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2010年2月

啓蟄によみがえる「カエル民芸の世界」展開催

100_2334  「カエル」という言葉の語源にはいくつかの説があるようだ。大きくは、「帰る」もしくは「返る」という意味に基づく考え方と、「ケロケロ」「ケーロケーロ」といった鳴き声が「カエル」につながったという説の2つが言われている。また、前者の場合、蛙がどんなに遠くに移動しても産卵期になると必ず自分が生まれた水辺に戻ってくる「かえる能力(=帰巣本能)」に基づくものと、冬眠して姿を消しても春になると必ず「よみがえる」からとする説がある。

 写真は、「100年カエル館」の庭石のカエルが、会津の厳しい冬を乗り越え雪の間から姿を現したところである。まさに当館ならではの啓蟄を先取りしたような風景に、思わずパチリ。「カエル」が、毎年春に「よみがえる」からとする語源を信じたくなる。そう、間もなく啓蟄(今年は3月6日)。実は私たちも、いま、啓蟄、そして春を迎えるためのカエルのイベントの準備をしている。

 日本では、多くの種類の蛙が啓蟄とともに活動をはじめ、夏の繁殖期にもっとも活発に動く。そして、秋は仲秋の名月。中国の言い伝えによると月にはカエルも住むと考えられている。晩秋を過ぎれば気温の低下に伴い蛙は冬眠の準備をする。一年を蛙とともに季節変化を感じて暮らすことができるのだ。けれども、これまでカエルをテーマにしたイベントといえば、産卵シーズンである梅雨時期から夏場に多かった。

 そこで今年は、カエルが春を告げる存在であることもアピールしたく、「春のカエル遊び 梵蛙精舎によみがえる」と題したイベントを足立 善立寺(東京・足立区)で開催する。すでにチラシもできて告知を始めているので、詳しくは100年カエル館のHP、http://kaeru-kan.com の【企画イベント】をご覧いただきたい。

 「100年カエル館」のカエルのモノのコレクションは、ジャンルにこだわりなく雑多に集めたことから、展示するスペースに合せてセレクトできるのが特徴だと思っている。今回は、寺院に展示するということで、漠然と「カエルグッズ」と呼んでいるものの意味を改めて考えてみた。その結果、同館で収集しているものは、歴史的価値、美術的価値のあるものではなく、骨董のカエルから現代のプロダクツのカエルにいたるまで基本は無名の作り手による”民衆的工芸品”であると考え、「カエル民芸」という切り口にたどり着いた。

 また、仏教寺院という信仰の場で行うイベントということで、西洋よりも東洋のカエルのモノをフィーチャーして「カエル民芸の世界」の一端を紹介することにした。これと連動するかたちで、3月28日(日)には「アジア・信仰・カエルキャラクター」と題したシンポジウムも開催する。生物の蛙ではなく“カエル文化”をテーマにしたシンポジウムはかつてあまり行われていないと思うので、お楽しみに。

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是真の漆絵に描かれた美しきヒキガエル

E5342  「カエル」が描かれた作品が見られる展覧会には、できるだけ足を運ぶようにしている。そんな展覧会の会場に入ると、まっ先に目的の作品と対面したくなるのだが、それをやってしまうと感動は薄まってしまう。

 どんなに混み合っている会場でも、鑑賞の列に並んでひとつひとつ見ていくことが、“その時”の至福感を最高潮にもっていくための方法だ。

 2010年2月6日土曜日の三井記念美術館(東京・三越前)。「江戸の粋・明治の技ー柴田是真の漆×絵」展の東京展最終日の前日。かなりの人の入り。私の目的は新聞で見た、柴田是真(しばたぜしん)の漆絵画帖(うるしえがじょう)「墨林筆哥(ぼくりんひっか)」のなかの、琵琶をつまびき語る擬人化した蛙の図だった。

 皆さんは柴田是真(1807-1891)をご存知だろうか。江戸から明治にまたがって蒔絵と絵画の両方で名を馳せた工芸職人であり、絵師である。同時代に活躍した絵師といえば、河鍋暁斎(1831-1889)がいて、「蛙」を題材にして描いた作品を多数遺していることは、“カエル愛好家”によく知られている。

 果たして、是真のカエルとはどんなものだろうか。

 高まる期待を抑えて、牛歩で進む列に加わる。前にいるご婦人同士の会話が聞こえる。「漆絵で使える色って6色ぐらいしかないんですって」。茶、赤、黄、黒、そして漆そのもののあめ色の6色。塗り残しの紙の白を加えても7色だそうだ。

 そんな制約のある色で信じられないほど多彩に描き、微妙な質感まで表現する是真の技術は、独特の遊び心のある“だまし絵”を生み出した。紫檀の板に梅と花瓶を描き、木製の額を施したように見える「花瓶梅図漆絵(かびんにうめずうるしえ)」。だが、それはすべてが紙に描かれた“だまし絵”。「砂張塗盆(さはりぬりぼん)」は誰が見ても金属にしか見えないが、これも是真による“だまし漆器”。

