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2010年10月

秋のカエル文化シンポジウムが終わりました

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このブログでも告知していた秋のカエル文化シンポジウム「月とカエルと女性」は、予定どおり10月19日に善立寺ホールにて行われた。

 3月に開催したカエル信仰シンポジウムの後、足立・善立寺はかえる文化研究所を設立。住職の新倉典生氏が所長に就任した。私たち、100年カエル館姉妹も研究員として参加している。今回のシンポジウムはその第一回目の企画であり、私はカエルタイムズ編集長として司会を務めた。

 シンポジウムは前半と後半に分け、前半はまず、中国神話研究家の百田弥栄子先生(中日文化研究所教授)に「中国のカエル文化」についてお話いただき、考古学者の前園実知雄先生には、春のシンポジウムに引き続き考古学的視点で古代のカエルの遺物についてご講演いただいた。

 休憩時間には参加者の皆さんに仲秋節にちなんで月餅とお茶をご用意。1人で参加されている方が多かったが、「カエル」というテーマを共有しているだけで“水くさい連帯感”が生まれ、和やかな時間が流れていた。

 そしてシンポジウムは後半に。今回は漫画家でカエルグッズコレクターでもある柴田亜美先生をお招きし、コレクションのことや漫画作品に描かれているカエルについて語っていただいた。パネルディスカッションは、前回からの課題でもあった「“日本の月”にはどうしてカエルがいなくなってしまったのか」やカエル神話の世界への広がり、女性にとっての月とカエルなどについて語り合ったが、もちろん、まだまだまとまった見解が見えてくることはない「カエル文化」というテーマ。今後にto be continued.

 さて、今回、柳家我太楼師匠はシンポジウムの「まくら」という、新たなジャンル(?)で会場の雰囲気をやわらげてくださった。そして最後の質疑応答では、師匠が会場の参加者の方に逆質問するかたちで盛り上げた。参加者のなかには、柴田さんのファンでかつカエル好きという岡山の女性やヒメアマガエルを飼っているという女性、カエル文化に興味があるという女性など、テーマがテーマだけに女性が多いなか、前回も参加してくださった青果店経営の86歳のカエルグッズコレクターの男性は、独自の“カエル論”を展開した。

 参加者の数は決して多いとはいえなかったが、前回、今回と感じるのは「カエル」をテーマとすることで不思議な一体感に包まれることだ。たぶん、カエル以外の内容だったら司会などできない私も、その雰囲気にずいぶんと助けられた。

 お帰りには「かえる文化研究所」の創設を記念してつくられたカエルアート・マグカップが参加者の皆さんにプレゼントされた。

 今回ご参加くださった皆さんをはじめ、かえる文化研究所を応援してくださっている皆さんに心から感謝申し上げます。

※このシンポジウムの内容はカエルタイムズ13号に詳しく紹介しますのでお楽しみに。

 

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シンポジウムではカエルアートのマグカップをプレゼント!

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 カエルをテーマにしたアート作品を目にすることは多いが、男性アーティストがつくるカエルアートと女性アーティストの手によるそれには、決定的な違いがあるような気がしていた。ひじょうに大雑把な分け方をすると、男性にとってカエルはあくまでも他者であり、時にいじめる対象にもなれば(ある世代までの少年の遊びにストローで蛙を膨らますものがあったのは象徴的だ)、救済する対象にもなる。これに対して女性の場合、特に彼女たちがクリエイターという内省的な面の強い存在だったりすると、カエルは自己、もしくは自己と分かちがたい何かだったりする。(もちろん、個人差はあるがいろいろなカエルアート作品を見ていての私の見立てである。)

 カエルタイムズ10号(2007年9月発行)では、オランダ在住の女性アーティスト、マルレーネ・デュマスの”カエルアート”を紹介した。まるで解剖される前のように腹部をさらしてのけぞるヒキガエルを描いた絵画作品で、タイトルは「芸術とはヒキガエルの織り成す物語である」。作品には次のようなコメントがついていた。「現代人はアーティストの人格を強調しすぎる。原始社会では物語はけっして一個人ではなく媒介者、シャーマンによって語られ、賞賛されるとすればそれは「語り」であり、個人の「非凡な才」ではなかった。魔法が信じられていた時代、神話や御伽噺の時代には、神々はあらゆる姿をとって現れ、正反対の性格を一身に表わすことができた。ひとは狼男になることができ運さえよければ、カエルも王子に変身することができた」(マルレーネ・デュマス展カタログより)。

 ところで縄文土器の多くは女性がつくったのではないかと考えられていると読んだことがある。そして、八ヶ岳山麓ではカエルの意匠が施された縄文中期の深鉢などが複数発掘されているが、その作り手たちも女性だとしたら、マルレーネ・デュマスをはじめカエルを表現する現代の女性アーティストたちと時空を超えて共有する思いが見えるような気がする。

 その思いとはどんなものなのか。今月19日に開催する秋のカエル文化シンポジウム「カエルと月と女性」で少しでも感じていただける展開になればと期待している。

 同シンポジウムにご参加くださった皆さんには、案内パンフレットにも描かれたフジモト芽子さんのカエルアートのマグカップをプレゼントいたします。

 ご参加をお待ちしております。

 

 

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