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カエルと音楽が好きならさらに楽しいザッツ・ディズニー映画!

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久々にディズニー映画を観た。もちろん、カエルが出てくるからである。タイトルは『プリンセスと魔法のキス(原題は「Princess and the frog)』。

原作はアメリカの童話作家E・D・ベイカーの『カエルになったお姫様』。この本については、以前カエルタイムズ5号(2006年1月発行)で紹介したことがある。モチーフとなっているのは、ご存知、グリム童話の『カエルの王さま』である。日本人の“カエル文化”の歴史に「鳥獣戯画」が特別な意味をもつように、欧米人とカエルの関係を考える上で、「カエルの王さま」ははずせないようだ。

「カエルの王さま」は世界的に有名な童話だが、欧米のみならず、日本においても、「自立すべき」を前提に育った(はずと思っている)現代女性にとって、カエルがイケメンの王子さまだったと知ってコロッと態度が変わったお姫様は節操がないのではないかという、割り切れなさがあった。

つまり、あのグリム童話から女性として何を学ぶべきかわかりにくかった。が、確かに、女性であろうと男性であろうと、自立した精神をもって生きるなんてそう簡単にできることではない。その弱さや複雑さの根底に、グリム童話としてまとめられた、中世の民話に残る人類普遍の精神構造があることも理解できないことはない。

そこに登場したE・D・ベイカーの「カエルになったお姫様」は、カエルになった自らの現実を身をもって受け止めた。そして、それを基にしたディズニー映画では、1920年代のニューオーリンズを舞台に、ティアナという若い黒人女性のヒロイン像を描き出した。ティアナは、亡き父の遺志を継いでレストランをもちたいという夢を実現するためにひたすら働く。そんなある日、ひょんなことから大嫌いなカエルにキスをしたことで自分もカエルに・・・。

登場するカエルは、ファンタジーなので人間のように喋ることは喋るのだが、ヴィジュアル的にはそれほどキャラクター化(擬人化)はされていない。それもそのはず、アニメーターや制作スタッフは、カエルらしい形や動きを表現するために、本物のカエルの群れをスタジオで飼育しながら観察していたらしい。たぶん、リアルに表現されたカエルでなければこのストーリーの魅力は半減しただろう。

私事だが、ずいぶん前に友だち数人とアメリカ横断の旅をして、途中、ニューオーリンズに数日滞在したことがある。当時、黒人音楽にとても興味をもっていたので、ガンボスープのようにいろんなものが溶け込んで湧き立つ、ジャズやリズム&ブルースがたまらなかった。この映画ではその時の感動もよみがえるような音楽のライブ感もたっぷり。

また、その頃は、それまで集めてきたカエルのモノを通してカエルについて研究していこうと方向を定めた頃でもあった。そして、いずれは博物館をつくりたい、と。ニューオーリンズではバーボン・ストリートで、ちょっと怪しいカエルの玩具を買った(本当はフレンチクォーターの一角にもっとたくさんのカエルグッズを売っているお店を見つけたのだが、開店前だったのがいまだに惜しまれる)。ニューオーリンズといえばブードゥー教の信仰で知られる。この映画でもブードゥー教が巧みに取り入れられていたが、人をカエルに変える魔術ぐらい朝飯前の土地柄ともいえる。

この『プリンセスと魔法のキス』は、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが、手描きのアニメーションに立ち返り、「名作おとぎ話」と「ミュージカル作品」に回帰した映画だという。コンピューター・アニメーションが高度に行き着いた先で、改めて手描きを見直し、ストーリー・テリングと音楽、そして制作プロセスそのものにこだわったミュージカル。黒人音楽が好きな人にはファンキーなライブとして、女性にとっては勇気を与えるラブ・ロマンスとして、そしてカエル好きにはカエルの存在の素晴らしさを改めて知ることのできる、まさにザッツ・エンターティメントだった。

現代の女性なら誰もが陥りがちな生き方の悩みも、すっきり晴らしてくれるにちがいない。ただ、映画は2時間ほどですべてを解決し、ヒロインのティアナは夢に見たレストランを開くことができた。しかし、私はいまだイメージしている博物館にたどり着いていない。でも、「カエル」をやり続けている限りいずれ夢は叶うと思っている。

皆さんも夢の途中で道に迷ったときは、一度「カエル」になってみませんか。

※画像は100年カエル館所蔵のカエルグッズで、ディズニー映画とは関係ありません。

100年カエル館HP http://kaeru-kan.com

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