 音声ガイドではなく、たまたま居合わせた人々の話を聞くとはなしに聞きながら鑑賞していると、思いがけなくみごとな「カエル」を発見。それは漆絵画帖の「蟇蛙図(ひきがえるず)」(写真)だった。蛙は生き物だけに“だまし絵”にはならないが、ヒキガエルならではの背中のザラザラ感デコボコ感がゾクッとするほどリアル。漆絵の基本の6色がヒキガエルの肌質を描くのにこれほど適していたのかと、ヒキガエルの存在が改めて美しく感じられた。

 そのとき、隣で見ていた若いカップルの男性の方が「かっこいい、これが一番」とつぶやいた。

 ここ数年、海外に流出した江戸中期から後期ぐらいの絵師による作品の里帰り展が開かれることが多いが、そのなかにカエルの作品を少なからず見つけることができるのは、カエルに関わる者にとってこの上ない喜びである。

 目的の琵琶をひいている蛙の図は、展示替えがあったせいか、この時は見られなかったが、その図版が載っている図録を買って帰ることにした。

●作品/《漆絵画帖》江戸~明治時代・19世紀 エドソンコレクション

●巡回展情報

東京展は終了しましたが、これから京都展と富山展が行われます。是真のカエルの作品は本文中に挙げたもの以外にもあります。カエルが元気に活動するシーズン、ぜひ足を運んでみてください。

【京都展】

会期:2010年4月3日ー6月6日

会場:相国寺承天閣美術館

主催:相国寺承天閣美術館、日本経済新聞社、京都新聞社

【富山展】

会期:2010年6月25日ー8月22日

会場:富山県水墨美術館

主催:富山県水墨美術館、日本経済新聞社、北日本新聞社、

北日本放送

100年カエル館・カエ~ル大学はこちらからhttp://kaeru-kan.com/kayale-u/

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1億年前のカエルの化石発見(兵庫県)

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「100年カエル館」に以前来館されたYさんから届いたカエル情報。封書に入っていた朝日新聞2009年12月2日付けの記事によると、兵庫県丹波市の地層「篠山層群」から1億4千万~1億2千万年前のカエルの化石が発見されたという。

 12月1日に兵庫県立 人と自然の博物館(同県三田市)が発表した。発見された化石は、複数のカエルの上腕骨、背骨、腸骨などと見られ、岩石の中に、29点と13点の化石が密集した2つの固まりがあった。

 密集骨格①(写真上)は、脛腓骨(けいひこつ)2点、上腕骨1点、腸骨1点、大腿骨1点、仙椎1点、連結した4つの仙前椎(せんぜんつい)、距骨(きょこつ)2点、踵骨(しょうこつ)2点、指骨3点、部位不明12点以上で、計29点以上。

 密集骨格②(写真中)は、腸骨1点、撓尺骨(とうしゃくこつ)1点、大腿骨1点、連結した3個の仙前椎、部位不明7点で、計13点。

 このほか、上腕骨2点、脛腓骨(写真下)複数点なども発掘され、個々の骨は2007年以降時々発掘され50点ほどになるという。

 産出地点は、丹波市山南町上滝篠山川河床。密集骨格②を見つけたのは、三田市の小学5年生の女児。同年9月に行われた子どもたちを対象にした発掘体験に参加したとき、金づちでこぶし大の岩石を割ると、隣りの友だちが断面に骨のような細い線が入っているのに気づいたという。

 同博物館の研究員の調査でカエルの化石と判断され、発掘された化石は12月5日~27日、同博物館で展示公開された。これまでに日本で前期白亜期の無尾類(両生類のなかでも尾がないカエル)の化石が発見されたのは、石川県白峰、岐阜県荘川での2例のみ。丹波市産無尾類化石は、国内で3例目であり、体骨格が密集していることから国内で最も保存状態の良い化石標本だそうだ。そのような状態での発見は日本初であり、無尾類化石は断片的な骨が遊離した状態で発見されることが多く、今回の化石のように全身骨格の要素が密集して保存されている例は、世界的にも貴重な標本だという。

  最初の人類が現れて約400万年として、私たち人類よりはるか昔からこの地球上に暮らしていたカエル。この日本においても1億年も前から存在していたことをおしえてくれるカエルの化石の発見に、地球の文化は人の暮らしの前にカエルの生活があってこそ生まれたと気づかされる。

写真・資料協力:兵庫県立人と自然の博物館 http://hitohaku.jp

100年カエル館/カエ~ル大学はこちらから http://kaeru-kan.com/kayale-u

 

 

 

 

 

