「かえる力」がある限り、カエルも人も進化し続ける。
日本ではアマガエルがなじみ深いせいか、カエルはスイスイ泳ぎが得意なイメージがある。そのせいかカエルグッズも泳いでいるポーズを造形化したものによく出合う。ただし、それらの多くは自然をそのまま反映しているわけではない。アマガエルが泳ぐとき、後ろ足は人間の平泳ぎと同じような動かし方をするが、前足はほとんど使わない。人間の平泳ぎの手の動きとは違う。それでもカエルの泳ぐ姿と人間の平泳ぎが合体したようなカエルグッズを見つけると、思わず微笑んでしまう。
そして私たちは、昨年CMですごい“カエル”を見かけることになる。なんとバタフライで泳ぐカエルだ。もちろん、ありえない。その「ありえない」を実現したのは、NTTデータグループの広告シリーズ「かえる力」である。さまざまなビジネスをIT面でサポートする同社が、2008年9月に新たなグループブランドとして標榜したのが「変える力を、ともに生み出す。」というメッセージ。それをわかりやすく伝えるために起用されたのが“カエル”なのである。
同社広報部 課長後藤章宏氏にお話を伺う。「新ブランドメッセージの誕生」とともに、宣伝もこれまでやったことのないことに挑戦しようということになりました。それで『変える力(ちから)』というメッセージから『かえる力(りょく)』でいこうということに。人によっては好き嫌いのあるカエルを起用することに正直言って不安もありました。それでも新しいことにチャレンジしようという思いの方が強かった。その思いに社長の賛同も得られ、勇気をもって進めることができました」と語る。
おかげで私たちは、新聞広告や交通広告で、書き初めをするカエルやカエルのスプリンター、棒高跳びをするカエル、スキーをするカエルなど、さまざまなことに挑戦するカエルや、ウミガメやカモメ、ラクダなど、パートナーと旅に出るカエルなどに出合うことができた。
そんななかからCM化されたカエルのひとつが、華麗なバタフライを見せるカエル。水泳選手さながらの泳ぎっぷりを見せるカエルの動きは、タイで撮影した12歳の少年の泳ぎ。その映像にカエルのCGがミックスされている。カエルは粘土で作成されたクレイを3DスキャナーでPCに取り込みデータ化し、それにアニメーションとして動きや色がつけられている。
「実物のカエルの印象を残しながらも誰が見ても気持ちよく感じられるように、アニメすぎず、かつ、リアルすぎないカエルをめざしました。タイの制作会社との共同作業でしたが、日本語独特のテカリとかヌメリとか、ザラザラ感など、カエルの質感を伝えるのが大変でした」とふりかえる後藤氏。
そうして生まれた“カエル”は、自らの「かえる力」によって進化した新種のカエル。昨年8月からは新たなCMとして、棒高跳びのバージョンも加わり、これまでの擬人化とは違う新しい方法で表現されている。カエルがヘンデルのオペラ「オンブラ・マイ・フ」(歌い手は白石圭美さん)の荘厳な響きのなかで泳ぐのを目にすると、IT時代ならではの「カエル文化」が誕生したことを感じる。
NTTデータ http://www.nttdata.co.jp
100年カエル館/カエ~ル大学はこちらから http://kaeru-kan.com/kayale-u/
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