“カエル経済学”が予測する景気のゆくえ
両生類である蛙は、その生活行動において水辺と陸地を必要とするなど本来両義的な特徴をもっている。カエルグッズにもそれは当てはまるようだ。カエルに関心がなくてもお財布に入れている人が多い、小さなカエルのお守り。これも「余計なものはカワズ(買わず)」と節約のために入れる場合と、「出て行ったお金がカエル(返る)」ようにと散財の言い訳みたいに入れる場合の相反する意味がある。それでケロロジーの“カエル経済学”では、景気には“カワズ景気”と“カエル景気”の2つがあると極論。消費者が今はできるだけ「カワズ(買わず)」と思うか、どんどん「カエル(買える)」状態になってきたと思うかによって決まると論じた。
昨年の相模原市立博物館で企画させていただいたケロロジー講座の展示では、そのような説明とともに、中国で縁起物とされる金貨をくわえた三足のカエルの置物や招きネコならぬ招きガエルのポーズをとった貯金箱、がま口から発想されるお財布、そして「金運」のジョークの意味も込めた“トイレガエル”まで、気持ちひとつで景気がよくなりそうなカエルの縁起物の数々を展示してみた(写真)。
マーケット的には“カエル景気”を刺激するにはどうすればいいか考えるところだろう。そういえば日本テレビの「ダッシュ村」でも景気が“よみがえる”ようにと、5月は2回にわたってビニール製の巨大ガエル「景気かいふくん」をジャンプさせる実験を行っていた。また、練馬区では昨年6月から今月までの1年間10%のプレミアム付き練馬区内共通商品券を「ど根性ガエル」のピョン吉のキャラクターを使用して販売、自治体が率先して消費の活性化をサポートした。そんな“カエル景気”推進策の甲斐あってか、最近、消費者の節約疲れも手伝って消費が上向くのではという期待ももたれたが、今のところ“カワズ・カエルバランス”が働いてわかりやすい景気回復にはつながっていない。
今、日本人を消費に向かわせるには、何を買うと幸せな気分になるかを示すことだと思っている。たとえばカエルグッズが好きな人は、どんなにたくさんカエルグッズを集めても、まだ見たことのない“すばらしいカエルグッズ”と出合えばどうしても買いたくなる。この習性には限界がない。ただし、その“すばらしいカエルグッズ”とは何かを見極めるのはむずかしい。日本人の消費行動が高度化していると感じるこの頃である。
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