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2010年4月

蛙の目借時に届いた眠そうなカエルの写真

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「春眠暁を覚えず」のこの時期は、「蛙の目借時(めかりどき)」ともいう。春に眠くなるのはカエルが人の目を借りるせいだとする俗説。でも、今年の春のように気温差が激しく、三寒四温ならぬ“二寒二温”ぐらいが繰り返されれば、カエルも目を借りる前に目を回しそうである。などと考えているときに届いた、今年の冬眠明けのカエルの写真画像。やっぱり眠そう。カエルは低血圧なのだろうか、寝起き悪そう、である。

 送ってくれたのは、この小さき生き物、アマガエルを、それらしからぬ迫力で描き出す兵庫県在住のアーティスト、石野善浩さん。カエルタイムズでは10号(2007年9月発行)で紹介したが、石野さんの場合、こうして毎年どこからともなく“よみがえる”アマガエルを写真に撮り、魂を込めて再現する。昨年は『水無月蛙Tシャツ展』と題したTシャツ作品の展示販売イベントを関西の3つのショップで開催した石野さん。今年はいまのところ以下の2つのイベントに参加予定とか。「月蛙工房」として、カエルを表現した絵画、版画、Tシャツ、オリジナルマッチなどが出品される。昨年好評だった藍染蛙Tシャツは、今年も藍染職人とのコラボで新作も出る予定。お楽しみに。

●5月8日(土)~9日(日)ひめじクラフト・アートフェア 出店 

http://wood-top.com/craft/info.html

●6月1日(火)~6月27日(日) 第9回かえるてん 参加 

http://tamagonokobo.com/

※作品データ:『皿がえる0601』油彩・テンペラ・圧縮パルプ 30cm 2006年 個人蔵

100年カエル館HP:http://kaeru-kan.com

                

  

 

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カエルと音楽が好きならさらに楽しいザッツ・ディズニー映画!

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久々にディズニー映画を観た。もちろん、カエルが出てくるからである。タイトルは『プリンセスと魔法のキス(原題は「Princess and the frog)』。

原作はアメリカの童話作家E・D・ベイカーの『カエルになったお姫様』。この本については、以前カエルタイムズ5号(2006年1月発行)で紹介したことがある。モチーフとなっているのは、ご存知、グリム童話の『カエルの王さま』である。日本人の“カエル文化”の歴史に「鳥獣戯画」が特別な意味をもつように、欧米人とカエルの関係を考える上で、「カエルの王さま」ははずせないようだ。

「カエルの王さま」は世界的に有名な童話だが、欧米のみならず、日本においても、「自立すべき」を前提に育った(はずと思っている)現代女性にとって、カエルがイケメンの王子さまだったと知ってコロッと態度が変わったお姫様は節操がないのではないかという、割り切れなさがあった。

つまり、あのグリム童話から女性として何を学ぶべきかわかりにくかった。が、確かに、女性であろうと男性であろうと、自立した精神をもって生きるなんてそう簡単にできることではない。その弱さや複雑さの根底に、グリム童話としてまとめられた、中世の民話に残る人類普遍の精神構造があることも理解できないことはない。

そこに登場したE・D・ベイカーの「カエルになったお姫様」は、カエルになった自らの現実を身をもって受け止めた。そして、それを基にしたディズニー映画では、1920年代のニューオーリンズを舞台に、ティアナという若い黒人女性のヒロイン像を描き出した。ティアナは、亡き父の遺志を継いでレストランをもちたいという夢を実現するためにひたすら働く。そんなある日、ひょんなことから大嫌いなカエルにキスをしたことで自分もカエルに・・・。

登場するカエルは、ファンタジーなので人間のように喋ることは喋るのだが、ヴィジュアル的にはそれほどキャラクター化(擬人化)はされていない。それもそのはず、アニメーターや制作スタッフは、カエルらしい形や動きを表現するために、本物のカエルの群れをスタジオで飼育しながら観察していたらしい。たぶん、リアルに表現されたカエルでなければこのストーリーの魅力は半減しただろう。

私事だが、ずいぶん前に友だち数人とアメリカ横断の旅をして、途中、ニューオーリンズに数日滞在したことがある。当時、黒人音楽にとても興味をもっていたので、ガンボスープのようにいろんなものが溶け込んで湧き立つ、ジャズやリズム&ブルースがたまらなかった。この映画ではその時の感動もよみがえるような音楽のライブ感もたっぷり。

また、その頃は、それまで集めてきたカエルのモノを通してカエルについて研究していこうと方向を定めた頃でもあった。そして、いずれは博物館をつくりたい、と。ニューオーリンズではバーボン・ストリートで、ちょっと怪しいカエルの玩具を買った(本当はフレンチクォーターの一角にもっとたくさんのカエルグッズを売っているお店を見つけたのだが、開店前だったのがいまだに惜しまれる)。ニューオーリンズといえばブードゥー教の信仰で知られる。この映画でもブードゥー教が巧みに取り入れられていたが、人をカエルに変える魔術ぐらい朝飯前の土地柄ともいえる。

