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啓蟄によみがえる「カエル民芸の世界」展開催

100_2334  「カエル」という言葉の語源にはいくつかの説があるようだ。大きくは、「帰る」もしくは「返る」という意味に基づく考え方と、「ケロケロ」「ケーロケーロ」といった鳴き声が「カエル」につながったという説の2つが言われている。また、前者の場合、蛙がどんなに遠くに移動しても産卵期になると必ず自分が生まれた水辺に戻ってくる「かえる能力(=帰巣本能)」に基づくものと、冬眠して姿を消しても春になると必ず「よみがえる」からとする説がある。

 写真は、「100年カエル館」の庭石のカエルが、会津の厳しい冬を乗り越え雪の間から姿を現したところである。まさに当館ならではの啓蟄を先取りしたような風景に、思わずパチリ。「カエル」が、毎年春に「よみがえる」からとする語源を信じたくなる。そう、間もなく啓蟄(今年は3月6日)。実は私たちも、いま、啓蟄、そして春を迎えるためのカエルのイベントの準備をしている。

 日本では、多くの種類の蛙が啓蟄とともに活動をはじめ、夏の繁殖期にもっとも活発に動く。そして、秋は仲秋の名月。中国の言い伝えによると月にはカエルも住むと考えられている。晩秋を過ぎれば気温の低下に伴い蛙は冬眠の準備をする。一年を蛙とともに季節変化を感じて暮らすことができるのだ。けれども、これまでカエルをテーマにしたイベントといえば、産卵シーズンである梅雨時期から夏場に多かった。

 そこで今年は、カエルが春を告げる存在であることもアピールしたく、「春のカエル遊び 梵蛙精舎によみがえる」と題したイベントを足立 善立寺(東京・足立区)で開催する。すでにチラシもできて告知を始めているので、詳しくは100年カエル館のHP、http://kaeru-kan.com の【企画イベント】をご覧いただきたい。

 「100年カエル館」のカエルのモノのコレクションは、ジャンルにこだわりなく雑多に集めたことから、展示するスペースに合せてセレクトできるのが特徴だと思っている。今回は、寺院に展示するということで、漠然と「カエルグッズ」と呼んでいるものの意味を改めて考えてみた。その結果、同館で収集しているものは、歴史的価値、美術的価値のあるものではなく、骨董のカエルから現代のプロダクツのカエルにいたるまで基本は無名の作り手による”民衆的工芸品”であると考え、「カエル民芸」という切り口にたどり着いた。

 また、仏教寺院という信仰の場で行うイベントということで、西洋よりも東洋のカエルのモノをフィーチャーして「カエル民芸の世界」の一端を紹介することにした。これと連動するかたちで、3月28日(日)には「アジア・信仰・カエルキャラクター」と題したシンポジウムも開催する。生物の蛙ではなく“カエル文化”をテーマにしたシンポジウムはかつてあまり行われていないと思うので、お楽しみに。

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