1億年前のカエルの化石発見(兵庫県)
「100年カエル館」に以前来館されたYさんから届いたカエル情報。封書に入っていた朝日新聞2009年12月2日付けの記事によると、兵庫県丹波市の地層「篠山層群」から1億4千万~1億2千万年前のカエルの化石が発見されたという。
12月1日に兵庫県立 人と自然の博物館(同県三田市)が発表した。発見された化石は、複数のカエルの上腕骨、背骨、腸骨などと見られ、岩石の中に、29点と13点の化石が密集した2つの固まりがあった。
密集骨格①(写真上)は、脛腓骨(けいひこつ)2点、上腕骨1点、腸骨1点、大腿骨1点、仙椎1点、連結した4つの仙前椎(せんぜんつい)、距骨(きょこつ)2点、踵骨(しょうこつ)2点、指骨3点、部位不明12点以上で、計29点以上。
密集骨格②(写真中)は、腸骨1点、撓尺骨(とうしゃくこつ)1点、大腿骨1点、連結した3個の仙前椎、部位不明7点で、計13点。
このほか、上腕骨2点、脛腓骨(写真下)複数点なども発掘され、個々の骨は2007年以降時々発掘され50点ほどになるという。
産出地点は、丹波市山南町上滝篠山川河床。密集骨格②を見つけたのは、三田市の小学5年生の女児。同年9月に行われた子どもたちを対象にした発掘体験に参加したとき、金づちでこぶし大の岩石を割ると、隣りの友だちが断面に骨のような細い線が入っているのに気づいたという。
同博物館の研究員の調査でカエルの化石と判断され、発掘された化石は12月5日~27日、同博物館で展示公開された。これまでに日本で前期白亜期の無尾類(両生類のなかでも尾がないカエル)の化石が発見されたのは、石川県白峰、岐阜県荘川での2例のみ。丹波市産無尾類化石は、国内で3例目であり、体骨格が密集していることから国内で最も保存状態の良い化石標本だそうだ。そのような状態での発見は日本初であり、無尾類化石は断片的な骨が遊離した状態で発見されることが多く、今回の化石のように全身骨格の要素が密集して保存されている例は、世界的にも貴重な標本だという。
最初の人類が現れて約400万年として、私たち人類よりはるか昔からこの地球上に暮らしていたカエル。この日本においても1億年も前から存在していたことをおしえてくれるカエルの化石の発見に、地球の文化は人の暮らしの前にカエルの生活があってこそ生まれたと気づかされる。
写真・資料協力:兵庫県立人と自然の博物館 http://hitohaku.jp
100年カエル館/カエ~ル大学はこちらから http://kaeru-kan.com/kayale-u
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