この『プリンセスと魔法のキス』は、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが、手描きのアニメーションに立ち返り、「名作おとぎ話」と「ミュージカル作品」に回帰した映画だという。コンピューター・アニメーションが高度に行き着いた先で、改めて手描きを見直し、ストーリー・テリングと音楽、そして制作プロセスそのものにこだわったミュージカル。黒人音楽が好きな人にはファンキーなライブとして、女性にとっては勇気を与えるラブ・ロマンスとして、そしてカエル好きにはカエルの存在の素晴らしさを改めて知ることのできる、まさにザッツ・エンターティメントだった。

現代の女性なら誰もが陥りがちな生き方の悩みも、すっきり晴らしてくれるにちがいない。ただ、映画は2時間ほどですべてを解決し、ヒロインのティアナは夢に見たレストランを開くことができた。しかし、私はいまだイメージしている博物館にたどり着いていない。でも、「カエル」をやり続けている限りいずれ夢は叶うと思っている。

皆さんも夢の途中で道に迷ったときは、一度「カエル」になってみませんか。

※画像は100年カエル館所蔵のカエルグッズで、ディズニー映画とは関係ありません。

100年カエル館HP http://kaeru-kan.com

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シンポジウムでカワズ合戦「アジア・信仰・カエルキャラクター」開催

100_2335啓蟄から始まったカエル・イベント「梵蛙精舎によみがえる」もひと月を経過し、足立善立寺という寺院で開催したことで「カエル信仰」という大きなテーマも浮かび上がる不思議な時間をいただいたような気がしている。

 3月28日(日)には、史上初、かどうかはわからないが、めずらしいことは確かな「カエル信仰」をテーマにしたシンポジウム「アジア・信仰・カエルキャラクター」も開催された。パネリストは、まず、主催者の善立寺住職、新倉典生氏、長昌寺院代の鈴木海光氏、妙金寺尼僧の野澤朋代氏と僧侶が揃う。同じ僧侶でも、当然、カエルとのかかわり方は違い、新倉氏は古代から現代にいたる人々の信仰のなかでカエルがどう扱われてきたかにとても関心が高く、鈴木氏は自分のお寺でアカガエルやヒキガエル、アマガエルなど日本のカエルを飼育していて、夜行性のカエルの観察のためにちょうど毎日忙しい夜を過している時期ということだった。また、野澤氏は尼僧というイメージとは結びつかない、カエルグッズが大好きないわゆるカエラーで、お嬢さんにはオタマジャクシのタマ(珠)をとって名づけたほど。

 基調講演は、考古学者の前園実知雄奈良芸術短期大学教授が行ったが、前園氏も愛媛県松山市の吉祥山法蓮寺の住職を務める真言宗の僧侶でもある。まさに「カエル信仰」を語るのにふさわしく、中国古代の「カエル信仰」がどう日本に伝わっているか、具体的な遺物を取り上げ語られた。前園氏はこれまで藤ノ木古墳発掘などさまざまな遺跡の発掘調査に関わり、研究を続けられてきたが、今回のように考古学的視点でカエルについて考えたのは初めてだったという。

 そして今か今かと待ち望まれたのは、今もっとも人気の高いカエル・キャラクターである「ケロロ軍曹」の声を担当する声優の渡辺久美子氏の“カエル”の一声。今回のシンポジウムの仕事の依頼に、同じアニメ映画制作のスタッフからは「なんで?」という反応があったそうだが、カエルを愛する人々が「カエル信仰」について語り合うということで納得が行ったということだった。渡辺氏が公開中の「ケロロ軍曹」の映画のタイトルを読み上げただけでも、会場は幸せに包まれた。

 硬いのか軟らかいのかわからない、このシンポジウムの司会進行を担当したのは、落語家の柳家我太楼師匠。シンポジウムの導入部では落語「がまの油」を披露し、司会はカエルの被り物で色を添えるエンターティナーぶりで、終始笑いを誘いながら会を進めた。

 そんなシンポジウムに私もパネリストとして加わった。シンポジウムのパネリストになるのは初めてで、話すことには不慣れな私には勇気が要った。でも、カエルについて話すことは誰にでも話す勇気を与えるほどおもしろいものだと思った。この“カワズ合戦”に私は100年カエル館学芸員、カエルタイムズ編集長として、カエルに関する断片的な知識で応戦した。以前、カエルタイムズの社説で、「人間とは何かを考えるのはむずかしいが、カエルとは何かを考えるのは楽しい」といったような内容のことを書いたことがある。今の世の中、人間同士が集まって話すことに暗い話が多いとお考えの方は、ぜひカエルをテーマに語り合ってみることをお奨めしたい。カエルを知らない人はほとんどいないと思うので、好き嫌いも含めて子どもの頃の思い出などピョンピョンいろんなカエルが飛び出して尽きることがないこと請け合いである。

 ところで、100年カエル館のHPをご覧いただいた方はご存知だと思いますが、同館は事情がございましてしばらく休館させていただいております。一方、カエルタイムズの方は長らく発行が止まっておりましたが、今度の6月から年間4回発行して参ります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

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