知った。ケイン・トードは、1935年にサトウキビ畑の害虫駆除のためにハワイからオーストラリアに持ち込まれた。しかし、そのジャンプ力ではサトウキビの上の方にいる害虫を食べることができず、結局、もくろみは失敗に終わった。それだけならしかたないが、今度はケイン・トード自体が異常に増え始め、オーストラリア東部のクィーンズランドを中心にその駆除のために大騒動になっているようなのだった。

 そして、今週終了した東京国際映画際ではそのケイン・トードが主演の作品を見ることができた。タイトルは「そのカエル、最凶につき」。NHKのドキュメンタリーを見たばかりだったので、“カエル好き”には辛い映画かなあと恐る恐る見に行ったが、素晴らしい映画だった。原題の「CANE TOADS THE CONQUEST(征服者、ケイン・トード)」が示すとおり、人間がヒキガエルを操作しようとしたのに、結局、ヒキガエルに操作されている人間の愚行をユーモアと哀愁をもって描いている。

 監督は、これまでも自然を扱ったドキュメンタリーにコミカルな味つけをして独自のジャンルを築いているマーク・ルイス。彼の作風に願ってもない容姿、キャラクター、そして生きざまをもっていたのがケイン・トードだったのかもしれない。この映画を見た日に、監督に直接お願いし送られてきた3枚の写真のうちの1枚が上の写真である。現在、編集に取りかかったカエルタイムズ13号でも詳しく紹介しようと思っているのでお楽しみに。

 オーストラリアで現実に起きているケイン・トード騒動に関しては、日本でも深刻な外来種の持ち込みの問題としてみんなで考えていかなければならないことだろう。その視点を取り戻すためにも、まずはこの映画を機会があったらぜひご覧いただきたい。

 

 

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