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@cosme storeで“ミカエル美人”になろう

Photo Photo_2 Photo_3 カエルの話題がなければ、夜も日も明けないカエル好きにとって、冬場はちょっと寂しい。蛙の冬眠に合わせたかのようにイベント情報もなくなるからだ。「カエル探偵団」(両棲類に関心の高い研究者やナチュラリストの集まりでHPでカエル前線を公表している)のアカガエル産卵前線を見れば、関東でもすでにヤマアカガエルやニホンアカガエルの産卵が始まっているものの、まだまだ“カエルの季節”は遠い。

 そんな思いを胸に抱きながら、新宿の地下道を歩いていると、数メートル先にツルッツル、ピッカピカの顔でこちらを見つめるカエルを発見。「地獄で仏」は大げさだけど、冷たい土の中で明るい太陽を見た気がした。今年は何だかいいことがありそうな・・・。

 その正体は「@cosme store」(写真は上が新宿店、下が渋谷店。その他に上野店、そして昨年秋は池袋店もできた)の“看板ガエル”だ。名前は「ミカエル」、性別は不明。運営する株式会社コスメネクスト事業開発部の山本あかりさんのお話によると、「元々は、@cosmeという化粧品クチコミサイト上で、“美”を“買える”という意味で、通販サイトから購入できる目印として誕生しました」。

 2007年3月に、@cosmeのリアル店舗である「@cosme store」の1号店(ルミネエスト新宿店)ができたときに、看板となるような目印を店頭に置こうというアイデアから、“美”を“買える”のマークであるミカエルの立体を設置。「お客さまからは“カエルの店”として認識していただいており、『いまカエルの店にいるよ~』という声も店内でよく耳にしました。@cosme storeのコンセプトである“親しみやすさ”や“日常感”を演出するマスコットキャラクターとして利用しています」と同山本さん。

 化粧品クチコミサイトという存在自体、年齢を問わず“女子”であれば(最近は女子でなくとも)ありがたいもの。スキンケアやメイクのことってデリケートな問題なので気軽に相談できる友だちがいるとは限らない。

 “水くさい”性格を自認する“カエラー女子”にとっては尚更のこと。ミカエルはストアメンバーカードのデザインにも使われているので、会員になりお守りのようにお財布に入れておくのもいい。日々のお肌のお手入れを欠かさず、キレイになって「見返り美人」ならぬ“ミカエル美人”になろう。

写真協力:株式会社コスメネクスト http://cosmestore.net/indexhtml

100年カエル館/カエ~ル大学はこちらから http://kaeru-kan.com/kayale-u/

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“色のデフォルメ”で見る人を驚かすカエル

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「カエルの魅力って何ですか」と聞かれることがよくある。「かわいい」「おもしろい」「いやされる」など、その魅力のポイントを挙げることができる。それではあまりにも主観的なので、もう少し突き詰めて考えてみるとこんなことが言えるかもしれない。

 カエルは、「ものづくり」「創造」「アート」といったことを誘発する存在であるということ。その鳴き声や何気ないしぐさ、季節ごとの生活の営み、運動能力は、古今東西の文学や芸能を生み出してきた。そして、その体の色や形は新しい「デザイン」を作り出すクリエイターたちの感覚を刺激しないではいられないようだ。

 そこで今回紹介するのは、erect というプロダクト・ブランドを展開するロータス・イメージ・ラボラトリーが開発・販売しているカエルの形のバスオブジェ、PEEK A BOO(写真)。マゼンタ、パープル、グリーンの3色あるこのカエルは、特殊な樹脂(ATBC-PVC)を使用しているので温度で色が変わり、お湯に入れると最初の鮮やかな色彩が消える。

 商品名のPEEK A BOO(英語で「いない いない ばあ」)が示すとおり、大人の遊び心に訴える。同社代表でデザイナーの宮崎謙二氏は、同ブランドにおいて日常のなかの驚きをデザインして見せる。しかも形ではなく、“色のデフォルメ”で見る人を驚かすことに心血を注ぐ。その色は毒をもっていることを色で警告する中南米の蛙のようにアグレッシブで、しかしお湯に同化して姿を消すという、芭蕉が「古池や~」を詠んで以来の日本人の“カエル観”に寄り添う風情がある。

 キャラクターではなく、プロダクトブランドとしてのカエルを追究したいうという宮崎氏は「造形的には、リアルさとキュートさの絶妙なバランスを最適なサイズと形で表現するののに苦心しました」と語る。骨格をちゃんと感じさせ、痩せているけどお腹のあたりにふくらみをもたせている。デザインの力で自然界と人工物の世界がつながるスリリングなカエルのプロダクツだ。カエルの、デザインという概念に与えるインパクトも大きい。

写真協力:ロータス・イメージ・ラボラトリー http://erect.jp

100年カエル館 http://kaeru-kan.com

 

 

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